■ 2020年2月 ブログ

日本で最初

 今日から新しいコーヒー豆の販売を始めており、商品名は、「タンザニア サウステラAA」で、中深煎りで焙煎しています。 

 このコーヒー豆の産地は、商品名の通りタンザニアです。タンザニアでコーヒー豆の生産が行われているのは、キリマンジャロ山周辺のアルーシャ地区やモシ地区があります。そして、内陸部ではンゴロンゴ地区、西部ではキゴマ地区、南部ではムベヤ地区やムビンガ地区でアラビカ種が生産されています。それ以外の地区ではカネフォラ種(ロブスタ)が生産されていますが、アラビカ種は全体の7割程生産量のようです。 

全日本コーヒー公正取引協議会によると『キリマンジャロ=タンザニア産アラビカコーヒー豆をいう。但し、ブコバ地区でとれるアラビカコーヒーは含まない。』と規定しているので、「キリマンジャロです!」と言ってもよいのですが、キリマンジャロ山周辺の地域で生産されている訳でもないので、後ろめたさももあって「キリマンジャロ」という名称は使用しません。 

 今回のサウステラAAは、南部のムベヤ地区(Mbeya)のコーヒー豆で、商社ではンベヤ(Mbeya)と表示されているものの、地図表示をみるとムベヤとあります。「ン」の発音が難しいので「ム」になっているんでしょうか。精選方法はウオッシュドで、品種はN39KT423です。N39は、1935年にキリマンジャロに設立されたリャムングコーヒー研究所から1960年代に輩出されたブルボン系の品種です。でも、KT423はどのような品種に由来する物なのか結局分かりませんでした。 

 商品名「サウステラ」の由来は、タンザニア南部で見た星がとてもきれいだったことと、タンザニア南部のCPUから一番優良な、一番星のようなコーヒーを作っていきたいとの想いから、South(南部)+Stella()で「Southtella」 なんだそうです。本当に一番星のようなコーヒーなのかは、実際に飲んで確かめてください。 

 ところで、昨晩になってコーヒー生豆商社からメールはあり、「日本に入港後、初めてこの商品をご購入いただいたのが水野様でした!!本日、ご購入いただきましたのが水野様のみでしたので、2/293/2までは日本で水野様のみが販売する状態となります。」と連絡がありました。ということは、今日からこのコーヒー豆を販売したのが、まめ蔵が日本で最初になるってことです。何と面白い事か!こんな田舎の小さな店だけが、このコーヒー豆を販売しているとは笑えます。初めて好きの方は是非当店で!っていいたけれど、もう売っちゃいましたから一番乗りではないですが。そして、そんな付加情報なんて話してませんし。 

 実は、こんなことを連絡する為のメールではなく、「というのは前置きでして・・・。実は価格入力にミスがあり、本来の価格は〇〇〇〇円/kgです。次回のご発注時は上記価格となりますので、販売価格設定の際、ご注意いただけると幸いです。」というオチがありまして、少しトクして買えちゃいました! 

 思わぬところから、日本で最初を知ることになった日です。でも、どうした?っだけの話なんですがね。 

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もんげー

 岡山旅行の際に倉敷へ行ったのですが、倉敷の美観地区から倉敷駅へ帰る途中の商店街で、「もんげーバナナ」を販売する店を発見しました。数年前からマスコミで何度か取り上げられている1本600円のバナナです。「もんげーバナナ」は商品名で、「奇跡のバナナ」とも呼ばれており、岡山県の農業法人D&Tファームで作られています。「もんげー」とは岡山県の方言で「ものすごい」という意味で、確かにものすごい値段にビックリ!一般に売られているバナナが1本60円程度なので、何と10倍もするのです。普通なら見るだけで素通りしますが、旅行先とあって財布の紐も緩んでしまい、「旅の記念に!」と買ってしまいました。 

 このバナナが「もんげー」と名付けられた理由はいくつもあります。バナナの栽培に適した年間の気温1630度の熱帯生まれの果物が、氷点下にもなる日本の冬でも栽培ができること、さらに、味そのものも普通のバナナとは大きく異なり糖度が25度以上もあって、普通のバナナの約1.5倍だそうです。しかも「もんげーバナナ」は無農薬で育てられるため、皮が薄くてえぐみがないので、皮をむかずにそのまま食べられるといいます。もっとすごいのが生育のスピードです。普通のバナナは苗を植えてから実が成るまで1年半もかかりますが、このバナナは何とその2倍の速さで成長するので、約9カ月で収穫できるから収益の最大化が期待できるとか。 

