■ 2020年11月 ブログ

やくならマグカップも

 人気漫画『鬼滅の刃』のコミックスシリーズ累計発行部数が12000万部(電子版含む)を突破し、映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』も累計興行収入が約259億円に達するなど、私はまったく観たこともない漫画が大人気だそうです。関連商品も飛ぶように売れ、ローソンは早くも1215日にタイアップ食品「鬼滅の刃恵方巻」の予約受付を開始するといいます。コロナ禍の中、まさに『鬼滅の刃』さまさまといったところでしょうか。 

そんなコミックで盛り上げようと画策しているものに、お隣の多治見市が舞台となっている『やくならマグカップも』というものがあります。「やくならマグカップも」は、フリーコミックのタイトルで、多治見市やその周辺地域の産業である「美濃焼」の産地を舞台とし、1年に4回のペースで発刊されているものです。この企画は、2010年に街を元気にしようという多治見市の呼び掛けで始まり、賛同して集まったメンバーから「キャラクターとマンガ(物語)を通じて、街や産業を楽しんでもらおう」という提案が生まれ、民間企業数社が協力しあって「元気な多治見株式会社」が設立されました。現在では、地元IT企業の株式会社プラネットが中心となって運営を続けています。 

やくならマグカップも vol.1(2012.02.14)から「やくならマグカップも vol.32(2020.05.02)まで、このサイトで閲覧することができるのですが、そのコミックの原作がテレビアニメ「やくならマグカップも」として、20214月から放送されることとなり、アニメのPVも公開されています。そして、そのアニメは「キングダム」などの神谷純さんが監督を務め、日本アニメーションが制作するといいます。 

一応、お隣のまちが舞台だということで少しばかり読んでみましたが、地元の人にとっては、馴染みのある風景が登場するため喜んでいるだろうなって思います。正直、「土岐市はPRが下手で、多治見が羨ましい~。」といった心持です。アニメ化によって多治見市では商売に繋げようと様々な取り組みが計画されているようですが、果たして『鬼滅の刃』のような大ヒットになるのでしょうか?

やくならマグカップも」に、羨ましさ半分、応援したい半分です。とりあえず私は、「やくならコーヒー生豆を」です。 

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再び冬ソナストリート

 昨年の12月初めに訪れた各務原市の「冬ソナストリート」は、雨風でイチョウの葉は多くが落ちてしまい、黄色の絨毯といった状態だったこともあり、今年は美しいイチョウ並木を見ようと1週間前に出かけてきます。事前に、お客様から情報収集していたので、多少期待を持って各務原市の「学びの森」の駐車場に車を停めました。 

 車から降りると、イチョウ並木から離れているのに銀杏特有の匂いが香ります。先日訪問した祖父江のような銀杏の産地であっても臭わなかったのは、銀杏の実を踏みつけていなかったためで、ここ各務原市のイチョウ並木には多くに人々に踏まれた実が落ち葉の間から見つかります。 

 そして、今年は昨年以上に残念な光景が待っており、約300mのイチョウ並木の半数の木には黄色い葉は微塵もなくなり、枝が残るだけとなっていました。かろうじて、市役所方面の一部が「冬ソナストリート」っぽい感じが残っており、その周辺に多くの方が記念写真を撮っているのでした。 

 ここ「学びの森」は、日当たりのよい大きな芝生広場と、木々や竹林に囲まれた緑豊かな公園です。公園内に遊具はなく、ビオトープ池や、イチョウ並木、カフェを併設しているのが特徴で、お散歩やピクニックでのびのびとくつろげることから、公園内には小さな簡易テント張って休憩する人なども目立ちます。 

 そこで、隣接するカフェの「カカミガハラ・スタンド」でコーヒーと蒸しパンを食べて休憩です。コーヒーはブレンドのみだったのでMサイズを、そして、クリームチーズの蒸しパンとともに一息入れましたが、作り置きのポットからカップに注がれたコーヒーの香りは少なく、ちょっと残念なものでした。 

