■2024年2月 ブログ

ドーン

一昨年から、糖分と油脂分が多いのが特徴だった高級食パンのブームが去り、昨年には、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要で、空前のブームとなった唐揚げ専門店ブームも下火となりました。いずれも、同業他社が乱立する競争激化と原材料費や光熱費の高騰のうえ、多くがFC店ということもあって、利益が減少する中で高いFC加盟料を払い続けることとなるため、廃業に至るケースが目立ちます。

個人事業として開業するケースの多くが、事業を始めて1年後に生き残っている割合は、62%ほどといわれています。3年後にはその割合は38%程度まで減少するため、3年以内に60%以上の個人事業が廃業していることになります。〇〇ブームだからといって、勢い参入したところで、開業当初は売れ行き好調であっても、徐々に下火となるのが普通だということです。

 市内には高級食パンの店は無いものの、パン屋さんは私の知る限り、ここ数年の間に5店舗は増えています。FC店ではなくとも、パンのロス(廃棄)は作ったパン全体の約510%あると言われるので、一部の店では夕方から値引き販売したり、売り切るまで営業時間を延ばしたり、中には売れ残ったパンを車に乗せて売り歩く光景を見たりします。その点、減った分だけ生豆を焙煎する小規模な珈琲屋の私としては、ロスは無いものの、ブームに乗るにも乗れないのが現実です。

 ちなみに、コーヒーブームとかカフェブームとの言葉を聞きますが、全日本コーヒー協会の統計資料を見れば、業者による売る側の論理で形成された偽りのブームだと分かります。全体としてはコーヒーの飲用は減少傾向にあり、自動販売機のコーヒーがコンビニコーヒーに移行し、喫茶店利用者が大手コーヒーチェーンに移動しただけだったりするのですから。日本の人口が毎年、鳥取県の人口分減っていっている現状を見れば、コーヒーを飲む人が増えている筈もないのです。

 最近では、222日の中日新聞で、『25年度完成を予定していた土岐市泉町定林寺の「泉北部レクリエーションゾーン」の建設事業は、24年度に造成工事着手を計画していたが、建設に携わる「スノーピーク地方創生コンサルティング」の親会社「スノーピーク」(新潟県三条市)が自社買収(MBO)を実施することを受けて、急きょ予算から外して休止する。現段階では事業の再開は未定。スノーピーク地方創生コンサルティングと親会社の経営状態を確認し、今後の方針を協議していく。』という記事がありました。

キャンプブームに乗っかって計画された大型のレクリエーションゾーンの計画でしたが、スノーピークをめぐっては、213日に発表した202312月期決算で、売上高が前期比16%減の257億円、純利益は同99.9%減のわずか100万円と大幅減益を発表、一時株価が急落しているうえに、今回の自社買収(MBO)を実施ですから、キャンプブームの終焉を象徴しているかのようです。

ブームとは英語ではboom。日本で使われているブームは流行という意味で使われる事が多いですが、ブーン[ドーン]という反響音が鳴り響く、〈大砲・雷などが〉とどろく、〈声・オルガンの音などが〉響くといった意味から派生しており、大砲がドーンと鳴り響いても、続けて連打されることなく終わってしまうものなのです。決してスタートの合図でブーン[ドーン]と号令が鳴り響いた訳ではないことを忘れてはいけません。 

新型コロナウイルス感染症もブームのごとく終焉を迎えて欲しいのですが、こればかりは一過性には終わりそうもありません。昨年末に私も感染し、先週は妻も感染してしまいました。そのためか、定休日を挟んでも疲れが取れていない状態です。

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ガラスの中の世界

雨の降る日は遠出をしたくないので、ガレリア織部(多治見市)で今月29日まで行われている、『ノグチミエコ ガラスの世界展 「地水火風空」』を観に行ってきました。

「地水火風空」とは、仏教でいう、宇宙のあらゆる世界を構成しているとする、地(ち)・水(すい)・火(か)・風(ふう)・空(くう)の五つの要素のことです。太陽のように燃える灼熱の溶解炉から生まれるガラスによって宇宙が表現されており、思わずじっと屈みこんでガラスの中に広がる空間に見とれてしまいました。

宇宙とは銀河家のような空に広がる空間もありますが、逆に細胞から素粒子へと細分化された世界の中にも宇宙のような広がりを感じます。そんな二つの世界をガラスの中に描いた作品は、覗き込んだ瞬間に時が止まったような感覚になります。

