■2023年2月 ブログ

雛巡り

現在のひなまつりは、一般的には新暦の33日に行われていますが、東濃地方では旧暦の43日に行うところが多く、我が家でも3月上旬ごろにお雛様を飾っています。そこで、明智鉄道沿いに明智・岩村・阿木と一足早くお雛様を巡る「雛巡り」へと向かうことにしました。

 先ずは最初に、既に25日(日)から行われている、恵那市明智町の「日本大正村おひなまつり」です。大正ロマン館や明智文化センター、大正村資料館で、ひな人形約千体がずらりと並んでいるところを見に行きます。大正村では、大正ロマン館と大正村資料館で亀山正己土びなコレクションの展示があり、明智文化センターロビーでは大型段飾り展が見られます。子供の頃に見た記憶のある土雛に懐かしさを覚えました。

 続いて、恵那市岩村城下町本通りで行われる「いわむら城下町のひなまつり 」を見に行きます。開催期間は31日から43日までで、35日に桝形特設ステージでオープニングイベントが開催される前なのですが、重要伝統的建造物群に指定された歴史の町並み約100箇所(家の軒先やギャラリーなど)には、既にお雛様が展示されています。そんな街並みを散策しながら、かんから屋で「かんから餅」を土産に買うのが岩村に来た際の恒例なのです。

 最後に向かったのは、中津川阿木にある「中の島公園ふれあいの里」で、31日から35日まで開催される「あぎの里のひなまつり つるしかざり」です。ここも岩村と同様に開催期間前でしたが、準備中のところを覗くと「どうぞご覧になってください。」と案内されたので、遠慮なく独り占めして見てきました。ここは、阿木地区の公民館講座として始まった「つるしかざりつくり」をきっかけに、サークル活動として「つるし雛」や花や生き物、食べ物などいろんなものも作られ飾られています。会場となるホール全体に飾られた「つるしかざり」は圧巻の美しさでした。 

 昔懐かしい土雛をはじめ、自宅に眠っていた雛人形が町並みを彩った光景も良いのですが、お母さんが着物をほどいてお雛様を縫って作った、素朴なお雛様飾りの「つるし雛」は、一つ一つに、お母さんの思いや願いがこもっており、より美しく感じたしだいです。

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金枠ロンドンへ行く!?

昨年の夏、まめ蔵に見慣れぬお客様が来店されました。マスクをされているのではっきり分からなかったものの、外国人の男性と日本人の女性と思われるカップルです。接客時にお話しすると、下石町出身の奥様とイギリス出身の旦那さまで、ロンドンに在住ということでした。その頃、ロシアのウクライナ侵攻のために物価上昇が続くヨーロッパが話題になっていたため、光熱費について質問した覚えがあります。

 それから半年後、再び来店されたのが2月上旬です。いつものようにコーヒーを運んで、次のお客様のコーヒーを淹れていると、旦那さまが抽出する様子をじっと見ておられます。そして、テーブルに向かった際に、「お湯を足しているようですが?」と質問されました。そこで、いつものごとくカウンターへ誘って松屋式の説明を始めたのでした。

 先ずは、松屋式の金枠と一般のドリッパーと異なる点、コーヒー豆を粗挽きにして粉の量を多く使用すること、抽出したコーヒー液が最初と最後とでは別物であることなどを説明します。最後に、濃くて美味しい成分の含まれた部分を希釈し、お二人に提供し試飲してもらいます。毎回の事ですが、飲んで「美味しい!」という反応を楽しんでいる私ですが、この時は普段より反応が良かったこともあって、二人用の金枠をプレゼントします。すると、ブレンドの豆を購入いただき、実家で淹れてみるという話でした。

 それから一週間後にも豆を購入され、今日も二人でコーヒーを飲みに来店されました。ちょうどカウンターしか空いていなかったため、カウンター越しに抽出する姿を見られながら会話を始めると、来週の火曜日には帰国するとのことです。「帰国しても松屋式で抽出しますか?」との質問に、「はい、チャレンジしてみます。」とのこと。嬉しくなるではありませんか。

 ただ、危惧するのは抽出に使用する水のことです。日本のほとんどは軟水ですが、イギリスを含めヨーロッパの多くが硬水のため、酸味が消えてしまう傾向にあります。ご夫婦もその点が気になるようで、自宅でコーヒーを淹れる際には、知り合いの店で軟水に加工された水を分けてもらっているそうです。市販の水は硬水がほとんどで、ごくわずかに軟水もあるものの大変高価だといます。 