 そんな「もんげー」美味しさを期待して購入したので、直ぐその場で食べたいところでしたが、店員さんから「2、3日後が食べごろですよ。」勧められたため、昨晩まで待って食べたのです。皮まで食べられるというので輪切りにして母親と三人で食べたものの、全員が???「これが600円?」と意見が一致。ちょっと期待のハードル上げすぎたのか、あまりにも普通すぎて残念でした。「希少」とか「COEのコーヒー」といって高っかいコーヒーを飲んだ時に感じる残念さと同じです。 

 味はともかく、日本で栽培が可能になった「もんげーバナナ」の生みの親は、農業法人D&Tファームの代表である田中節三さんが開発されました。田中さんが長年かかって確立した日本国内でもバナナが栽培できる方法は「凍結解凍覚醒法」と命名され、特許を取得しています。これはバナナの苗を約180日間かけてマイナス60度までゆっくり冷却します。人工的に苗に氷河期を体験させることで植物本来の遺伝子のチカラを覚醒させようというものなんだとか。この方法で作られたバナナの苗は全国各地で栽培が始まっているようです。 

 農業法人D&Tファームでは「凍結解凍覚醒法」で様々な果実を試験栽培しており、その中にコーヒーもあります。ハウス農園ではティピカを栽培しており、生育過程をホームページで見ることができ、通常日本国内でよりも早く成長する様子が分かります。確かにすごい事なんでしょうが、画像で見る限りではハウス栽培のため、露地栽培が可能なのか?サビ病などの耐性はあるのかなど不明な点が多いので何とも言えません。 

 ただ、日本国内でコーヒー栽培をすることで価格上昇は必ずあり、そこまでしても国内栽培のコーヒーを飲みたいとは思わないのが正直な気持ちです。「もんげーバナナ」と同様に、価格に見合う美味しさではないと思えてならないし、そもそも日常生活で飲むには値しないのでは? 

 岡山で「もんげーバナナ」に出会い、「もんげー」コーヒーを飲む時代がくるのかな?などと思ってみるのでした。 

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油亀へ行く

 現代陶芸美術館に置いてあったフライヤー(チラシ)の企画展、「珈琲のための器展 ~お酒はなくても、生きていける~」21日~322日)が行われている、岡山市内にあるアートスペース油亀へ行ってきました。

 気になるものは見てみたい、確かめたいという単純な理由で、「岡山まで行こうと思う。」と妻に話すと、「じゃあ私も行く!」というので、日帰りの計画を変更して一泊二日で岡山周辺も旅することになったのです。岡山は初めていく場所でもあり、企画展を楽しんだ後、倉敷の美観地区やジーンズで有名な児島の街を巡ることになりました。 

新幹線で岡山駅に到着すると、駅前には桃太郎御一行の銅像が並んでいます。そこを横目にしながら岡山駅前のバス停へ行き、路線バスに乗って就実高校中学前で降り、そこから歩いて5分程で会場に着くはずでした。ところが、バス停の数が多くてどれに乗ったら良いのやら?路線図を見ても目的のバス停が見つからず、結局地元の方に聞いて乗車したものの、車内アナウンスが気になって仕方がありません。テレビの路線バス乗継の旅がどんなに大変なのか、少しだけ分かった気分になったのです。 

就実高校中学前のバス停で降りてから5分程歩くと、目的の築140年の古民家をリノベションしたギャラリースペース油亀に到着しました。高山や白川郷のような重厚な古民家を想像していたら、意外にも平屋造りの横長な建物です。軒先のトタン屋根が錆びており、ギャラリーといったイメージとは遠い感じです。入口のガラス戸には亀さんマークの甲羅部分に「油」と書いたロゴがあり、なんだか子供の頃の自宅を思い出しながらガラスの引き戸を開けます。 