 そんな宇宙を描いた作品と趣が異なるものの、富士山麓の「白糸の滝」の美しさに触発されて制作された「瀧(たき)シリーズ」は、流れ落ちる滝の音が聞こえてくるような雫が印象的です。いずれの作品も「どのように作るんだろうか」と眺めていると、ちょうど作家さんも居たので説明を受けたのですが、チンプンカンプンの理解不能です。 

 定休日の午後にガラスの中の世界を覗いて、外の雨も忘れる一時を過ごしました。

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休眠打破

日本気象株式会社は、215日に2024年第4回桜の開花・満開予想を発表しました。北海道から鹿児島までの全国約1,000か所のソメイヨシノについて、今年の開花・満開予想を行っており、今シーズンは全国的に休眠打破の時期は平年より遅くなった見込みですが、休眠打破後の気温が平年より高めと予想され花芽の生長速度も速く、休眠打破の遅れを取り戻すため、全国的に平年並みか平年より早い開花となるとのこと。

 何度も「休眠打破」という言葉が使用されますが、桜の蕾(花芽)は、冬に入る前にいったん休眠し、成長を止めるそうです。そして、冬の厳しい寒さによって再び目を覚まし(休眠打破)、そこからは春の暖かさによって成長していくようです。

つまり、冬にある程度寒くなることが早い開花には必要だというのです。そのため、九州は東京よりも気温が高いため、「寒さ」による目覚めが遅くなり、東北などは寒い分、目覚めは早いのですが、「暖かさ」が足りない遅い分、成長が遅れことから、「寒さ」と「暖かさ」のバランスが絶妙な東京が、今年も開花のトップバッターの予想が出ています。

そんな桜のニュースが出始めたことから、今年も「桜のロールケーキ」を作ってみました。もっとも、このニュースの前にお客様から「まだ作らんの?」と言われたこともあるのですが、イチゴやイチジクといったロールケーキと違って“映える”ことのない地味なロールケーキなので、少しばかり躊躇していたのです。原価は生地に混ぜた桜葉のパウダーや、生クリームに入れた桜のジュペ、桜餡など、地味なのにイチゴやイチジクと変わらないだけに迷っていたのです。 

そんな迷いも、桜の開花予想のニュースが作り始めるキッカケになった訳で、ある意味「休眠打破」効果なのかもしれません。ちゃうか?

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寄り道

先日一年ぶりに、ロンドン在住のデビッドとミキさんが来店されました。カウンターに座りながらコーヒーの話などをする中で、「今度、東京へコーヒーのセミナー行くんです。」と話すと、急にスマホを取り出し、「東京へ行くなら、この店に行くといいよ!」と教えてもらったのがCOFFEE葵」です。コーヒーセミナー会場の最寄駅である青山1丁目から、新橋へ向かって3駅先の虎の門から歩いて行ける場所にあったので、セミナーの帰りに寄り道してみました。

 虎の門駅から虎の門ヒルズへ歩きながら、大規模ビルが立ち並ぶ一角を左に折れ、さらに右左とスマホ頼りに歩いていくと、そのハズレにひっそりと佇むウッディな外観に、“COFFEE”の看板が目に留まります。引き戸を開けて入ると、カウンターが目の前に見えるものの、照明の落とされたムードあるバーのようで、目が慣れないために突っ立っていると、「カウンターへどうぞ。」と二度も言われてしまいました。この時点で、「嫌な客が来たもんだ。」と思われたのかもしれません。

まるでお化け屋敷へ入ったかのような暗さでしたが、徐々に目が慣れてきます。目の前にはお化けどころか若い女性が立っており、この方が店主のようです。コーヒーとスウィーツのメニュ表を出され、深煎りのコロンビアとチョコレートケーキを注文し、暗さに慣れた目で見ると、正面左に小型焙煎機「ナナハン」が置かれ、正面右にはコーヒー豆の入ったガラスケースと陶器の器が数種類並んでいました。(美濃焼ではなさそうです)

ハリオのドリッパーに濾紙を置いて湯通した後、数回に渡って注湯する姿を見ながらカウンターの左を見ると、六角形が特徴のディープドリッパーらしきものがあります。照明の落とされた店内はカウンター4席とテーブル1席(2名)の小さなことがようやく分かりました。

