■2022年10月 ブログ

花壇の植え替え

定休日の月曜日、妻が休みを取ってくれたので、お店の花壇を植え替えることにしました。前日の夜にホームセンターでビオラの苗や肥料を購入し、朝から枯れてしまった日々草を取り除き、伸びきってしまった芝を刈り取るまでは私の仕事です。その後は妻にバトンタッチし、芝と花壇の境に杭を入れて芝が侵食しないようにして、丁寧にビオラの苗を植えていきます。

 そもそも植物の手入れをするのは苦手なうえに、今週は腰痛も出てきて低い姿勢での作業が辛いため、伸びてしまった芝を刈り取ったり、周辺の草刈も妻が行ってくれるので大助かりです。後半は後方支援という名目で、ゴミの収集作業に専念させてももらいました。 

 妻の応援なくして花壇の植え替えが出来ないため、当初から妻に頼りきりになっているため、まるで妻の花壇のようになってきており、ラベンダーを毎年数株ずつ増え続け、最近では「ミカンなどの柑橘類を植えたい」などと言い始め、私物化しようと企んでいます。数年後には、開業当初と様変わりした景色になるかもしれません。

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うさぎの神社

今年も残すところ2か月となりました。昨年の今頃も、「2年続いたコロナ禍での生活にもウンザリ」などとブログに記していましたが、そのウンザリも3年続いている訳です。徐々に新型コロナウイルスとの共生をしはじめてというか、緊張感を無くしながら暮らしておりますが、来年こそはマスクが不要な生活をしてみたいものです。(これも昨年言ってたな。)

そこで、当たり前の生活を取り戻せるよう、来年を先取りしてみようと向かった先は、2023年の干支である「卯」に纏わり、「幸せの杜」と呼ばれる「三輪神社」(名古屋市中区大須3丁目)でした。三輪神社は、元亀年間(15701572)奈良桜井三輪町から小林城(現在の矢場町交差点辺り)に移った牧若狭守長清が、深く崇敬する生まれ故郷大和三輪山に大物主神(大国主神・大黒様)を鎮め祭ったと伝えられています。

 先ずは、万松寺ビルの駐車場に車を入れ、大津通りから矢場町方面に歩いていきます。数分歩いてから左の路地に入ると、雑居ビルの谷間が急に明るくなり、三輪神社の鳥居が現れます。この鳥居は三輪鳥居あるいは三ツ鳥居と呼ばれもので、両脇に小さな鳥居を持つ珍しい作りとなっています。三輪鳥居の正式な通り方(八の字に回る)で通れば御利益は3倍なるとか。

御祭神の大物主神(おおものぬしのかみ)は大国主神(おおくにぬしのかみ)と同一と言われ、神話「因幡の白兎」で有名な うさぎの石造を設けています。このうさぎは神様のお使いであり、なでることで幸福が頂けるんだとか。また、なでた部分の痛みを取って頂けるとも言われているため、腰痛持ちの私は念入りに腰のあたりを触っておきました。

境内には「なでうさぎ」の他に、うさぎの形をした「おみくじ結び」や、うさぎの形の「絵馬」などがある他、うさ結構なぎをモチーフにした御朱印が人気となっています。私は昼時に訪問したのですが、妻から預かった御朱印帳を出した時には既に35番目でしたから、結構な数の人が御朱印を頂いていることになります。さらに、この御朱印は常に9種類ほどあるうえ、日にちや季節ごとに新たな御朱印が描かれることから、御朱印ガールと呼ばれるような収集好きな方には人気のスポットになっているようです。

うさぎはとても縁起のいい動物と昔から言い伝えられ、 ぴょんぴょん跳ねることから運気を上げ、また長い耳は福を集めるとされています。また、「卯」という字は左右に開かれた門の形から出来たと言われており、閉じていた門が開き「とび出る」という意味があるとされています。そのような意味からも卯年は「飛躍する」年なんだそうです。 