・・・狭い、天井低い、畳敷きの床が沈む。そんな古びた家屋には一面にコーヒーカップが並んでいます。中には陶器のドリッパーなども。今回の「珈琲のための器展」では、北海道から沖縄まで、全国各地の珈琲をこよなく愛する陶磁器・木工・ガラスの作り手たち60名以上の作品5000点以上が並びます。『一杯の珈琲に、心がふるえる。一杯の珈琲に、心が揺さぶられる。いつしか、琥珀色した魔法の飲み物なしでは、生きていけなくなった。珈琲なしの人生なんて!そんな珈琲愛好家、すべての人に捧げますおう』という紹介文のとおり、一杯のコーヒーを飲む時間が特別なものになるような器が並び楽しくなります。よ~く見ると、土岐市の作家さんの作品もありました。 

そんな器を見ていると、入口横の土間にある珈琲喫茶からコーヒーのいい香りに誘われます。このイベントの期間中、珈琲喫茶室では各地の珈琲屋さんが出張しており、22日・23日は広島市の自家焙煎珈琲店MOUNT COFFEEさんが出店しています。コーヒー一杯500円(お菓付き)で、今回のコーヒーはミャンマー・ブラクハニーを中煎りと深煎りで提供されています。妻と二人でそれぞれ注文しましたが、まめ蔵の焙煎度は両方の中間くらいでしょうか。 

アートスペース油亀に来て一番驚いたのが、このキャラリーへ来てから訪れる人が絶えないことです。それも若い女性が多い!狭い、低い、沈むスペースに、なんで若い人が集まるんだろうか?不思議に思って様子を見ていると、コーヒーカップを買う訳でもなく(お客様の作家さんの話ではメッチャ買ってくれるんだそうです、珈琲喫茶室でコーヒーを楽しむ人が目立つだけです。「お酒はなくても、生きていける」といった言葉と不釣り合いな光景を見ながら、「田舎者のおっさんには理解できないのか?」などと考えてみるのでした。 

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消毒液を置いています

 新型コロナウイルスの影響でマスクが不足しています。市内のドラッグストアやコンビニへ行っても在庫は無く、一時的に入荷しても開店と同時に完売となっています。一応、一家族一箱という制限があっても、発売日には開店前から人が並ぶ状況では、日中に働いている人には買うことすら出来ないのです。 

 そんなこともあって、神奈川県に住む娘から「マスク手に入らない?」と頼まれたものの、なかなか手に入れることが出来ませんでした。ところが、運よく立ち寄ったコンビニでマスクの在庫があり、その購入した分と自宅の予備を一緒に先日送ったしだいです。政府の発表では、国内生産を24時間体制にして増産しているとはいっているものの、多くを中国からの輸入に頼っている現状では、まだしばらくはマスク不足が続きそうです。花粉症の症状が出てきているので困ってしまいます。 

 お店の出入り口には消毒液を設置しており、先週まではほとんどの方が「あるのね!」といって見るだけで使用しなかったのに、今週に入ってからは何人もの方が使用しています。それだけ、テレビの画面に映る都会だけの話だと思っていたものが、この地域でも感染する可能性があるという認識に変わってきたのでしょう。 

 それはそれで良いのですが、新型コロナウイルスが認知されたと同時に、誤った知識やデタラメな噂話が増えているのも事実です。お客様どうしの会話を聞いたり、カウンター越しでの会話でも「おいおい!大丈夫か?」と心配になります。自分自身で正しい情報を入手しようとせず、口コミの噂話が広まって、さらに誤った部分が誇張されて伝わっているのを見ると、まるでタブロイド新聞や三流週刊誌のようです。 

 さてさて、いつまでこの状況が続くのやら。 

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ワークショップへ(2)

 先日のワークショップでの講義では、幾つかの資料が参加者へ配布されました。ところが、モニターに映し出された資料映像には、配布された内容以上のものが含まれており、ギリギリまで講義内容を準備されたことが想像できます。その中で、特に新鮮に感じたのが「認知科学的」という言葉でした。 

 その時に使用された内容が次のものです。 

『認知科学的にみた“売れる商品”の条件』 

・限定商品:季節商品、月替り商品(頒布会) 

・消費者参画商品:共同開発品など、根底ニーズの掘り起こし 

・グループ商品:消費シーンなどグループ化 

・シリーズ商品:オークション品、自社選択品など 

・新ブランド商品:商品のコモディティ化対策 

・シーズ発想の商品:提案型商品 

・柱商品の周辺ラインの拡大:ドリッパーなどとのシナジー 

・シンプル、ベーシックな商品:基本味覚路線の確定 

・遊びと癒し商品:楽しさ、ストリーテリング 

認知科学(Cognitive Science)とは、「心とは何か、心はどのように働くのか」という疑問を追求する学問分野のひとつです。1970 年代から学問分野としてのアイデンティティを確立し始めた比較的若い学問なのです。 