 イチョウ並木もコーヒーも残念でしたが、次回訪問する時はベストな紅葉を狙い、コーヒーは珈琲工房ひぐちで飲むことにします。 

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Filosofi Kopi

 予告映像に流れるコーヒー農園の映像を観てレンタルしてしまったのが、『珈琲哲学~恋と人生の味わい方~』(2015年)というインドネシアの映画です。インドネシア語でFilosofi Kopi(コーヒーの哲学)というカフェを共同経営する若者、そして彼らの過去とコーヒーの話です。 

 父親の残した借金とカフェの経営に四苦八苦し、まともにコーヒーを淹れる事も出来ないジョディ。バリスタのベンは「コーヒーにはそれぞれ哲学がある。様々な性格や人生の意味を見つけられるんだ。コーヒーさえあれば人は自分を発見できると。」と情熱と質の高いコーヒーを提供することばかりに余念がない。二人は親友だが、「原価が安い豆を使おう。」「うまいコーヒーにはファンがつく。」と、理想と現実の間で対立していた。 

そんなところに、店の評判を聞き付けた実業家から「完璧なコーヒー」を作れば高額な賞金を出すとの申し出を受ける。コーヒー批評家のエルも交え、3人は店の存亡をかけて完璧なコーヒーを追求するため、コーヒー農園に出かけながら、同時に個々の生い立ちや家族を見つめ直すきっかけを作るという内容です。 

日本語の副題に「恋と人生の味わい方」が付いてはいるものの、それぞれの登場人物が抱える父親との関係を描いており、恋も人生の味わうほど深煎りしてはいないのです。サイフォン、エアロプレス、ハリオV60と、エスプレッソ以外の器具も多く登場し、カフェの様子を内側から見るのは楽しいですが、Filosofi Kopi(コーヒーの哲学)という店名に合うような哲学も感じられなかった作品でした。 

まあ、ハッピーエンドだから楽しめ、面白いインドネシア映画であり、コーヒー農園の光景を見ることができたので満足ではあります。ところで、コーヒー生豆を仕入れる際にでてきた“キンタマーニ”ってどんな豆なんだろうか? 

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慣れにはご注意を

 コーヒー豆の購入が増え始める秋になると、「いつもよりも購入者が増えたかな?」といった印象が強く残ってしまい、「あれ?今日はこれだけ?」なんて感覚になってしまう時があります。毎日、何人かの人がコーヒー豆を購入して頂けるだけでもありがたいのに、感謝の気持ちを忘れ、現状に慣れてしまう事が一番悪いことだと分かっているはずなのに、そう思い直して初心に帰るようにしています。

 新型コロナウイルスの感染者が増え続ける中でも、昨年の来店客数を少し下回る程度の来店がありますが、緊急事態宣言が発出された頃と比べお客様の緊張感が薄くなったと感じています。マスクを付けないで来店される方、マスクをして来店されても会話に夢中になってマスクを付けない方、マスクを強制することが出来ないので、自分が感染しないことを第一に考えて行動しています。これもコロナ禍が長く続いたことによる慣れなのでしょうが、感染した場合や濃厚接触者となった際には、多くの人に迷惑をかけることになってしまいます。 

 最近のニュースでも、連日、感染者数が過去最高を上回っていますが、経済を回していくことが優先されるため、「感染拡大中!」と各都道府県知事がプラカードを出しても、多くの人には事の重大性が伝わっていないように思えてなりません。飲食店等の営業を規制して補助金を出すといった方法も球切れで出来ないでしょうし、「後は自己責任で!」なんて事を言いだすようでは、今後も感染拡大は収まらないのでしょうね。Go Toキャンペーンでなく、Go To Homeでコーヒーは家飲みを!となれば良いのですが。 

 昨日、手話サークルの学習会で学んだコロナ関連の単語を忘れても良い時がくれば嬉しいのですが、当分はそうならないのでしょうから、ここに記して、しっかり覚えるようにしましょうか。「クラスター」「オーバーシュート」「緊急事態宣言」「ロックダウン」「免疫」「抗体」「抗原」「パンデミック」「コロナ禍」「Go Toキャンペーン」「せきエチケット」「フェイスシールド」「PCR検査」「第二派」「フィジカルディスタンス」「3密回避」「自粛要請」「濃厚接触者」「ロードマップ」、とりあえず今のところは覚えておりました。 

 慣れにはご注意を! 