さらに、うさぎは穏やかで温厚な性質であることから、「家内安全」の守り神とも言われたり、株式相場では、「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌は笑い、亥固まる、子は繁栄、丑はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねる。」という格言があるように、卯年には景気が上向いたり、回復すると言われています。さて、どんな年になるんでしょうか?“神のみぞ知る”といったところです。

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KOYO BASE

8月の初旬だったか、コーヒー関係者の方から、「オリガミドリッパーを作っている光洋陶器がカフェを作るらしいよ。」という話を聞きました。しばらくして、光洋陶器のホームページの採用募集を見ると、確かにカフェ事業を新たに行う事を知ったのです。その「クッキングサービス責任者」募集欄には、今年の冬にオープン予定だったのですが、最近なって見直すと、2023年初めに開業予定になっていました。それが、次のような文面です。

光洋陶器の器を食事とともに提案する「食堂カフェ(仮)」が2023年初めに開業予定。季節ごとに旬の野菜を使った味覚をお楽しみいただけるだけでなく、器とコラボレーションをお愉しみいただける発見のあるお店を目指します。今回のお店は、私たち光洋陶器にとって初めての事業です。しかもただのお店ではなく、器やグッズの販売、食と器を学ぶワークショップ、製造現場を知るワークショップの起点にもなる場所。』とあります。

 光洋陶器のオリガミドリッパーといえば、コーヒー業界やコーヒー好きの間で知られている存在でありながら、「食堂カフェ(仮)」はちょっとダサくない?と思っていたら、最近になって、これまた知らぬ間に、「KOYO BASE」という名称でホームページまで出来てきました。

そのホームページによると、『その製造工場の一角に生まれた、KOYO BASE。ここは、いわばうつわの複合体験基地です。土から食器にいたるまでの製造工程を間近に眺めたり、伝統の絵付けを実際に体験したり、岐阜の地元食材をうつわとともに愉しんだり、お気に入りの食器を探してご自宅におむかえしたり。』とあります。

 これまで地元の観光としては、ロクロ体験、絵付け体験といった作陶に関するものはありましたが、意匠を模倣する行為を防ぐため、製陶工場を常設で見学できる機会はありませんでした。今回、事前予約ながら規模の大きな工場を見学することができ、そこで作られる器を使った料理を、土岐の街を高台から眺めながら味わえるのですから、今から楽しみです。 

 当初、窯業関係者からは、「なぜ異業種に参入するんだろうか?」とか、「本社の2階にショールームとカフェを作るらしいけど、道路が狭くて分かりにくいよ。」といった意見を聞く中、「窯業を通じて土岐市の街興しというか、地域貢献を考えているようだよ。」という話を聞きました。確かに、ホームページを見るとそんな意気込みを感じます。個人的にはオリガミドリッパーを使用したハンドドリップで、美味しいコーヒーを飲んでみたいのですが。

 陶磁器生産日本一でありながら、「美濃焼」の知名度は低いままです。こうした地元企業の取組みが広がることを期待したいです。

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コーヒーだけどコーヒーじゃない

SCAJ2022の展示会場では、普段では見ることのない様々なコーヒー関連商品を知ることができました。その中で、幾つかの展示ブースで紹介されていたのが「カスカラシロップ」です。炭酸割りで試飲させてもらいましたが、店頭で提供するほどの魅力は感じませんでしたが、面白そうなので帰ってから注文してみたのです。ついでに、会場では試飲できなかコーヒーの花を使った紅茶も。

 これまでコーヒーに関わる商品を取り寄せ、飲んだり食べたりして確かめたので、今回の物を合わせて並べてみます。

■コーヒー蜂蜜

コーヒーの花のお開花時期に合わせてミツバチが集めた蜂蜜です。主にグアテマラ産が国内で手に入ります。

■珈琲の果肉ジャム

長崎スコーコーヒーパークで販売されている、コーヒーの果実を使用したジャムです。しかし、そもそもコーヒーの果実は種であるコーヒー豆がほとんどであるため、果肉を使用したジャムは餡子のような硬さとなっています。