例えば、人が物を買う場合、本質的に私たち人間は合理的かつ論理的理由ではなく、遺伝的欲求、感情的な側面で99%、買う買わないを決断しているというのです。そうした、人はなぜ購入したのか?この人はなぜ購入しなかったのか? 顧客行動をデータに基づいて議論するもので、これにより、マーケティングが机上の空論ではなく、顧客中心のもっとリアリティのある理由を探るものへと進んでいきます。 

行動経済学者で2002年にノーベル経済学賞を受賞した、ダニエル・カーネマンという人物がいます。彼の発表した理論によると、Aさんの年収が1000万円から800万円に減給となった場合と、Bさんの年収が400万円から600万円に昇給となった場合、どちらが幸せに感じるかというと、明らかにBさんではないかと考える人が多数です。しかし、合理的・論理的には受け取る年収800万円Aさんの方が多いので、Aさんが幸せなはずです。 

彼の理論では、この受け取る絶対額の「状態」ではなく、「変化」に焦点をあてたものであり、幸せ・満足は、今の状態からの変化であるため、商品を売るには、顧客の今の状態を定義し、そこからどれだけ変化できるか? それを分かりやすく伝達することになります。「絶対量ではなく変化の幅」、どう変化するかを目に見える形で提供するかを、上記の“売れる商品”の条件として例示してあるという訳です。 

これまで、自分なりに様々な施策を行ってきました。ただ、それらは自分自身が興味のある事柄、それをすると楽しそうといった単純な理由からでした。もちろん、「自分が楽しいことは、お客さんも楽しいのではないか?」という発想も含まれてはいるものの、決して論理的でもないし、科学的な根拠はありません。ただ、販売データや顧客の購入状況を把握しながら数字は意識していた施策でしたが、そうしたものを認知科学的に説明されると、意外と的外れではなかったと思え、何だか新鮮に感じたしだいです。 

そうとうはいっても、商売は結果が全てですから、こうすれば必ず成功するというものでもないですし、全く異なったアプローチで成功している方も存在しています。今後も柔軟な頭で、変化を楽しむくらいの姿勢で取り組みたいものです。 

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鶴橋散歩

 せっかく定休日に大阪へ来たのですから、少しばかり寄り道しようと思い、2年前に妻から「大阪に行くならキムチを買って来て!」と頼まれて、揚句に迷子になりそうになって歩いた鶴橋に行くことにしました。前回は、初めてのお使いよろしく、頼まれたキムチを買っただけで何も食べることなく帰ったため、今回は、鶴橋グルメを堪能しようと歩き出します。 

大阪の鶴橋といえば日本で最も大規模な韓国人街です。日韓併合後の1920年代、大阪が工業都市として「東洋のマンチェスター」と形容されるほど発展していた時期に、労働者として朝鮮から渡ってきた人々が最初だと言われています。また、この頃には済州島と大阪を結ぶ直行便が就航されていたこともあって、済州島や慶尚道の出身者が多かったそうです。 

 戦後、交通の要衝でもあった鶴橋駅周辺には「闇市」と呼ばれる露天商が立ち並び賑わいを見せます。その後、日本と朝鮮系、中華系の商人によって商店街が形成され、現在では鶴橋西商店街、鶴橋商店街振興組合、東小橋南商店街、大阪鶴橋市場商店街振興組合、高麗市場、大阪鶴橋卸売市場共同組合という6つの区域に分かれています。今回は、こうした事前情報を基に商店街の地図を印刷し、JR鶴橋駅を降りたのです。 

 中央出口から出たものの、手元にある地図とは配置が合いません。一度駅に戻り、再び周りを見渡して目印となる商店街を探し、やっとの思いで6班通を歩くと、華やかな韓国衣装やその生地を売る店が並んでおり、左右をキョロキョロしながら歩きます。最初の四辻を右に曲がって見えてきたのが店頭で調理をする光景です。 

ここは韓国惣菜の店「土井商店」で、チヂミやキムチをはじめ韓国食材が店頭に並びます。調理をしている前のカウンターに座り、韓国ソウルの市場で食べるよう気分を味わいながら、ニラチヂミとトッポギを楽しみます。チヂミは作り置きしてあるものを焼き直し、食べやすくカットして提供してくれるため、熱々を食べることができ、ちょっと辛いトッポギのタレに付けながら、ホクホクしながらあっという間に完食です。 