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こんなところに鬼滅の刃

 中央自動車道土岐ICから車で5分程の場所に、飛騨木曽川国定公園となっている「鬼岩公園」があります。可児郡御嵩町と瑞浪市に渡る公園で、温泉旅館も数件あり、近くに住む人にとっては宿泊施設というより宴会場として何度も利用しています。 

 この鬼岩という名は、およそ800年程昔、この岩山に関の太郎という鬼人が住み、近郷近在の住人や東山道を山越えする旅人に悪業の限りを尽くしたので、御白河法王の命を受けた纐纈源吾に依って誅伐されたという伝説にちなんでおり、恐ろしや次月の里の鬼すすきの古句が今も伝えられています。鬼人が住んでいたという鬼の岩屋をはじめ、太郎岩・まな板岩・鋏岩・源吾岩・首洗池等の名が伝説と共に残っています。 

 子供の頃は、鬼岩公園内の岩穴をくぐる「岩穴くぐり」をした懐かしい場所でしたが、この岩穴で、2010年5月に小学2年生の男子児童の転落事故が発生し、それを受け、岩穴の出入り口が閉鎖された経緯がありました。しかし、再開を求める利用者の声を受けて現在では年に一度安全対策を施して復活しており、今年も先日の14日・15日の二日間、鬼岩観光協会によって行われたようです。 

 そんな鬼岩公園ですが、大ヒット上映中らしい人気アニメ「鬼滅の刃」の原作漫画での名シーンを連想させる形の岩が、園の入り口から登山道を歩くこと約20分の山頂付近に大きな亀裂が入り、丸みを帯びた岩があるそうです。大きさは違うものの、「鬼滅」主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)が原作漫画の序盤、厳しい鍛錬の末に刀で真っ二つにした岩に似ているそうだとか。これに目を付けた町は案内看板を設置し、岩に近づけるルートを整備し、コロナ禍で周辺の宿泊施設が打撃を受ける中、観光客増に期待しているそうです。 

 私には全く興味のない「鬼滅の刃」ですが、こうした便乗商売が全国各地であるようで、探せば、「こんなところに鬼滅の刃!」って名所が出来上がっているのかもしれません。こじつけて便乗する人、それに乗っかって喜ぶ人、コロナ禍でも平和な日本です。

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今年の穴弘法

 今夜は、土岐高山城跡の麓にある穴弘法の「もみじのライトアップ」が始まったことから、コロナ禍で行われているイベントの様子を見に5時半ごろに出かけてきました。今年は一週間後の23日まで行われますが、訪れる人が多いと車の置き場に困ると思って早目に出かけたのです。ところが、意外にも人出は少なく、前回訪れた時と同じく穴場的存在で安心しました。 

 ライトアップされた池の手前斜面には「コロナニカツ」と電飾され、入口で体温測定と連絡先をカードに記入します。ライトアップされた池には逆さに映った紅葉が美しく、昼間では味わえない魅力があります。その先を行くと穴弘法と呼ばれる104体の石仏群が現れ、一体一体の前にロウソクが灯され、柔らかな光にぼんやりと照らし出され幻想的です。その穴弘法の中心には、竹製灯籠「竹あかり」が設置されているのですが、竹あかりを照らすライトが明るすぎて、石仏に置かれたローソクの光を邪魔しているように感じました。 

 今年は知名度のある曽木公園のライトアップが中止になるなど、多くのイベントが中止となっている状況の中で開催しており、コロナ禍でのイベントの在り方も手探り状態です。全て無くせばリスクは回避できるものの、本来あるべき姿が無くなるのは残念でなりません。主催者側や参加する人も感染防止に注意をしながら、楽しめる場になれば良いのですが。とりあえず、今日のところはヒッソリと穴弘法とライトアップを堪能しました。

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花壇の植え替え

 今日は自宅の生け垣の剪定と、お店の花壇の植え替えの日です。この日は妻が休みを取ってくれるため、午前中に生け垣を電動バリカンで選定し、午後からは花壇の植え替えを予定していました。 

ところが、電動バリカンの調子が直ぐに悪くなり、急遽、新しい電動バリカンを購入するためホームセンターへ走ることになったり、2人とも疲れてしまって午後からの植え替え作業が遅れるなど、計画通りには進みません。 