 そんな環境ですが、ロンドンでの生活に松屋式の金枠で淹れたコーヒーを飲んでもらえそうです。デビッドとミキさんが再び日本に帰ってきて、また、まめ蔵へ来店された際には感想を聞いてみたいと思います。それにしても、デビッドさんの低音の声はFMラジオに登場するパーソナリティーのようで魅力的でした。英語はさっぱり分からんけど。

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頂いてばかりです

 毎年花粉症で苦しんでいる私は、朝晩、掛かりつけのクリニックで処方してもらっている漢方薬を服用しています。そんな話をカウンターに座ったお客様に話していると、「それなら蜂蜜がいい!」と勧められました。しかし、「妻が作ったヨーグルトに蜂蜜を入れて毎日食べてますよ。」と伝えると、「それは、その蜂蜜がよくない。市販の蜂蜜は砂糖が入っているので、天然の日本蜂蜜が効くんだよ。」そう言って帰られました。そして、10分後に再び来店され、「この蜂蜜を食べてみや~。これはお試しで、買いたければ100g○○○円だから。」そういって、蜂蜜の入った小瓶を置いていかれました。

 時々来店されるお客様が日本蜂蜜の養蜂をされていることは知っていましたが、突然の小瓶に入った蜂蜜に驚いたしだいです。確かに、天然の蜂蜜にはさまざまな種類のポリフェノールが含まれています。ポリフェノールには花粉症の原因であるアレルギー症状を引き起こすヒスタミンの放出を抑えてくれる作用があり、これが効うのではないかといわれています。

また、蜂蜜は80%の糖類(果糖とブドウ糖)と20%の水分でできていますが、砂糖の場合、ショ糖でできているため、ショ糖果糖・ブドウ糖に分解吸収という手順を踏むのに対し、蜂蜜の場合はミツバチがすでに分解してくれているため、果糖・ブドウ糖吸収とスムーズに体内に吸収されていきます。だから、蜂蜜に含まれるポリフェノールやビタミン類もスムーズに体内に吸収される話も聞きます。

まあ、毎朝ヨーグルトに入れる蜂蜜の量に、「入れ過ぎ!」と妻から注意される私にとっては、「花粉症の為だから!」という言い訳ができるので、ありがたく利用させていただきます。(人体実験でもあるしね)

 そんなことを考えていると、お昼にカウンターに座った方から、「自分で作ったから。」といって豆餅を差し出されました。見ると、明らかに豆の量が多い豆餅です。まめ蔵だから豆餅を持ってきたかは不明ですが、この豆餅は黒豆で使用したものではなく、赤えんどう豆なんだそうです。わざわざ遠方の店まで出かけて買ってきたんだとか。

赤えんどう豆は、みつ豆や豆大福などの甘味によく使われるえんどう豆の一種です。主に北海道で生産されているおり、成長度合いによって呼び名も変わります。若く早採りしたものは「さやえんどう」や「絹さや」、未熟な状態は「グリーンピース」として食べられます。そして、完熟した子実を乾燥させたものが、赤えんどう豆なのです。赤えんどう豆は食物繊維が豊富なので、特に便秘の改善に高い効果が期待でるといいます。 

日本蜂蜜で花粉症も改善され、赤えんどう豆の豆餅で腸活もでき、良い事づくめな訳ですが、果たしてどうなることか。それにしても、いつもお客様に頂いてばかりです。感謝!感謝!

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森本彰とアール・ブリュット展

今から30数年前、手話サークル活動の中で、ある脳性まひの男性と関わる機会がありました。花を育てることと詩を書くことが趣味だったことから、自費出版で詩集を出すこととなり、編集や詩集の発送などをお手伝いする貴重な経験をしたのです。さらには、彼が書き溜めた絵画を展示する絵画展を行うまで進展しました。全ては、彼がエネルギッシュで意欲的だったこともあり、周囲が引っ張られていった感じがしたものです。その力強さや優しさが、彼の作り出す詩や絵にも表れており、障がい者だから生み出したというよりも、たまたま生み出した人が障がい者だったという感覚を持ったものです。