鶴橋といえばホルモンと焼き肉です。そこで、近鉄駅方面の鶴橋西商店街へ向かうため、薄暗い高架橋を潜り焼肉の臭いが立ち込めるエリアに入ります。「さて、どこに入ろうか?」と迷って歩いていると、再び先程の店へ戻ってしまい、またもや迷路に迷い混んでしまいました。そこで、今度は目の前に見えた店にしようと決めて歩き始め、目についたのが「鶴橋ホルモン本舗」です。 

焼肉屋がひしめいているこのエリアの住所は、生野区ではなく天王寺区下味原町になります。昼間ということもあって準備中の看板が目立ち、夜には賑やかな様子になるだろうと想像しながら店内に入ると3階に案内されました。狭く急な階段を上って座敷にあがると、既に数人の客が食べています。その食べているメニューにつられて「9種のホルモンランチ」(1200円)を注文し、もう腹いっぱいの状態です。 

最後には、前回来た際に妻に頼まれたキムチの店に行けなかったこともあり、近鉄鶴橋駅の東出口近くにある「岡村商店」を見つけてキムチを購入し、これで何とか名誉挽回です。 

夜の鶴橋も魅力的ですが、ほとんど下戸の私では帰宅することが困難になるため、昼の散歩が丁度良いのでした。 

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ワークショップへ

 定休日を利用し大阪へ出かけ、㈱富士珈機 大阪本社で行われた、コーヒービジネスについてのワークショップに参加してきました。講師はスペシャルティコーヒーの生豆商社である、ワタル株式会社の井上英司氏です。 

 受講対象としている人は、「自家焙煎店を開業したいけど、どんなお店にしたらいいのか決まらない。」とか、「美味しい珈琲を焙煎しているのに、なぜか儲からない。」ということなので、少々不向きな感じを持たないわけでもないのですが、「コーヒービジネスモデルを科学的に考察するワークショップです。」だったり、「過去の事象を参考にし、現在の市場とニーズを読み取り、では今、何をすべきなのか。」という、前向きな言葉に興味を持ったのです。 

 一人でお店をしていると、自分がやるべき仕事だけ黙々とキッチリやって、ややこしい事に関わらずに自由にしたいと思いがちです。開業する前に多くの自家焙煎店を巡りましたが、私と同じように一人で切り盛りしている方の多くが、人とのコミュニケーションが得意でない、勉強する事が苦手、人や会社、ルールに縛られたくない、愛想良く人とにこやかに話すのが出来るくらいだったら、こんな仕事してはいない、なんて個性的な人にも出会いました。 

 そんな「変われない、変わらない」店主にはなりたくないので、たまには外の空気を吸って、多少居心地が悪くても、客観的に自分を見つめ直す環境を作りたいと思って参加した訳です。ですから、このワークショップを経験したことで急にお客さんが増えたらいいな、といった淡い期待は抱いていないのです。 

 ワークショップを受講するまえに、事前に宿題が与えられたのが次の課題でした。 

1:現在開業前です。駅前に10坪程度(家賃15万円程度)の挽き売り店を開業希望でしたが、ちょうど良い立地に30坪(家賃25万円)の物件が出てきました。貴方なら、この物件を借りますか?借りませんか?その理由も明記してください。 

21.の物件を借りたと仮定します。貴方なら追加される20坪でどのような事をしますか? 

3:開業して2年が経ち、売り上げが下がり始めました。貴方なら、どのような打開策を投じますか? 

4:開業して3年が経ち、貴方のお店で販売するメインのブレンド豆の販売量が安定しません。貴方ならどのような打開策を投じますか? 

5:開業して4年が経ち、販売が安定した頃、近所にコーヒー屋ができました。貴方ならどのような打開策を投じますか? 