■カスカラ

まめ蔵で「カスカラ(コーヒーチェリーティー)」として提供しているのは、エルサルバドル産のカスカラです。コーヒー産地では、果肉除去機で果肉を取り除かれますが、そのほとんどは肥料として再活用されます。一部の国では完熟の果肉を精製してカスカラとして輸出されています。

■コナレッド

 コーヒー果実の外皮と果肉には、抗酸化物質のポリフェノールやカフェインが含まれています。それらを取り入れた健康兼エネルギードリンクが「コナレッド」です。名前の通りハワイのコーヒー産地であるコナの名前が使われていますが、パイナップルジュースが加えられており、本来の果実の甘味よりも濃くなっています。

■カスカラシロップ

 コーヒーの果肉から作られたカスカラを、日本国でレモン果汁、てんさい糖を加えてシロップにしたものです。炭酸水で割って飲むと、少し甘いジュースといった感じで楽しめます。コーヒー産地で肥料にしかならなかった物に、新たな付加価値が生まれています。(どこのカスカラかは不明)

■コーヒー花茶

 受粉後のコーヒーの花を摘み取ってハーブティーにしたものです。この商品は小笠原諸島父島で作られた物です。国産ということもあって、ティーバッグ1300円(税込)は少々お高い。

 これらのコーヒーに纏わる商品の話をお客様にすると、必ず「コーヒーの味がするんですか?」と質問されます。でも、コーヒーノキの種を焙煎してコーヒーになるのですから、コーヒーの味なんかする訳がないのです。コーヒーだけどコーヒーじゃないんです。いや、コーヒー豆じゃないんです。

 全日本コーヒー公正取引協議会2022104日に公表した、「CFTニュース&息抜き」のQ&Aには、『大豆を焙煎しコーヒーと称することはお止めください。アナゴを使って「ウナギのかば焼き」と称するようなものです。日本政府が加盟する国際コーヒー機関の協定第 27 条には「コーヒーでないものをコーヒーと称することを避ける」よう求めています。』とあるから、一応、上記の商品はコーヒーなのかな? 

(※最新2022協定では第29条へ移っているようです。)

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ハードル

 先週は東京へ行くため二日間臨時休業したこともあり、何人かのお客様から「コロナになったと思った」とか、「せっかく来たのにやってなかった。」など、いくつかのクレームをいただきました。事前にお知らせはしているものの、ご迷惑をかけることになり申し訳なく思っています。ただ、そんな不満を言いながらも、こうして普段と変わらぬようにご来店いただけていることに感謝するばかりです。

 そんな事を考えながらお客様にコーヒーを淹れていると、ブログに書いた「第2回チャレンジ・コーヒー・バリスタ」について、主催者側の日本サスティナブル協会理事である池本幸生さん(東京大学東洋文化研究所)からコメントが寄せられています。そのコメントに対して返事を書いた後に、ふと、「なんでこんなブログにコメントを?」と疑問が湧いたのですが、それよりも、「障がい者の方たちにやっていただきたいことはたくさんあるのですが、いきなり多くのことをやっていただくのはハードルが高すぎるので。」という言葉が気になります。

 「ハードル」とは、物事の達成の障害となる要素の意味であったり、ハードルの高さを物事の達成の難易度に比喩して使用します。一見、筋の通ったような意見なのですが、障がいを持った人達といっても、その障がいの内容や程度は千差万別であり、100人いたら100種類のハードルが存在するのだと思います。ある人には困難であっても、ある人には容易なケースもあり、それぞれの強み弱みをチームで克服しながら競技を行うことが、チーム参加の趣旨でもある筈です。