陶器の器で出されたコーヒーとケーキを楽しんでいると、店主はバックヤードに入ってしまいました。一人だけ薄暗い店内でコーヒーと向き合って気付いたのが、先ほどまで都会の喧騒の中にいたことを忘れている自分がいることでした。なるほど、この店は心をリフレッシュさせてきれる場所なんだと思いながら、デビッドとミキさんがこの店を勧めてくれた意味が分かったような気がしたのです。 

帰路の途中に調べてみると、「COFFEE葵」は「やきまめ葵」という名前で、イベント出店やオーダーを受けて焙煎をするコーヒー豆販売を行われていたようで、20206月にこの場所にオープンしたようです。

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久しぶりのCOEカッピング

今日は、UCCコーヒーアカデミー東京校で開催されたCOEカッピング会、「タイ&コスタリカ COE2023ロットを楽しむ」へ行って来ました。まめ蔵では取り扱うこともないCOEのコーヒーですが、それだけに自分の知らないコーヒーの世界があると思い、強い興味だけで足を運んだという訳です。

コロナ禍前には、何度かCOEのカッピングセミナーには出かけて来たものの、4年ぶりとなると多少緊張する中で向かいましたが、会場へ入ればコーヒーの香りに包まれて落ち着くことができます。そして、前半にコスタリカのCOEカッピングの後、タイのCOEといった流れで始まりました。

コスタリカCOEでは、上位30ロットの内、ゲイシャが15と半数を占めており、ナチュラル4、ウオッシュド2、ハニー4、アナエロビック5と、「なんでゲイシャをアナエロビックにまでする意味あんの?」って疑問が湧いてきます。さらには、ケニアのスペシャルティコーヒー界でメインになっている、SL28やサン・ロケ(San Roque)などと呼ばれる豆が12もあり、COEの大半がゲイシャとサン・ロケで構成されている状態に驚くばかりです。コロナ禍前に経験したコスタリカCOEのカッピングの内容と様変わりした光景を目にしました。いや、口にしました。

 そのCOEの豆をオークションで競り落とした内容を見ると、台湾・中国といった中華系ロースターや韓国の存在の多さに加え、タイやインドネシア、そして日本を含めれば、このCOEってのは、アジアの珈琲屋のためにやってんじゃないの?と思えてきます。それに、2020年まで1aのロットを必ず競り落としていた、日本の某有名会社の名前がなくなりました。これも時代か?

 後半のタイのCOEは、カティモールが16ロット中12を占めています。以前から栽培されていた品種で栽培環境に適したものでしょうが、その分、ウオッシュドは2つのみで、ほとんどナチュラルやハニーといった精選方法で個性を出しているようです。コスタリカと異なりオークションの対象となる重量が極端に少ないため、入札しやすい価格総額となります。

 COE(Cup of Excellence)とは、生産国内及び国際審査員であるカッパーによって、複数回のカッピング審査の後、一握りのコーヒーだけがCup of Excellenceの称号を授与されます。その後、審査結果と共に各国にサンプルが送付された後、インターネットオークションを通して最高値の応札者に販売されます。農園が栄誉ある称号と高値の報酬を受け取ると同時に、オークション参加者は顧客に高品質のコーヒーを提供できるウィン・ウィンの関係だといいますが、高額なコーヒーは一部の人しか飲めないし、COEの冠に踊らされて飲まされているようで不思議な気分です。

 今回の参加者の一人から「1位のスコアが高すぎるのでは?」といった意見が出ましたが、そもそも、私が珈琲屋を始めたころはスコア85点以上がCOEだったものが、2016年から86点となり、今では87点以上になっていることからも、点数なんてあてにならなくなっているのです。国際審査委員も韓国・中国・台湾が台頭し、評価の見直しも必要ではないかって話も聞きました。

 パチンコ機器メーカーが所有する農園がCOEに入賞したり、ゲイシャの対抗馬のようなサン・ロケが増え、勢いのあるタイのコーヒーといった内容盛りだくさんのカッピング会でしたが、以前のような驚きが無かったというのか正直な感想です。むしろ、ウエルカムドリンクで提供された、ブラジル・ダテーラ農園のコーヒーが美味しかったのが印象に残りました。 

 それにしても、田舎者には東京は疲れる場所だ。

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梅の花

 ヤフーニュースを見ていたら、「きょう(月)午後は天気の回復する地域が多く、日本海側も晴れ間がありそうだ。きのうより気温が高めで、2月下旬~3月上旬並みまで上がる所が多い見込み。あす13日(火)以降はさらに気温が高くなり、週の半ばは関東から西で20℃前後まで上がる所がありそうだ。」とのこと。