 芸術の分野では、「アール・ブリュット」という言葉があります。「生の芸術」を意味するフランス語が元になっており、その解釈は人によって、「正規の美術教育を受けていない人による芸術」「既存の美術潮流に影響されない表現」などと説明されることが多いです。しかし、日本ではその中の一部分でしかない「障害者の表現」としてアール・ブリュットが推進されている面があります。

 ある民間団体のアール・ブリュットの説明を見ると、「障害のある人の芸術・文化活動を通じて、障害のある方の社会参加と障害への理解が深まり、障害の有無をこえた交流が広がることを目指す活動です」とあるように、障害のある方の社会参加と障害への理解が目的となって芸術から遠ざかる傾向にあるのです。

 企業が関わってアール・ブリュットの展覧会が行われると、規模が大きくなって多くの人の目に留まる機会が増える半面、企業にとってのイメージアップやタイアップ・グッズの販売に利用されることもあります。また、行政の主導で開催される場合は、補助金を交付している福祉団体へ協力依頼が行われ、障がい者の意に反して描くといった場面も出ています。最近では、アール・ブリュットとSDGsを結びつけようとする動きもあり、本来の姿と異なるものになっています。

そうした企業や行政とも関わらず、障害者の表現に限定された展示よりも幅の広い内容を扱う展示として行われているのが、瑞浪市地域交流センター「ときわ」で開催中の『森本彰とアール・ブリュット展』(228日まで開催)です。会場には、発達障害児の放課後等デイサービス「じょんのびハウス」の小学生を中心に、森本彰さんや東濃地方の絵画愛好者ら、19人が出品され、色鉛筆やマーカーなどで描いた絵画32点と、オブジェ(流木アート)3点を展示されています。

森本さんは、東濃ニュースの取材で次のように話しておられます。「障害者だからといって、驚くような作品ばかりではない。『普通に見える作品』の中にも、悲しみや苦しみなど、子供たちの内面を表現しているものがある。健常者・障害者といった別なく、まずはフラットな目線で鑑賞していただき、興味がわいたら、その先にあるものを知っていただきたい。大人が選んだ児童絵画や、学校が教える美術作品とは違う、『普通の作品』から、新鮮さや豊かさを感じてほしい」と。

 会場には、段ボールが飛び出たユニークなものから、森本さんの作品の下に並んだ風刺漫画のような対比が面白く感じたり、何を使って描いたんだろうかといった作品が並びます。気になったのは、少女が涙を流す横顔でした。いったい何があったんだろうかと、思わず立ち止まりす。 

 定休日の午後、コーヒーのことや店のことを忘れる時間を過ごしました。

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スカラベ

『ファーブル昆虫記』(著:J.H.ファーブル)の中に、「昆虫という、もっとも小さいものの中に、最大の驚きがかくされている。スカラベはどうして、だれにもならわずに、ふんの山からみごとな球形をくりぬき、それをころがし、地中にうずめることができるのか。」という有名な話があります。これは、動物のふんを玉にしてころがす甲虫のタマオシコガネ(フンコロガシ)が、自分の卵を産み付けるためにフンを転がして丸めて地中に埋める様子です。

和名であるタマオシコガネ(フンコロガシ)は古代エジプト語で「スカラベ(scarab」と呼ばれ、古代エジプト人は、その糞玉からスカラベが生み付けた卵が孵って生命が出てくることから、自分自身を創造する太陽神を象徴するものとされています。また、糞玉のように日輪の回転を司るケプリ神の化身とみなし、「再生」「復活」「創造」のシンボルとされ、古代エジプトではその意匠は彫刻、印章、護符、装身具などに用いられました。

その、「再生」「復活」「創造」を考える機会が最近何度かありました。お客様の中で、何度か転職するも中々思い通りの活躍が出来なくて悩んでいる人、勤めている会社の態勢が大きく変わってしまい、新たな会社でチャレンジしようと心に決めた人など。また、病に襲われながらも恐怖心と戦い治療に向き合う人、何度も病魔に侵されて戦う気力を失いかけてしまった人もいます。

小さな珈琲屋の店主としては、そんなお客様に対して出来ることは、心を込めたコーヒーを一杯淹れることと、一生懸命に焙煎したコーヒー豆を提供するくらいしか出来ません。そして、また飲みたいと思ってくれることを願うばかりです。それが、今持っている力に少しでもプラスになればと期待しています。