そんなバタバタした秋の恒例行事となった作業も無事に終わり、少しだけ綺麗になった自宅の生け垣と花壇を見ると、「あと一か月ちょっとで、今年も終ってしまうんだ。」と、月日の経つのが年齢とともに早くなることを感じていたのでした。

いつものことですが、妻に感謝!感謝!です。

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再びコマーシャル・ムービー?を観る

 Amazonプライム・ビデオのタイトルを見ていたら、『A Film About Coffee』(監督:ブランドン・ロバート)を見つけたので、ハンドピックをしながら視聴してみました。 

この映画は、2016111日に名古屋の映画館で観ており、その日のブログには、「究極のコーヒーとは何か?コーヒーに人生をかけるプロフェッショナル達の熱い仕事ぶりと哲学を追う世界を席巻するコーヒーカルチャーの""を描いたドキュメンタリー。とういのが謳い文句なのですが、コーマーシャル・ムービーって感じでした。」と書いていました。また、「スペシャリティー・コーヒーは浅煎りが一番だの、産地を大切にしているなど、水洗式でないのは良いコーヒーじゃないなど、スペシャリティーなら必ず美味しいと言わんばかりの映像が流れています。」と素っ気ない感想です。 

再び観た印象も変わらず、バリスタ競技会での演出も気になります。一人のバリスタが、「コーヒーは多くの人の手を経てきますが、一番大切なものはなにか?一人の農園主が答えました。」そして、ホンジュラスの農園に場面が移り、“君が売る相手 消費者だ”さらに、 “消費者がいるから私が家族を食べさせ養うことができる”と答えたといいます。しかし、競技大会が行われる都会の光景と、コンクリートブロックで造られた小屋のような家で、「子供が10人、妻もいる。皆で働く」といった農園主の言葉には、消費者の姿は見えず、食べさせ養う家族しか見えないと思えてなりません。 

また、コーヒー豆のバイヤーが農夫たちの前で、「自分たちが飲んでいるのがコーヒーだ!」と言わんばかりに、カプチーノを農夫に飲ませる光景では、農夫の反応が字幕に“I Like it“と出ていましたが、私には「こいつら、こんなもん飲んでいるのか!」といった表情に見えたのは私だけでしょうか。直ぐにペットボトルの水を飲んでるし! 

さらに、エキゾジックな音楽に合わせて「大坊珈琲店」が登場する。「だからサードウェーブなんだ。」と言わんばかりに。違和感ばかりの内容なのですが、この映画が公開される前年に日本に上陸したブルーボトルコーヒーは、2016年には都内3店舗をオープンし、今年に入って広尾と横浜NEWoMan YOKOHAMAへと着実に店舗数を増やし、なんと国内17店舗となっています。だから、どれだけ正しく観ようと思っても現実は変わりません。勝った者が正義なのです。 

「つまんないもの観ちゃった!」って思いながら反省しております。 

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Webセミナー 4

 今日はズームを使用したWebセミナーの4回目です。パソコンやタブレットによるWebセミナーも慣れてはきたものの、やはり直接会って話を聞いたり、実際にコーヒー豆をカッピングしながらのセミナーが懐かしくなるばかりです。そんな欲求不満な状態で、生豆商社主催のセミナーを「ながら視聴」したのでした。 

 今回は、石光商事(株)鈴木さんが産地に何度も足を運んでいるアフリカコーヒーについて、14:0015:30頃まで「タンザニア・ケニアのコーヒーを知る」というテーマでは話が進みます。 

■新型コロナウイルスとタンザニア・ケニア 

 1031日現在の感染者数は、タンザニアが509人、ケニアが55,192人とアフリカの中で

タンザニアの感染者数が極めて少くなっているため、コロナ勝利宣言が出ています。よって、コーヒー産地ではコロナは問題となっておらず、収穫も順調に行われ、南部はほぼ収穫が終わり、残すは北部のみとなっているそうです。それに比べケニアでは、外出の時間制限が2021年1月まで行われ、ナイロビからの外出禁止となっているものの、コーヒー生産においてはロジスティックやオペレーションに問題は見られないということでした。 