 そんな事を自問自答しながら、株式会社アルムの家が就労継続支援B型事業所として運営されている、「カフェ・ペペアルム」へ食事に行ってきました。前回は豚汁とご飯のセットでしたが、今回はカレードリアを注文します。豚汁と同様にSTAUB社製の重厚な鉄鍋に入ったカレーのドリアが登場し、このボリュームでもうお腹いっぱいです。

 初めて訪れた際、ぎこちなく接客をしていたスタッフの男の子は、厨房でバナナジュース用のバナナを包丁でカットし、ラップに包んで冷凍保存する仕事を熱心に行っていました。包丁の扱い方が気になりましたが、思いのほか丁寧で几帳面な動きです。

 その後、食後のコーヒーを飲もうと、市役所のラウンジスペースにある就労継続支援B型のカフェ「ほしのテラス」に向かい、(コーヒーはこっちの方が美味しい)ハンドドリップで淹れたブレンドコーヒーをテイクアウトします。ここは女性ばかりのスタッフで、挨拶の声も大きくて明るのが印象的です。 

 こんな地方の街でも、障がい者がカフェで働く場所が存在します。働く内容は異なるものの、いずれも生き生きと働いているように見えます。彼等には、仕事の難易度を測るハードルではなく、ストレスなく働けるための障害となる要素(ハードル)を取り除いてあげる事が優先されるべきだと思ってみるのでした。

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主役は誰?

東京ビッグサイトでミャンマーのコーヒー10種を試飲した後、展示会場に向かうとイベント会場Aのコーナーでは、「ジャパン・ハンドドリップ・チャンピオンシップ」の決勝が行われておりました。そこを横目に会場を立ち去り向かった先は、品川プリンスホテルで行われる、「第2回チャレンジ・コーヒー・バリスタ」の会場です。

コーヒーを通して、障がいの有無に関わらず、すべての人がその人らしく活き活きと、命を輝かせて生活できる「インクルーシブな社会」となることを願って企画された、「チャレンジ・コーヒー・バリスタ」は今回が2回目で、前回は無観客のためYtubeによるオンライン中継を見ました。

障がいを持った人達が、コーヒーで生きがいのある仕事に付けるようになること、企業のオフィス・コーヒーを全自動コーヒーマシンの変わりに障がい者が淹れる。街のコーヒーショップで、自信を持って生き生きと彼らが働く。こんな光景が当たり前になる社会を目指して始まったイベントですが、「インクルーシブな社会」に対して疑心暗鬼な気持ちを持っている私は、実際にイベントを見ることで理解しようと訪れたのです。

大会は第1部のブレンド審査と第2部の抽出技術審査に分かれており、ブレンド審査では、各チームが大会主催者から事前に提供された焙煎豆を使用したオリジナルブレンドを作成、それを会場の観覧者が試飲して審査・投票します。(抽出は主催者用意のコーヒーマシンを使用)ちなみに、焙煎豆は・ドイトゥン・コーヒー(タイ チェンライ県)、・フェダール・コーヒー(コロンビア カウカ県)、・サン・ミゲルコーヒー(グアテマラ アンティグア)です。

 小さな投票用紙にメモ書しながら試飲しますが、11チームとあって似通ったコーヒーもある中、個人的に甘さを強く感じたコーヒーに投票しました。試飲している出場者チームの一人に、「自分たちのコーヒーだって分かるものありました?」と尋ねると、「う~ん。たぶんこれだろうと思うのはありますが難しいですね。」と答えてくれます。後からブレンドの配合を知ることになりますが、やはりコロンビアをメインにするところが多く、正直、どれが好きかってことになります。

 第1部でのブレンド審査を終え、第2部の抽出技術審査となる別会場へ向かいます。ここでは、各チームが作ったオリジナルブレンドを主催者が用意した水や抽出器具で抽出し、接客・プレゼンテーションを行います。・・・。

 ・・・。となったのは、5チームの抽出技術審査を終えた頃からしんどくなったので、早めに帰路に向かいました。そうなったのには色々ありまして、ちょっとだけ箇条書きにしておきます。