 そんな晴天に恵まれてか、我が家の梅の花も開花しました。過去のブログを見てみると3月に入ってから開花していることが多く、今年はかなり早く咲いたことになります。同時に、花粉症の季節がやってくるため、梅の花を愛でる余裕も今だけかもしれません。一応、前回の掛かりつけ医受診の際、花粉症の薬を処方してもらい対処は出来るのですが、悩ましい時期が今年もやってきます。

 梅といえば「松竹梅」という、食事のランク付けにされて最下位のイメージですが、実際には、三つとも縁起が良いものとされ上下の差は無いそうです。けれど、このランク付けに利用される言葉の中には「松竹梅の法則」というものもあったりします。

人は、価格の選択肢が3つある場合、ついつい真ん中のものを選ぶ傾向にあるといいます。一番高いものを買おうとするときは、「とても良い商品だけど、価格が高くて自分には贅沢かもしれない」、「価格が高いだけに、思い切って買って失敗したらショックが大きいかも」という心理が働くそうです。逆に、一番安いものを選択した場合、「確かに安いけど、品質に問題があるかも」、「一番安いものだと、ケチだと思われるかもしれない」といった心理が働き、結局、極端なものを避けようとする心理が働くというものです。 

ただ、私の場合は「ケチだと言われてもいいから、最低限の品質さえあれば安いのが良い」と思っているので、「梅」を選択することが多いと思います。

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飲んでみたいな

最近になって、タイでもCOE (Cup of Excellence)が始まったことを知りました。コロナ禍の20213月に、生豆商社によるWebセミナーでインドネシアとタイのコーヒーについて話を聞きましたが、その際、タイにおいてはロブスタがメインに生産されており、自国消費が多いためにコーヒーを輸入している状況を知った程度だったので、正直、驚いたのです。

まめ蔵でも、過去に、タイ北部のミャンマーとの国境近くに位置するチェンライ県の生豆を使用したことがあります。しかし、アラビカの生産量が少ない中で、生産国の高品質のコーヒー豆を決定するための品評会が出来るのか不思議に思い、アメリカ合衆国のNPO法人Alliance for Coffee of Excellence、通称ACEのホームページを覗くと、確かに2023年の実績から掲載されていました。

一応、2022年に試行的に行われた後、2023年に本格的に行われたようですが、個々の生豆の重量が極端に少ないようです。タイでは北部の少数民族によってアラビカが生産されており、小規模ながら高品質なアラビカの精選も行われており、ナチュラル、ハニー、アナエロビックといった処理方法も取り組みされているとWebセミナーで聞いてはいたものの、タイのコーヒーについて知らないことが多いことを実感します。

タイ北部の山岳地帯では、ゴールデントライアングルと呼ばれた、焼畑農業による麻薬の原料となるケシの栽培が行われてきました。山岳民族が生計を立てるために栽培していた訳ですが、同時に地元住民の健康被害が深刻な状態となっていました。そのため、1988年に王室が「ドイトゥン・プロジェクト」を立ち上げ、環境破壊と麻薬を撲滅し山岳地方に住む人々を救済するため、ケシの代わりになるコーヒーや果物の栽培を促したことから、タイ北部でアラビカコーヒー栽培が拡大したのです。

そうしたコーヒー産業を守るため、国内消費が進むよう海外からのコーヒー豆の輸入を制限する高い関税も納得です。もっとも、ASEAN協定でラオスやベトナム、ミャンマーは比較的安価に輸入できるようですが、主にロブスタなので大きく影響は受けないようですが。 

そんなクオリティーの高いタイのコーヒーを、いっぱい飲んでみなくなった店主です。

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頼みの綱

先週の水曜日から腰痛が出始め、土曜日と日曜日は、午後からコーヒー豆の販売のみとさせていただきました。本来は、腰痛を鎮痛剤の服用で騙し騙し一日続ける予定でしたが、昼に咳をしたとたん、「グッキ~!!」となって動けなくなったのでした。この痛みは経験者でしか分からない痛みです。