■タンザニア・ケニアの地区ごとの基礎情報、商品特性などの紹介 

もっぱら自社取扱商品のPRとなっていますが、ケニアが比較的規模の大規模農家や大きな施設で品質管理されているのに対し、タンザニアでは小規模農家が多いため、HP(Home Process)と呼ばれる農家で収穫→果肉除去→発酵→乾燥の一連の流れでドライパーチメントまで作るため、未熟豆の混入や品質に課題があるようです。そのため、CPU(Central Pulpery Unit)という精選所へ農家が収穫後に販売することが望ましいとして取り組んでいるそうです。CPUにコーヒーを持ち込むことで最先端のパルパー設備で均一に処理が出来、豆へのダメージを低減され、パルピング中に選別が可能になるといいます。 

今回のWebセミナーも、タンザニアやケニアの産地ごとの特徴や現地での細かな情報は参考になるものの、やはり商品のプロモーションとしての印象を強く感じました。やはりWebセミナーの限界かも知れませんが、質問したいタイミングや「そこをもう少し詳しく」といったやり取りが対面と違って上手く出来ません。まあ、「ながら視聴」ってこともありますが、少々Webセミナーに飽きてきました。 

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土岐市内の紅葉

 緑色の葉は、クロロフィルという色素によって光合成を行っていますが、秋になって気温が低下し光合成が出来にくくなり、広葉樹の葉からは水分が外に出るようになって乾燥します。そうなると、冬に葉の水分を出し過すぎることになるため、広葉樹は葉を落とす準備を始めます。 

 クロロフィルを分解して、葉の養分を木に回収し、葉が落ちても大丈夫なように葉の根元に離層という壁を作るのです。その際、葉緑体の中にあるカロチノイドという別の色素と分解されるクロロフィルの時差によって、カロチノイドの色が目立ち黄色くなったり、葉に残ったクロロフィルの光合成によって作り出された糖と酵素が反応して赤色のアントシアニンを作り出します。 

 簡単に説明すれば、これが紅葉の仕組みなのですが、私たちは赤と黄に山々や木々が彩られる光景を見て、終わり際の線香花火のような、散り際にひときわ赤く大きく萌えているような、青々とした緑が枯れゆく際の、散り際の美のような感覚を持つようです。そんな紅葉を楽しむため、昼の曽木公園にも多くの人達が散策していました。 

その曽木公園のライトアップイベントは、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止となりました。しかし、土岐高山城跡の麓にある穴弘法で行われていた、もみじのライトアップは1116日(月)~23日(月)まで行われるそうです。池に映った逆さもみじや、100を超える石仏に灯されたローソク、竹に無数の穴を開けあかりを灯した竹あかりが神秘的で幽玄な世界は楽しめそうです。 

コロナ禍での紅葉シーズン迎えていますが、コロナウイルスも紅葉と同じように散り際の時期がくるのでしょうか? 

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祖父江のイチョウ

 紅葉のシーズンになりました。昨年は12月初めに、各務原市の「学びの森」にある「冬ソナストリート」と呼ばれているイチョウ並木を見に行きました。今回は、以前から行きたかった、1万本を超すイチョウの木が植えられている祖父江町に出かけてきました。 

 愛知県稲沢市祖父江町は、木曽三川がもたらした肥沃な大地に恵まれた江戸時代から続く銀杏の産地です。もともとは江戸時代に、耐火性のあるイチョウの木を防災や防風のために屋敷周りに植えたのが始まりとされています。銀杏の栽培が始まったのは今から100年ほど前で、屋敷周辺のイチョウの木になる銀杏を名古屋で売ったところ、非常に高値で売れたことから、集落全体に銀杏の栽培が普及したそうです。そのため祖父江銀杏は、別名「屋敷ぎんなん」とも言われています。 

 町内にはその当時に接ぎ木された樹齢100年以上の大木が多く存在し、11月下旬には町中が黄葉したイチョウの木で黄金色に染まり、毎年「そぶえイチョウ黄葉まつり」が11月下旬に行われますが、今年はコロナ禍で中止となりました。そんな訳で、ちょっと早めにイチョウ並木の街並みを散策することにしました。 