・一般観覧者を入れたことや参加チームを増やしたことなどで、運営側が対応しきれていないため、無駄な移動や時間的なロスが多すぎる。昨年はYtubeの録画時間が2時間32分に対し、今年は1部と2部合わせて5時間50分を超えることからも明らか。

・MCの女性を二人にしたため、左右に観覧者の目が移ってしまい、出場者への注目度が薄れる。

・昨年もスポンサー紹介が会場内で行われていたが、別撮りの動画流せば会場内の混み合いも減らせる。(JALさん喋り過ぎです。)

・明らかに少ない試飲用のカップとコーヒー。複数の出場者がブレンド審査会場にやってきた際、カップとコーヒーが無い状態が続き、結局、審査時間が終了して出場者自身が試飲する機会を失った。

・抽出技術審査会場に椅子席が設けられていないため、会場内で名刺交換や挨拶が交わされ、審査会場とは思えない雑音が聞こえて競技内容に集中できない。

・左右に競技用テーブルが用意されているにも関わらず、なぜかコーヒーミルが1台しかなく、スタッフが抽出の終わるたびに持ち運んでいる姿が見苦しい。

・全体の進行を担うと思われる人物の動きが目立ち過ぎる。マイクやイヤホンで済むだろうに。

 果たして、ここは競技会場なのだろうか?スポンサーや参加企業のためのPR会場なのか?いったい出場者のどこにスポットを当てようとしているのか?自己紹介すらもMCが行い、ひたすら寡黙に抽出する出場者チームの姿を見ていると、障がいを持った人達にとって、コーヒーを淹れることが生きがいの持てる仕事の一つになるのか?疑問だらけだった。 

 素晴らしい志を持つことと、それを具体的に形にすることは、多くの思惑が交差して絡み合い、進むべき道筋を見失ってしまうのかもしれません。結局、途中退場したこともあり、「インクルーシブな社会」の姿のヒントも見つからないままです。そんな中にあって、賑やかな会場の中、主催者側の日本サスティナブル協会理事である池本幸生さん(東京大学東洋文化研究所)が、ずっと静かに何かを見守っているかのように立っている姿が印象的でした。

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SCAJ2022へ(2)

SCAJ2022へ行く目的の一つに、コーヒー産地に関わる詳しい情報を知ることのできる、各種のセミナー受講もあります。今回は、事前に3つのセミナーを申し込んでおきました。

■「ミャンマーコーヒー今と未来」

 主にシャン州のコーヒー農園の豆を扱う「ジーニアスコーヒー」による、ミャンマーでのコーヒー栽培の説明です。ミャンマーでは9つの産地でコーヒー栽培が行われており、その多くが小農家です。農家では女性就労者が90%以上を占め、コーヒー以外の作物を植える森林農法となっています。少ない耕作面積のため、付加価値を付けるために品質の良いものを作ることで収益を上げようと、赤いチェリーを摘むための教育や、コーヒーの実の外皮や果肉を使ったカスカラからシロップや、コーヒーの花茶(受粉後の花を使用)を作っています。

■「イエメンが世界のコーヒー生産を遺伝子レベルから作りかえることができる理由」

 ちょっと前から話題になっている「Qima Coffee(キマ・コーヒー)」からの話です。イギリス育ちでエネルギー分野を研究していた創始者が、故郷のイエメンでの戦争によってコーヒー業界へ転身し、この分野で革命を起こすストーリーになっています。

何せ、コーヒー豆のDNA解析し、それまで根拠なく〇〇〇の苗といって植えていたコーヒーノキが、いきなり全く別物だって分かるんだから、農家や関連業者にとっては脅威です。巷で人気のゲイシャとして売られているサンプルを世界から取り寄せ分析してみると、60%以上がゲイシャ種ではなかったのだから、そりゃ煙たがられる筈です。

