ナイチンゲール

ナイチンゲールといえば、「白衣の天使」と呼ばれるイギリス人の看護師で、看護師の仕事の基礎を作り、医療制度や医療施設を改革した人物が想像できます。クリミア戦争に看護師団を引き連れて赴き、戦場で心も体も傷ついた戦士たちを勇気づけ「戦場の天使」と称賛されたことでも知られています。

 ところがもう一つ、アンデルセン童話の「ナイチンゲール」もありました。夜うぐいすとも呼ばれるナイチンゲール。はじめてその美しい歌声をきいた中国の皇帝は涙をながします。ところが人々は、地味な生きた鳥より、宝石のきらめく作り物の鳥に夢中になりました。ナイチンゲールは森へ帰ってしまいますが、やがて皇帝が病の床でひとり苦しんでいると・・・。という物語です。

 そんなアンデルセン童話の「ナイチンゲール」を題材に、アクリル画や日本画、ガラス絵など14点の作品を展示しているのが、第5回アートキューブ展覧会「絵と音楽とお話と」です。瑞浪市地域交流センターときわで、7月2日から7月30日まで開催されており、ちょっと覗いてきました。出品者は50歳代から70歳代までの、地元の画家やグラフィックデザイナー、イラストレーターら6人で、中には昔から知っている方々もいるため、「今回はどんな感じかな?」と楽しみでした。

 こうした同一の題材を通して作品を作る場合、アンデルセン童話「ナイチンゲール」の中で、作者がどの場面を表現するのか興味が湧きます。アンデルセンが伝えたかったであろう、他のものに気を取られていると、大切な人がいなくなってしまうことなのか、金や宝石よりも尊い宝があることなのか、はたまた、皇帝が死神にとりつかれて死にそうになった時、みにくい顔や優しい顔などが出てきて苦しむ様子なのか、表現する作者の顔を想像しながら鑑賞したしだいです。 

 ちなみに、7月13日(土)には、童話の朗読・演奏・絵画による公演が行われます。当然ながらまめ蔵の営業日なので見ることが出来ません。残念です。