Filosofi Kopi

 予告映像に流れるコーヒー農園の映像を観てレンタルしてしまったのが、『珈琲哲学~恋と人生の味わい方~』(2015年)というインドネシアの映画です。インドネシア語でFilosofi Kopi(コーヒーの哲学)というカフェを共同経営する若者、そして彼らの過去とコーヒーの話です。 

 父親の残した借金とカフェの経営に四苦八苦し、まともにコーヒーを淹れる事も出来ないジョディ。バリスタのベンは「コーヒーにはそれぞれ哲学がある。様々な性格や人生の意味を見つけられるんだ。コーヒーさえあれば人は自分を発見できると。」と情熱と質の高いコーヒーを提供することばかりに余念がない。二人は親友だが、「原価が安い豆を使おう。」「うまいコーヒーにはファンがつく。」と、理想と現実の間で対立していた。 

そんなところに、店の評判を聞き付けた実業家から「完璧なコーヒー」を作れば高額な賞金を出すとの申し出を受ける。コーヒー批評家のエルも交え、3人は店の存亡をかけて完璧なコーヒーを追求するため、コーヒー農園に出かけながら、同時に個々の生い立ちや家族を見つめ直すきっかけを作るという内容です。 

日本語の副題に「恋と人生の味わい方」が付いてはいるものの、それぞれの登場人物が抱える父親との関係を描いており、恋も人生の味わうほど深煎りしてはいないのです。サイフォン、エアロプレス、ハリオV60と、エスプレッソ以外の器具も多く登場し、カフェの様子を内側から見るのは楽しいですが、Filosofi Kopi(コーヒーの哲学)という店名に合うような哲学も感じられなかった作品でした。 

まあ、ハッピーエンドだから楽しめ、面白いインドネシア映画であり、コーヒー農園の光景を見ることができたので満足ではあります。ところで、コーヒー生豆を仕入れる際にでてきた“キンタマーニ”ってどんな豆なんだろうか?