しかし、取り組んでいることは真っ当なことばかりで、契約農家も2016年には30農家だったものが、2020年には2600農家となり、イエメンにおける先進的な活動が評価されています。ただ、「イエメンはコーヒー発祥の地」と言いたがりで、しきりに通訳者が「エチオピアはコーヒーが見つかった場所で、イエメンはコーヒーを農業として栽培した世界最初の地」と補足していたのが笑えます。それに、新品種となったイエメニアに対する気候変動への耐性、病害虫への耐性にも一部言及してしまうところも気になりました。

■「ミャンマーコーヒーテイスティングセッション」

 こちらは、ミャンマーコーヒー協会による説明とカッピングです。ミャンマーでは85%以上が2エーカー以下の小農家であり、そのほとんどが輸出産品として作られています。もともと中国と隣接することからお茶文化の伝統があり、コーヒーを飲む習慣がありません。最近では若者を中心のインスタントコーヒーやベトナム式のコーヒーが飲まれているようです。

 今回は、ミャンマーコーヒー協会に所属するエリアの中から、10種類のコーヒーを試飲しましたが、その多くがナチュラル精製です。品種はカティモール、SL34、カツアイが中心で、中にはゲイシャも登場しましたが、ゲイシャ・フレーバーは微妙でした。全体的に標高の高いエリアのコーヒーほ華やかな香りが感じられたものの、事前にリスト表を作成して配布されれば落ち着いて試飲できるのですが。 

 どんな人がコーヒーを生産しているのか?そこが、どのような場所で、どのような環境なのか?ネットでは知ることのできない情報もあったものの、ミャンマーでの軍事クーデターについては、一言も触れられない違和感を感じながらも、現実では、こんな感じになるんだとも思いました。(他人事じゃない)

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SCAJ2022へ(1)

まめ蔵を二日間臨時休業にし、東京ビッグサイトへ行ってきました。目的はコーヒー展示会の「SCAJ2022」です。SCAJでは、「コーヒーに特化したイベントとして、アジア最大の国際見本市」ということらしいのですが、中国との貿易をしている方からは、「そんなことはない。」という意見もあったりします。でも、かなり大規模なイベントには間違いないのです。

 今年のテーマ”Come Join the Specialty Coffee Community”に誘われた訳ではなく、地方に住む者にとっては数少ない体験できるイベントなため、開業前の2014年から毎年のように出かけているのです。田舎者の私にとっては、実際に、見て・聞いて・飲む・ことのできる貴重な経験ができる場なのですから。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、三年振りでの本格的開催となってこともあり、入場者はこれまで一番多かったように思います。それに引き換え、まだまだコロナ対策を意識して各ブースは地味なうえ、海外からの出展ブースが少ないのが印象的でした。

 先ずは、入場口正面に位置するコロンビアブースで、ボヤカ県・トリマ県のコーヒーを試飲し、その隣のUCCのブースで、コーヒー・カスの再利用で作られたサツマイモを使用した、「サツマイモとコーヒーのアーモンドミルクスムージー」を飲みます。でも、ここにコーヒーを入れなくても充分に美味しんじゃないの?と疑問が沸いてきます。

 その後、ハリオ、ワタル、丸山珈琲と試飲をしながら歩き始めると、丸山珈琲のブースに4月29日から全国の一部スーパーで販売している、スクリューボトル缶入りカフェラテ(210円)を見つけます。コロナ禍以降に大きく業態変更をしている珈琲屋さんの姿を垣間見るようです。

 その先には、大手コンビニとして初出店しているファミリーマートのブースがありました。スタッフの方が、「ファミマカフェのブレンドと新商品のモカブレンドの飲み比べしませんか?」と声を掛けてくれましたが、ここは素通りして生豆商社のブースを目指します。ここで目新しい生豆はないかチェックしますが、今回試飲で用意されたものはオーソドックスなものばかりで新鮮味がありません。 