 名鉄山崎駅の周りを散策すると、収穫期を迎えたイチョウの木が沢山あります。ブルーシートが敷かれた先には銀杏の実が落ちており、特有の臭いはしなかったものの、ご近所な方はこの臭いに悩まされる人もいるのではないかと思ってしまいます。まだまだ緑の葉の多いイチョウの木は、各務原市で見た背の高いイチョウの木は少なく、横に広がったイチョウの木が目立ちます。 

これは、イチョウの樹形が雄株と雌株で違うためで、雄株は上に高く伸びようとする樹形で、雌株は枝を横に広げようとする樹形なのです。銀杏を栽培する地域ですから、当然、雌株が多いのでしょうね。祖父江町には、金兵衛、久寿(久治)、栄神(栄信)、藤九郎、長瀬、喜平、嶺南など様々な品種があるようですが、素人の私にはまるで見分けがつきません。 

そして、山崎駅から少し歩くと「イチョウ寺」の異名をもつ「祐専寺」(ゆうせんじ)に着きます。このお寺に植えられているイチョウの巨木は「祐専寺イチョウ」の原木で、樹高20m、樹齢はなんと約300年と書かれていました。稲沢市の天然記念物に指定されており、山崎地区に植えられているイチョウの多くが、この木から接木したそうですから、祖父江のイチョウを象徴すると言える樹木です。 

 イチョウは生きている化石といわれ、その起源は今から25千万年前の古生代末2畳紀から中生代3畳紀にさかのぼり、中生代のジュラ紀から白亜紀にかけて最も繁栄した植物の一種だとか、そのイチョウが日本に渡来した時期ははっきりしませんが、中国から仏教の伝来とともに導入されたという事が定説となっています。そんなイチョウの木は街路樹として全国に植えられており、一般道の街路樹の中で一番多く植えられていると言います。 

 そんなことを考えていると小腹が空いたので、祖父江のお菓子所「花乃屋」を覗き、銀杏尽くしの銘菓、銀杏ういろ、大銀杏、祖父江のぎんなんパイパイ、銀杏まんじゅうを購入し、青空のもとで一口いただいたしだいです。もちろん家族のお土産分も購入して。黄色く色付いたイチョウは楽しめませんでしたが、美味しイチョウは楽しんだ定休日です。 

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ピーベリーは甘い?

 定期的にコーヒー豆を購入されるお客様が、「ピーベリーってありますか?ピーベリーは甘いらしいので欲しいのですが。」なんて質問されました。ピーベリーは甘い?どこでそんな情報を得られたのか不明ですが、お客様のピーベリーに対する甘い期待を裏切るように、「当店にはピーベリーはございません。」とお答えしたしだいです。 

 コーヒー豆はコーヒーノキの果実に入っている種子です。通常、果実には2個の種子が入っていますが、種子が成長する過程で片方が成長できなくなり、残った1個が丸く育つことがあります。これを「ピーベリー」や「丸豆」と呼び、2個育った豆の接する面が平らな豆を「フラット・ビーン」とか「平豆」と呼びます。『コーヒーの科学』(著:旦部幸博)によれば、「ピーベリーはしばしば枝の先端など栄養が不足しがちな個所に生じ、品種によっては210%と頻度は異なりますが、どの樹にも一定の割合で見られます。」とあります。 

 お客様が言われたような「ピーベリーは甘いらしいので」といった情報については同著には記されておらず、「ピーベリーはその希少性から一般に平豆よりも高級品です。先述のように栄養不足の箇所に生じますが、2個分の栄養が1個に集中するので「帳消し」になり、成分的には平豆と大きな違いはないようです。」となっていました。ただ、丸い豆は焙煎時には均一に熱が入りやすいことや、希少性から売り易いと珈琲屋さんからは好まれているのは確かなようです。 

 確かに、コーヒー豆によって甘味を感じることはあります。品種による個性であったり、精選方法による香味からくる甘味や、焙煎の違いによっても甘味を感じることがあります。質問されたお客様にはその旨ご説明しましたが、「ピーベリーだからといって高く売れば利益率が上がるのですよ。」とは、さすがに言えませんでした。 

 そんな『コーヒーの科学』のウンチクばかりでは脇が甘いと言われてしまうので、ちょうどハンドピックをしていたエチオピアのコーヒー豆から、ピーベリーとフラット・ビーンを別けて淹れてみることにしました。抽出を終えた頃にコーヒー豆を買いに来たリピーターが来店されたので、声をかけて二人で試飲します。二人とも「甘みの違いはないけれど、ピーベリーのほうが少しマイルドかな?」といった印象でした。 