 

フンコロガシは神と崇められるも、悲しいかな、珈琲屋の店主は店主のままなのです。頭は坊さんみたいなのにご利益の無い店主です。

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寒川神社にて

神奈川県高座郡寒川町には「寒川神社」という、相模国一之宮(地域でもっとも社格の高いとされる神社)と称され、約1600年の歴史を持つ神社があります。朝廷や源頼朝などの武将や民間と幅広く信仰され、地相、方位、家相、日柄、厄年など由来する全ての災禍を取り除き、福徳開運をもたらす唯一の八方除守護神とされているそうです。

 日曜日に臨時休業したのは、この寒川神社で孫のお宮参りと、お食い初めを兼ねた行事に参加するためでした。あらかじめ娘夫婦が準備をしていてくれたこともあり、参集澱に集合するのみで、後は神社の担当者からの指示でスムーズに行事が進みました。規模の大きな神社は何と便利なものかと感心しきりです。

 それにしても、寒川神社は人気のようで、多くの参拝者が最寄駅から次から次へと降りて訪れます。私達夫婦にとって初めての場所でしたが、駅を降りると全ての人が神社へ向かって歩いていくので、道に迷う心配は要りませんでした。そして、お宮参り祈祷者専用の車で祈祷受付者の行列を横目に専用待合室を利用しこともあり、本来、正面入り口となる三の鳥居から参道、本殿へと向かわなかったため、余計に参拝者の多さに驚いたしだいです。

 本殿から参集澱へ参道を歩いて向かうのですが、境内の門に大きな「ねぶた」が飾られています。「ねぶた」といえば青森県です。違和感を覚えましたが、どうやら、厄よけを願う「迎春ねぶた」として12月下旬から223日まで飾り付けられているとのことです。幅9メートル、高さがおよそ3メートルの大きさで、国家安泰と五穀豊穣の神の瓊瓊杵尊と、安産の神の木花咲耶姫、それに木花咲耶姫の子どもの火遠理命が描かれていました。 

 普段、自分の行くところは自分で決めて向かうのですが、こうして娘夫婦の決めた場所に身を任せるように出かけると、思わぬ発見や驚きに出会うことができます。たまには良いもんだと思いながら寒川神社を後にしました。

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苦いコーヒーを下さい

とある日の昼ごろ、お客様が途切れた時間帯に一人のお客様が来店されました。そして、カウンターに座り「苦いコーヒーを下さい。」と注文をされます。月に数回程来店されている方ですが、カウンターに座ることもなく、一度もそんな注文をされたことがないので、少し困惑しながらも、マンデリンを普段より抽出温度を高めにしてお出ししました。

 すると、「ずっと寝ていないから。」と一言。えっ?意味が分からない。苦いコーヒーを飲んだら更に眠くならなくなってしまうのでは?私が困惑した顔をしていると、「美味しい。」といって苦いコーヒーを飲む経緯を話してくれました。

 そのお客様は数年前に配偶者を亡くされているそうです。その際、看取っていた姿を近くで見ていたご姉妹から、「私が万が一の際には、最後はあなたに看取って欲しい。」と懇願されたそうです。それからしばらくし、そのご姉妹の方が病に倒れられて入院生活を続けられました。そして、最後は自宅に戻り、その方が寝ないで看病する中、お亡くなりになったそうです。

 「約束が守れたから。」、そう言って一区切りついた表情でコーヒーを飲まれる姿を見て、苦いコーヒーの意味が分ったような気がしました。これから始まる葬儀が終わるまでは寝てはいられないといった決意や、最後まで看取った自分自身へご苦労様といった思いが入り混じっているかのように見えたのです。 

 毎日、様々な方が来店されてコーヒーを飲まれます。多くは友人や家族と会話を楽しむ方ですが、日々の生活の中に一時の癒しを求めてコーヒーを飲む方があります。そんな空間を提供できることに、喜びと同時に、まめ蔵が存在する責任を感じる時間でした。