 例年ならば、カフェバッハのブースがあったのですが、昨年から姿がなく、大和鉄工所のマイスター焙煎機のコーナーで田口護氏の姿を見かけます。そうそう、コーヒーの抽出器具が多数展示されている中で、松屋式の金枠だけが取り残されていることもあり、「金枠ちゃん」を持参して一緒に記念撮影しておきました。

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再会

長野県の売木村に移り住んだ友人が、久しぶりに来店してくれました。コロナ禍前には毎年夫婦で売木村へ訪れていましたが、人口500人程の村に万が一にもコロナウイルスを持ち込んではいけないと訪問を自粛していたこともあり、本当に久しぶりの再会となりました。

 今回、彼は、昨年行われた「信州ハンドクラフトフェア」の中で行われた、「信州ハンドクラフト大賞コンテスト2021 summer」で長野県知事賞となった作品、独創マリオネット「人魚」を持参してくれました。彼のインスタやイベントの表彰式での画像では見ていたものの、実際に人魚が泳ぐ姿が素晴らしく、店内いた常連さんも興味津々で眺めておりました。

 職場では同期で、私よりも1年遅く早期退職して信州の山の中で暮らし始めた彼に、いったいどんな事をするのか他人事ながら夫婦で気にかけていましたが、昨年あたりから少ずつ形になってきているようで安心しています。今では、各地のクラフト展に出展しながら腕を磨き、オリジナルの作品を増やしているようです。 

 二人ともサラリーマン時代とは全く関係のない分野に身を置き、それぞれ切磋琢磨していることが互いに刺激になっています。良い意味で、素晴らしいセカンドライフを過しているのではないかと思います。体に老いを感じる年齢になりましたが、また、笑顔で再会出来る日が楽しみです。

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『且坐喫茶』

 お客様から色紙を頂きました。書かれている文字は「且坐喫茶(しゃざきっさ)」です。そう、今年95日に訪れた、恵那市山岡町の林昌寺にある寺カフェ「且坐(さざ)」の由来となる禅語です。そして、この色紙を書かれたのは、美濃加茂市の北部にある「正眼寺」(しょうげんじ)の山川宗玄老師です。正眼寺には2020121日に訪問しており、境内に造られた重森三玲作のモダンな観音像前庭や、本堂の正前の樹齢300年と推定されるしだれ桜を眺めた場所です。

 縁あって、まめ蔵のコーヒー豆が山川宗玄老師の手に渡り、飲まれていることを知って訪れた正眼寺でした。そんな縁を感じたのも束の間、今回は、禅語の「且坐喫茶」という色紙を間接的に山川宗玄老師の手から私の元に届いたのです。もちろん、間に入っていただいた方があるからこそ繋がったのですが、何か特別なものを感じてしまいます。

 「且坐喫茶」とは、「且(しばら)く坐して茶を喫せよ」と読めます。相手の緊張を和らげる意図で用いられる他、肩肘張らず、ありのままでいることの大切さに気づかせる言葉でもあります。元々は、勇み立つ修行者に対し、急かずにゆっくりやりなさい、と気分を緩める言葉のようでした。いきりたって高い境地の呈示を急ぐのは、心が動いている証拠。これをたしなめて、自然体でいけということのようです。 

 まめ蔵を利用されるお客様に 「まぁ、お座りになってコーヒーでも飲んでください。」という意味もあれば、私自身にも「急かずにゆっくりやりなさい。」と言われているようで、改めて自然体で望む心構えを注意されているような気分です。 

 さて、この色紙をどうやって店内に飾りましょうか。お知恵を拝借するため、知人の画材屋さんのところでも行きましょうか。

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いろいろな人の話

10月1日は、「コーヒーの日」のイベント用にいつもより多く焙煎し、手隙時間をみつけてはハンドピックをしておりました。そして同時に、925日に聴き漏らしていた「TOKYO FM SUNDAYS POST」での、大坊勝次氏へのインタビューをradiko(ラジコ)でながら聴きです。また、夕方からは、全日本コーヒー商工組合連合会によるレギュラーコーヒーフェア2022特別企画、「HappyCoffeeNewYearオンラインセミナー」の配信を見ました。