6:貴方の「美味しいコーヒー」の定義を教えてください。 

7:貴方の目指すコーヒー屋はどのような店舗ですか?箇条書きで回答下さい。具体店名で回答でも可 

 これらの回答について個々に触れることはありませんでしたが、参加者が自分の答えを導き出せるような講義が行われ、その資料には冒頭「コーヒービジネスは構造的に儲からない」という否定的な言葉から始まります。大手コーヒーチェーンやコンビニコーヒーの台頭によって、小規模の珈琲屋にとっては、人事生産性の悪さ、販売チャンネルの多さ、差別化の難しさ、EC(イーコマース)の反応の悪さ等々、解決すべき課題が山積みです。そのため、「儲かる」定義により異なりますが、一般サラリーマン並に収益があるのは10%以下だそうです。これが、約2500社といわれる珈琲屋の現状です。 

 そうした現状を理解したうえで、「何を 誰に どのように」売っていくかを明確にしていくことが基本であり、コーヒーを通じて「物が事になっていく」商売を考えるべきだといいます。これまで、思いつきのような楽観主義で進めてきたことに反省しながらも、自分の行ってきた施策を見直してみる貴重な時間となりました。 

 今回まで様々なコーヒー関連のセミナーを受講してきましたが、切り口の異なる内容も良いものです。珈琲屋を長く続けるためにも。 

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電子決済は利用できません

 お店にいると、電子決済への導入勧誘が時々あります。最近では、〇〇Payや〇ポイントの事業者からのものがあり、〇〇Payは名古屋の人材派遣会社から複数の営業マンがやってきました。〇ポイントは地元の携帯電話営業所から、担当エリアを訪問しているようです。 

 いずれも、セールポイントは利用者の利便性アップと還元策をPRし、事業者にとっても集客力や客単価をアップさせる良い機会だと勧めてきます。まったく、メリットばかりが話題になる電子決済です。 

それにしても、〇〇Payは資金力が半端なく、いつまで決済手数料無料やキャンペーンが続くのだろうか?それだけ、お金をかけてもシェアを奪いたいんでしょうね。そのお金に踊らされ、無駄遣いをしてしまう人たちの多い事か。 

 コーヒー豆を購入されるお客様にも、こうした電子決済の利用実態を尋ねることがあります。還元率の高いサービスや利用可能店舗数の多いものなど、意外に複数の電子決済を利用されており、プールする金額もバラバラになって無駄が多く、お客様曰く「けっこう余分なもの買っちゃうネ。」とも言われます。なんだか無理やり経済活動をさせられているような気がします。 

 日本でのキャッシュレス化が隣国と比べて低いとか、オリンピックを控えて国際基準にしようとか、キャッシュレス化によって町のATMを減らして維持管理費を減らすなどの理由もあるかと思うのですが、人々に無駄遣いを奨励しているようで、日本には馴染まないと思えてなりません。 

 事業者側における決済手数料も、中国のAlipayのように手数料が原則無料であれば、利用者だけでなく加盟店も増やしやすくなります。ただ、GoogleFacebook のように、集まった利用者やデータを基に広告モデルを展開し、付帯サービスへのビジネス展開を図れることで無料化を実現できる反面、常に誰かに監視されているようで薄気味悪さもあります。携帯の位置情報を基に、Googleへの投稿を促されるメールを見ると、「あら、見てたのね。」ってな気分になります。 

朝ドラの「スカーレット」に登場した、ジョージ富士川(西川貴教)の決め台詞「自由は不自由や!」ではないですが、「便利は不便や!」といったところでしょうか。そんな違和感もあって、当店では「電子決済は利用できません」との意思表示をさせてもらいます。 

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ドラマ的ガイド番組

 昨日は、焙煎したコーヒー豆のハンドピックをしながら、YouTubeで限定公開されている「純喫茶に恋をして」の第1話を見てみました。本の町である神保町で1955年にオープンした喫茶店「さぼうる」が舞台です。「孤独のグルメ」のスタッフによりドラマ的ガイド番組として、売れない漫画家・妄想家のアラサー男子の烏山純平が迷い込み、そこで起こる様々なドラマというのが内容です。 

でも、所詮短い時間内ではドラマ的なものは期待できないので、「孤独のグルメ」のように、無性に「腹がへった!」気分になるような、「飲みたい!」気分にさせてくれれば良いのですが、いかんせんコーヒーが出てこない。フレッシュジュースやクリームソーダ、厚切りピザトーストでは、「飲みたい!」という衝動が起きません。 

浮かんでくるのは、チコちゃんの「かき氷のブルーハワイは何でもいい味!」とか、「珈琲屋なのにクリームソーダが一番人気の店があったな。」くらいのものです。厚切りピザトーストに懐かしさを感じるものの、店名の「さぼうる」がスペイン語の「SABOR=味・旨味」に由来するオチまでつけてしまい、ウケを狙い過ぎの気がしてなりません。 

 それよりも、BSテレ東で1月から放送が始まったコの字酒場を舞台とする「今夜はコの字で」の方が、お酒の飲めない私でも「行ってみたい!」という気にさせてくれます。まあ、共感できるツボが年代的に異なるのかもしれませんが、こうしたドラマ的ガイド番組がウケるのも、今の時代に合っているのかかな? 