 そうならないため、水曜日の夕方に掛かりつけの接骨院へ行ったのです。ところが、玄関に「院長、健康上の理由で当分の間休業します。どうぞよろしく願いします。」と書かれた張り紙があったのでした。ガ~~ン!20年以上お世話になっている頼みの綱が切れてしまいました。腰痛持ちの方は理解できると思いますが、同じ悩みを抱える方から様々な治療院を紹介され、試した中で、一番自分に合った拠り所であっただけにショックは隠せません。

 やむをえず、休日に土岐総合病院の整形外科を受診すると、レントゲンでは「椎間板の高さが減っていますね。」とのこと。腰椎の背骨の間でクッションの役割を担う椎間板が傷んで痛みの原因となっているそうです。痛み止めと筋肉を解す薬を処方してもらい、その後は自宅でひたすら安静にしておりました。すると、今日は随分と楽になりました。 

 椎間板の厚みが薄くなる原因の多くは、加齢やストレスなどで髄核の水分が減少して変性という現象、すなわち老化によって起こるんだそうです。ここでも加齢かい!私は「咖哩」は好きだけど、「加齢」は嫌いだ!などといっても逃げられるものではありません。やはり、最後の頼みの綱は「休養」ということなのかと悟り、定休日を増やすことを真剣に考える店主でありました。

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鬼は外!

今日23日は節分です。「季節を分ける」ことを意味していると言われる節分ですが、季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると考えられており、それを追い払うための悪霊払いの一つが「豆まき」なんだとか。元々は中国の風習が伝わってきたもので、昔、京都に鬼が出た際、毘沙門天(びしゃもんてん)という神様のお告げで、豆を鬼の目に投げつけたところ、鬼を退治できたというお話から節分には豆をまくようになったという説があります。

また、西日本の地域では、昔から節分に鰯(いわし)の頭を ひいらぎの枝に刺して、家の門などに飾る 「節分いわし」又は「柊いわし」の風習があり、我が家でも子供の頃から行っており、今朝も玄関と裏口に飾り付けておきました。鬼がいわしの臭いと 「鬼の目突き」と言われる柊(ひいらぎ)のトゲを見て逃げ出すんだそうです。

 古くから日本に伝わる鬼伝説ですが、それは単なる怪物の一つではなく、人の怨霊、伝説上の神、妖怪、宗教上の存在などさまざまな形でイメージされます。ところが、岐阜県郡上市にある「念興寺」には、「鬼の首」と呼ばれる、頭部より2本の角の生えた頭蓋骨が安置されています。950年ごろ、藤原高光が天皇の命令で瓢ヶ岳(ふくべがたけ)で討伐したものだと伝えられていますが、その正体は本物の鬼なのか正体不明のままとのこと。 

 まあ、鬼の正体はいろいろあれど、この世で一番怖いものは人間自身ではないでしょうか。人間の中に潜む欲望や怨念、嫉妬などが表に出たとき、鬼の姿へと変わっていくのだと思います。そんな姿にならないよう、「鬼は外!福は内!」、ついでに「腰痛去れ!」。

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水仙トイレ

今朝、トイレに行くと、妻から「水仙を見た?」と聞かれます。当然、窓際に置かれた水仙の花など見る訳もなく、「見てない。」と答えると、予想通り不機嫌になりました。とっさに、「これが本当の水仙トイレや~。」と返したものの、失笑に終わったのでありました。

昨日から2月に入り、庭の水仙も徐々に開花が始まったようで、咲いた水仙の切り花をトイレに飾ったようですが、背を向けるトイレでは視界に入らないのですよ。せめて洗面台にでもあればと思った朝でありました。それにしても、水仙は春を告げる花と親しまれているだけあって、ちゃんと季節を見極めて咲くものです。

水仙の「仙」は「仙人」を表しています。仙人とは山奥で修行して不老長寿や千里眼、瞬間移動などの神通力を身に付けた人のことで、昔から中国には仙人と呼ばれる人が多く居たといわれています。中国古典「天子神解章」には、「在人之人仙,在天曰天仙,在地曰地仙,在水曰水仙,能通化之曰神仙。故神仙之道有五,其学之门则一焉」(仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙。)とあります。 

水仙の名前は、この古典にある仙人の階級の一つ水中に在る仙人の「水仙」を、音読みしたものとのこと。水仙の花は水辺に育ち、寿命が長く、清らかな花であることから仙人との共通点が多いことから付いたようですが、今週から腰痛に苦しむ私は仙人にあやかりたいと思っております。どこからか、「修業が足らん!」との声が聞こえてきそうですが。

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