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これも補助金

令和2年度第3次補正予算から始まり令和4年度予備費予算まで、総額1兆円を超えるお金が中小企業等事業再構築促進事業として、最大1億円の事業再構築補助金という形で支給されています。中小企業がコロナを契機にして、「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」、「事業再編」の5つから選択し、ウィズコロナ・アフターコロナに対応した新たな取り組みを行い、付加価値の高い産業へシフトすることを促しています。そのため、多くの場合は返してもらうという形ではなく、返済不要にすることで積極的な投資が可能となります。

 そんな新たな分野として、飲食サービスに参入するところも増えており、事業再構築補助金事務局が令和412月に発表した「事業再構築補助金 第7回公募の結果について」を見ても、採択件数ベースで「宿泊業、飲食サービス業」の割合が14.7%とあるように、製造業、卸売業・小売業についで多くなっています。第1回公募結果の採択件数ベースの 21.8%と比べると割合として少なくなってはいるものの、参入しやすい分野ではあるかも知れません。

 そのため、飲食店・居酒屋・レストランの補助金申請サポートを行うコンサルタントも出てきており、コーヒー関連機器製造販売会社や中規模のコーヒー豆卸を行う会社の中には、事業再構築補助金の活用を勧めるところもあります。まあ、人の褌で相撲をとるようなもので、勧める側にはリスクが無いのでやりたい放題といった状況です。

 この地方でも、この制度を利用してカフェ事業に参入するところが出てきているようですが、申請が採択されて補助金が交付されるまで1年近く間があることから、それまでの資金繰りや体力勝負と言った面もあり、始めたけれど続かないのではといった心配をしてしまいます。どうやら、当事者の方はトントンでいいといった感じのようですが、カフェは儲かりませんから。

 

 そもそも、新分野展開がカフェでいいのかって話ですがね。

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お風呂の日に

 先週は比較的天候に恵まれたためか、多くのお客様に来店いただきました。そんなお客様の中には、アウトレットの帰りにグーグル検索で来店された安城市のご夫婦や、半年ぶりにイギリスから里帰りされたご夫婦、前向きな転職の報告をするため来店された方など、楽しい出会いが沢山あって嬉しかったのですが、正直、少々お疲れモードになっていました。

 そこで、久しぶりにスーパー銭湯へ行こうと車を走らせると、ラジオからお風呂に関する話題が出てきます。どうやら、今日の2月6日は「お風呂の日」なんだとか。「2(風) 6(呂)」、確かにお風呂なんだけど、確か、毎月26日も「お風呂の日」だったような気がします。

 調べてみると、一般社団法人HOT JAPANが銭湯や温泉も含めた日本のお風呂文化を世界に発信していくことを目的として申請し、平成28年に一般社団法人日本記念日協会によって、2月6日が「お風呂の日」として認定されたそうです。そして、毎月26日の方は、東京ガス株式会社が制定したという説があるものの曖昧で、はっきりしているのが426日を日本入浴協会が「よい風呂の日」と制定していることぐらいです。まあ、銭湯を営む人にとっては毎月イベントが行える訳ですから、都合がいいのかもしれません。

 そんな事を考えながら到着した先は、可児市にある日帰りスパリゾート「湯の華アイランド」です。地下1800mから湧き出す塩化物泉の湯が自慢温泉施設が24種類と、眼下に木曽川の自然を眺めながら屋外テラスで一息できる開放感溢れる施設です。のんびりした一時を楽しんでリラックスできました。でも、「お風呂の日」といったイベントも無かったし、そんなに混んでなかったな。意外と知られていないんでしょうか。 

 ちなみに、「スーパー銭湯」という言葉の発祥は、名古屋市にある「竜泉寺の湯」だそうです。当初は「夢の健康銭湯」にしようと検討されていましたが、インパクトに欠けるということで「スーパー銭湯」としたんだとか。「スーパー」と付けたのには、「飛び抜けている」という意味もありますが、それまでの公衆浴場(いわゆる町の銭湯)よりも様々な設備を取り揃えていることから、沢山の商品を取り揃えている「スーパーマーケット」からも言葉をもらったようです。

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こんなこともあります

先月、イチゴを使ったビスコッティとパウンドケーキを作りましたが、その時に使ったイチゴのリキュールを使用して、イチゴ風味のコーヒーを作ってみようと思い立ちます。

数年前にコロンビアのCOEカッピングセミナーに参加した際、アナエロビックのコーヒーがイチゴミルク風味だったことに驚いた経験があったのです。どんな酵母や環境で発酵過程があったのか謎ですが、あの感覚を味わいたくなり、試しにイチゴリキュールに一日漬け込んで焙煎してみることにしました。もちろん、コーヒー生豆はコロンビアを使用したのです。