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冬の風物詩

 1月には庭の水仙が咲き、家の一輪挿しに花が飾ってあります。そして、昨日は妻が「梅の花が咲き始めたよ」と教えてくれました。お店の中にいると外の変化に気付くことも少なくなるため、出来るだけ季節を感じるような生活に心がけたいものです。そこで今日は、恵那市山岡町下手向方面へ向かい、冬の風物詩でもある寒天作りを見に行くことにしました。 

 寒天の原料は海で取れる天草です。「なぜ海のものが山で?」と思われるかもしれませんが、山岡町の昼暖かく、夜が寒いという気候に理由があります。寒天の名の由来は「寒ざらしのところ天」から来ており、夜の寒さでところ天が凍り、昼の暖かさで水分が溶けて落ちる。それを繰り返し、水溶性の食物繊維を多く含んだ良質の寒天ができるのです。 

 山岡でも寒天作りが行われているところは下手向、上手向と呼ばれる地域ですが、今年は暖冬ということもあって、寒天作りをしている作業場は一部しか見られませんでした。ちょうど小雪が舞い落ちる中で数人の方が作業をされており。何枚かの板の寒天は綿帽子をかぶっています。寒天作りの最終工程の作業だけは人目に触れることができますが、それまでに多くの時間と労力が必要とされます。 

 細寒天の作り方は、先ず原料となる天草を48時間水に浸け、塩分、貝殻、土砂が取れやすくした後、ドラム式洗浄機で水洗いします。その後、鋳鉄製の釜に入れて約12時間煮込み、ろ袋に汲出してコンクリート製の重しをのせ搾り出します。それを凝固船と呼ばれる箱に流し込んで約20時間かけて凝固させます。さらに、凝固したものを羊羹状に切って乾燥場へ運び、よしずの上に羊羹状のところてんを大きな天筒で突き出し、手で同じ厚みになるよう広げます。そうやって凍結、乾燥を繰り返すのですが、凍結させる際には「凍てとり」と呼ばれる、氷点下0度になった際に氷をふりかけて凍結を促す作業も行われます。 

 こうした冬場の作業には、多くの出稼ぎ労働者が携わってきました。現在でも東北からの出稼ぎにこられる方によって支えられていますが、かつては、上越市の旧安塚町から冬場の出稼ぎ先として、最盛期は数百人の人達が寒天づくりに来られており、それが縁で昭和52年山岡町と友好町村を締結しています。 

 その頃の様子が、中日ニュースの昭和53年2月資料映像にも残されており、「大正末期、米作農家の裏作として政府が奨励して以来、今日まで栄かえ・・(中略)今、この町に寒天生産にたづさわる人は300人程いるが、このうち80人が新潟県の安塚町からの出稼ぎである。」とあります。 

 1年ぶりに冬の山岡町に訪れ、季節を感じながら歴史を振り返るのもいいものです。 

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練乳を作ってみた

 昨年8月、「深煎り焙煎の香り豊かなコーヒーに、甘い練乳を思いっきり注入!」(ローソン公式サイト)という謳い文句で「悪魔のコーヒー 180ml 」が発売され、ロブ大注入!を味わいました。その後、11月にはファミリーマートより「森永 た~っぷりミルクの練乳ラテ」が先行発売されます。 

 今年に入って、ローソンから128日より、砂糖を6割増加させてリニューアルした「悪魔のコーヒー II」を発売されています。さらに、日本マクドナルド(東京)からは、すっきりとした後味の練乳入りコーヒー「ベトナムコーヒー風 練乳アメリカーノ」を「マックカフェ バイ バリスタ」併設店舗で発売と、練乳入りの甘ったるいコーヒーが人気のようです。 

 つい先日も、お客様から「多治見にオープンしたベトナム料理店で、ベトナムコーヒーを飲んだら家でも飲みたくなった。」と言われ、作り方を尋ねられたので「濃いインスタントコーヒーに、練乳は大量投入!」と話しました。 

