夏バテ防止

陶磁器生産量日本一の土岐市では、昔から陶工たちが窯の炎の熱さで消耗した体力を回復するために、高たんぱく質で消化の良い鰻が重宝されてきました。そこから日常的に鰻を食べる習慣が根付き、市内の各所に鰻が食べられる店があります。

 陶磁器の工場のことを地元では「窯焼き」と言い、その「焼き」という言葉の通り、暑さに耐えながら窯に薪を焚べる仕事を意味しています。ですから、土岐市に限らず、多治見や瑞浪、瀬戸といった陶磁器産業の盛んな土地では、鰻の名店と呼ばれる店が多く存在していました。今では、薪ではなくガス釜がほとんどのため、窯に職人が付きっきりということは無くなり、「窯焼き」と呼ばれる工場も減少し、それとともに鰻が食べられるお店も徐々に減ってきています。

 夏の土用の丑の日(今年は724日と85日)に鰻を食べると夏バテ防止になるとかで、子供の頃には、母親が働いていた製陶所で鰻丼が振舞われていました。それを母親が自宅に持ち帰り、家族で分けて食べた思い出があります。ちょうど夏の土用の丑の日の前後が私の誕生日になることから、それ以降も我が家では鰻丼を食べる習慣となっています。

そんな訳で、今日は妻のおごりで鰻を食べに行くことになりました。向かった先は、昨年4月にオープンした「みの川」(瑞浪市和合)です。美濃加茂市に本店を構える「美濃川」の瑞浪店で、本店には何度か訪れていたので気にはなっていましたが、今回、初めて利用しました。注文したのは、平日ランチで限定10食の「みの川膳」です。

食べながら思い出したのが、この場所は20数年前までコンビニがあり、店主のご主人が脳卒中で病院に運ばれた際、偶然、私が病院から出ようとした時でした。結局、そのコンビニは閉められたのですが、その跡地に何度か飲食店ができたものの長続きせず、その居ぬき物件に「みの川」ができたのです。外観が鰻屋らしくないのはそのためですが、カジュアルで利用しやすい雰囲気でした。 

ちなみに、鰻丼のご飯の量は小・並・大と選べますが、欲張らないことをお勧めします。(お腹いっぱいになりました)