 私はコーヒーに関係する人に会ったり、話を聞いたり、どのように取り組まれているかを開業前から、開業後も知るようにしています。それは、自分には無いセンスや感覚を気付かせてもらうためであり、その相手に対して憧れや目指す目標にするといったことはありません。自分以外の全ての人が学ぶべき対象者です。

 レジェンドと呼ばれるような大坊勝次氏になろうにも、そもそも別人だし、生まれも育ちも異なる上に、髪の毛もありません。・・それは関係ないといわれるかもしれませんが、ある人には分からないものです。だから、こんな生き方もあるんだと理解しつつ、自分の向かう道を進むのです。メニューを100個用意できませんし、SNSを駆使したり、映えるメニューもありません。その中で、自分が続けて取り組めることを見つけようと思います。 

 著名な人も、そうでない人も、その人たちが取り組もうとしていることや、店を経営していくための環境など、周りを知ることは自分にとって羅針盤を覗くようなものなのです。自分の目標にしている先を見間違えないようにするための手段でしかありません。人と比べるのではなく、「比べるのは、昨日の自分と、今日の自分と、明日の自分。」なのだから。

 変わらなければいけないのは自分なのです。それさえ忘れなければ、何とかなると思います。

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遠い昔の想い出

朝、車に乗って店へ向かう際、カーナビがいつものように「今日は○○の日です。」と教えてくれるので、「さすがに、今日はコーヒーの日だろう。」と思っていたら、「今日は法の日です。」と言ってズッコケた珈琲屋の店主です。

1928(昭和3)年のこの日、陪審法が施行されたことを経緯に、最高裁判所、検察庁、日本弁護士連合会(日弁連)の進言により法務省が1960(昭和35)年に制定したそうです。さすがに、法の前にはコーヒーの力は弱かったのです。

そんなマイナーな「コーヒーの日」に合わせたイベントで、まめ蔵では毎年この日に絡めて、10月1日・2日の二日間はコーヒー豆を20%OFFにしています。そのイベント周知のため、毎回、リピーターの方々へ絵手紙付の案内葉書を出していたのですが、今回は忙しくて全く準備が出来ませんでした。しかし、忙しいのはコーヒー豆が沢山売れるからではなく、個人的な作業のためパソコンに向かっていたからです。

先月上旬、終活の手始めとして書斎の本棚を整理し始めた際、普段触らない箱を空けると、中から8mmビデオをテープが数本出てきました。もちろん、8mmビデオを見るためのビデオ本体やデッキも無いため、「これでじゃあゴミになっちゃうな。」と思いながらも、DVDにデータを入れてくれるサービスはないかと探すと、多治見市のカメラ店では11,500円程で加工してくれることを知りました。

そんなこともあって、その8mmビデオの中から1992年と1992年に家族で北海道へ旅行に出かけた記録、合計1時間40分を30分に編集加工のため、暇さえあればパソコン向かっていたのです。30年前の遠い昔の想い出を振り返りながら、観光で訪れた場所等を字幕に入れたり、タイトルやBGMを加えるなどして飽きないよう30分に編集した動画をDVDにしました。

そんなDVDを遠方に住む娘たちにも送ったのですが、添えた手紙には「お父さんの髪がフサフサな貴重映像があります。」と付け加えておきました。確かに私の場合、髪は長い友となってくれず、父親のDNAに引き込まれて現在の姿となっています。ですから、若かりし頃の貴重映像なのです。 

そんな記憶も無い、遠い昔の映像を子供たちは喜んでくれるのか心配な面もあったのですが、意外にも喜んでくれたので満足しております。突然、父親から送られたDVDにきっと困惑したであろうに、僅かな記憶を辿って想い出を共有できたようで、無駄にはならなかったと安心しました。

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