 では、コーヒーの甘味の正体とはいったい何なんでしょうか?その答えについて『コーヒーの科学』では、コーヒーに焦がし砂糖のように甘い香りを感じる正体をフラノン類だとしています。コーヒーには甘味を感じるだけのショ糖の量は少なく、複素環式化合物の一種であるフラノン類によって生じる風味としての甘味だと上手く説明がつくというのです。 

 フラノン類?こうなると、見たこともないフラノン類に頭を悩ますことになるので、いっそ『コーヒーの科学』をお客さんに渡しちゃおうか!自分を甘やかしてしまう店主はコーヒーより甘いのです。

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曽良山から古関裕而まで

 お客様の中には色々な趣味を持つ方があり、先日、県内の各市町村の一番高い山を登るのが趣味だという方が来店されました。その方の話を聞くと意外な事実を知ることが出来ます。例えば、岐阜市で一番高い山は岐阜城のある金華山(標高329m)だと思っていましたが、長良川の挟んだ対岸の百々ヶ峰(標高417.9m)という山であったり。そして、今回は土岐市で一番高い山に登るため下見に来たといいます。 

 カウンターに座って見せて頂いたのが、バーデンパーク曽木で見つけたという「曽良山登山」というチラシです。曽良山?初耳!三国山じゃないの?土岐市で山と言えば三国山だし。だって、土岐市民の歌には♪♪三国の山よ 美濃の空 ひろがる野辺に 咲きかおる ひとつばたごの 白い花♪♪ってあるじゃないか。中学生の時に土岐市民の歌が出来たって何度も歌わされ、そのフレーズだけは覚えているし。 

 そう疑問に思い調べてみると、三国山は標高701mで、曽良山はチラシに記載されているとおり標高712.4mなのです。豊田市の旧小原村と岐阜県土岐市の県境に位置する山で、曽良山という呼び名の他に、鶴岡山や西山という三つの名前を持つ山でした。土岐市内にある山の中では最高峰で、古い文献によると、山頂には弘法大師が鳳来山方面からここを行脚した際に足跡をつけた「師岩」という岩があったとの伝説も残っているようです。 

 意外や意外と感心し、来店されるお客様何人かに「土岐市で一番高山は?」と質問すると、ほとんどの方が三国山だと答えます。自分だけではなかったんだ安堵していると、土岐市民の歌に登場する♪♪三国の山よ 美濃の空♪♪から、今、NHKの朝ドラで放映されている「エール」のモデルとなった作曲家の古関裕而が作った土岐市民の歌があるという話を聞きます。 

 この土岐市民の歌は、1971年の土岐青年会議所(JC)設立5周年記念事業として「土岐市民歌」の製作が企画されました。その際、自治体歌の多くで一般的に行われる歌詞の懸賞公募でなく、JCから日本コロムビアへの依頼によりいずれも同社専属の藤浦洸が作詞、古関裕而が作曲を手掛けて1970年に完成したそうです。ところが、完成した曲に対して作成に市民が参加していないことや「歌詞に地域の情景が乏しい」などの批判がJC内部から相次ぎ、発表される機会の無いまま「幻の曲」となったそうです。 

 そして、2年後の1972年、JCは「仕切り直し」の形で市民を対象に歌詞の一般公募を実施し、土岐少年少女合唱団創立者の松尾隆夫氏の作曲により新たに「土岐市民の歌」が作成・発表されました。さらに、1990年に市制35周年を記念して制定告示が行われ、正式な市民歌となったのです。 

 そんな経緯があるとは知らず、毎日のように見ている朝ドラのモデルが関わっているとはと思ったのは私だけではなかったようで、未発表になっていた土岐市民歌が、8月1日に土岐少年少女合唱団の約30人によって土岐市文化プラザで初披露されようです。その時の模様が土岐市公式YouTubeチャンネルにアップされていたので聴いてみましたが、今の土岐市民の歌の方がいいなというのが正直な感想です。 

 今回は曽良山から古関裕而に繋がる、ちょっと面白い話でした。

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