 そもそもイチゴリキュールは小さな小瓶しか用意してないので、手網焙煎用に50gだけ生豆を準備してリキュールに漬け込んでおきます。そして、半日程乾燥させた後、手網焙煎を始めますが、予想どおり表面がみるみると黒くなってきます。表面の色を気にせずハゼ音を頼りにじっくり焙煎を進め、2ハゼ過ぎに煎り止めしてから冷却しました。 

 しばらくしてから豆を挽いてみると、コーヒー粉は中煎り程度と想像よりも浅く、抽出後に飲んでみると、強いリキュールの香りの後に渋みがやってきます。まったく思い描いていたイチゴミルク風味は無く、ただただ不味い飲み物になっていました。完全に失敗です。救われるのは、手網焙煎で行ったことでリスクを最小限に抑えたことでしょうか。まあ、こんなこともあります。

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おこしもの

先日、瀬戸市内の道の駅「瀬戸しなの」へ立ち寄った際、「おこしもの」と書かれた餅のような商品が目に入りました。お・こ・し・も・の?何だこれは?パッケージの後ろには「桃の節句に供えられる和菓子の一種である。昔は子供の成長を願うために家庭ごとにつくられた。そのため木型がその家にそれぞれあった。おこしもの=その家庭の味である。」と書かれています。そこで、店員さんに「瀬戸の名物ですか?」と尋ねると、「いいえ、尾張地区で一般的なものです。この時期は完売する日も多いです。」との回答。

 興味が湧いたので一袋購入し、自宅へ帰って調べてみると、名古屋市博物館に「おこしもんってどんなもん?」というページがあります。そこには、『農家でひな祭りのおそなえものとして、「しいな」と呼ばれるくず米を利用して作られたお菓子です。米粉をお湯でねったものを木型におしつけて「型おこし」するところから、「おこしもの」「おこしもん」と呼ばれるようになりました。木型は、もともとおこしもん専用のものではなく、和菓子の木型を利用して作られていたようです。お供えにしたあと、お下がりをみんなでおやつ代わりに食べました。おこしもんはおやつの少ない時代、またお正月のお餅が底をついてきた時期に、工夫して生み出されたお菓子といえます。』、なるほど、そうなんだ。

 しかし、我が家では毎年雛人形を飾っているものの、この「おこしもの」を見たことも聞いたこともありません。その答えも載っています。『安城市から刈谷など、旧東海道沿いの地域、名古屋市では緑・南・瑞穂・昭和区などで作られることが多かったといわれます。名古屋の西部でも作られていたようです。おこしもんの風習は、むかしの街道ぞいに広まった とも考えられます。』とありました。さらに、『よくは分かっていませんが、おこしもんの型に江戸時代の年号が書かれたものがあります。本来はお菓子用に作られたものかもしれませんが、おこしもんの始まりを考える手がかりになります。』とあり、主に尾張地区を中心に作られていたようで、瀬戸市にも広がったと思われます。

 「おこしもの」には味がついていません。そのため、出来たてには砂糖やきなこをまぶして食べるようですが、購入した物はカッチカチのため、オーブントースターで焼いて砂糖しょうゆを絡めて食べました。原料はみたらし団子と同じということもあって、平らな団子を食べているようです。ただ、「美味しい!」といったレベルではなく、おやつに何もない時には食べてみるかといった程度のものでしょうか。

 この「おこしもの」を来店されるお客様に質問してみると、多くの方が「知らない。」と答える中、「市之倉町や笠原町でも見たことあるよ。」との情報がありました。確かに、笠原町の「御菓子司 陶勝軒」では今も「おもしもの」が販売されています。さらに、「瑞浪市稲津町でも、子供の頃にお雛様に備えているものを貰って食べていた。」との話も聞きます。考えてみれば、瀬戸から陶器の職人が多く多治見に移り住み、陶器の原料である陶土のメーカーが多く存在する稲津町でからこそ、尾張地区の伝統が引き継がれていったのでしょう。 

 初めて見た「おこしもの」で、ちょっとした歴史を知ることになりました。

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