 その時、練乳っていったい何?ふと、そう思ったのです。牛乳と砂糖でできているくらいはイメージしていたものの、何か特別な製造方法でもって作っているのだろうか?くらいにしか想像していなかった私は、急に気になりだしてきます。そこで、製菓用に保管していた森永ミルク(加糖れん乳)のパッケージを見ると、原材料名には生乳(国産)、しょ糖(44.4%)のみです。「へ~?そうなんだ。」と改めて驚き、「じゃあ、作ってみようか!」と思い立ちます。 

 レシピ・サイトを見ると作り方はたくさんあり、単純に煮詰めるだけでよさそうです。100ccの牛乳(国産)に、45gの砂糖を鍋に入れ、沸騰させた後に弱火にし、ゴムベラで混ぜながら煮詰めていきます。最後に、とろみがついたら鍋を冷水で冷やして完成です。見た目も味も全く同じ。意外に簡単にできますが、保管のことを考えると市販品を購入した方が楽ですね。 

 明日は、この練乳を使ってベトナムコーヒーを淹れてみようかな? 

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節分会

 昨日は、我が家の節分準備を済ませ、お店に行って焙煎を始めます。ところが、外では電気工事の車両が何台も並び始めザワザワとします。昼から2時間ほど停電になることを思い出し、3種類のコーヒー生豆を焙煎して今回は終了です。そこで、偶然にも節分の日に定休日になったこともあり、車で名古屋市守山区にある「龍泉寺」まで向かうことにしました。 

 龍泉寺は、荒子観音、笠寺観音、甚目寺観音と並んで尾張四観音のひとつと数えられており、家康公が名古屋城を築城した際に、名古屋城から見て鬼門の方角にあたる寺院を名古屋城の鎮護として尾張四観音と定めたことがはじまりです。毎年23日の「節分会(せつぶんえ)」が行われ、参道には屋台が多く並び参拝者で賑わっています。 

 祈祷(5000円から)を受けた人は豆まきをすることができ、23日の午後515分頃より「福木・福餅投げ」が行われて、福木・福餅を取ると一年「福」が訪れるといわれています。けれど、人混みを見ると「福」どころか怪我をしてしまいそうなので、ご利益のありそうな「福豆」を受けて、自宅の豆まきに使用することにしました。 

 この龍泉寺は庄内川が大きく左に曲がる山上にあり、展望台からは春日井市街が一望できます。大きく広がる濃尾平野を感じながら西を見ると伊吹山、北には木曽の山々を眺めることが出来ることら、戦国時代には陣所と使用されることもあり、1584年の長久手の合戦では、尾張・小幡城に進出した徳川家康を討つべく犬山城から進撃した羽柴秀吉が、夕暮れとなったために竜泉寺を陣所としたそうです。また、境内の一部に「太閤堀」(一夜堀)と呼ばれる空堀があり、豊臣秀吉が築いたものとされています。 

 そんな戦国時代の要所でもあったことから、何度も火を放たれており、その度に再興されてきたようです。丁度、大河ドラマが放映された翌日ということもあり、節分の日にちなみ「節分会」の行われる龍泉寺にドライブへ行った休日となりました。 

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準備できました

 今朝、玄関と裏口の柊鰯をセットし、夕方に予約注文しておいた恵方巻きを受け取れば、今日の私の役割は終了します。毎年のことながら季節の行事を繰り返すことも、日々の生活にメリハリがあって良いものです。 

 この「節分いわし」とか「柊鰯」といって玄関に飾り、魔除けや厄除けとして用いられているもので、夜には豆まきをする訳ですが、豆(まめ)は「魔の目(魔目=まめ)」に豆を投げつけて、「魔を滅する(魔滅=まめ)」に通じるという意味合いがあるようです。同じ「まめ蔵」の「まめ」とは意味合いが大きく異なります。 

 柊鰯と豆まきで追い払う「鬼」は古来から様々な伝説があって、あたかも実在したかのような物語が全国各地で見られます。この地方にも桃太郎神社があって、鬼の造形物が迎えてくれる光景を見ると、一度、そうした鬼に由来する名所を散策したくなります。 

 さて、今年の恵方は西南西だとか、朝の焙煎を始める前に、日本から西南西の位置にあたるインドネシア・マンデリンを飲みながら準備しますか。 

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