串原へ

定休日に車を走らせていると、町のいたるところで桜の花を見ることが出来ます。テレビでは桜の名所が紹介され、多くの人で賑わっている様子が映し出されます。先日も、お客様が、「鶴舞公園に行ってきました。」と話してくれました。先週、私は各務原へ花見に行ったものの、まだ桜は咲始めといった状況だったため、再び満開となった桜を見ようと思いましたが、人混みが苦手なため、5年ぶりに恵那市串原町の「しだれ桃」を見に出かけることにしたのです。

 恵那市串原町木根地区では、住民有志でつくる「きね四季花会」が平成23年から、花で地域を盛り上げようとしだれ桃の植栽を始めました。このうち、会長さんの自宅周囲に広がる1.5haを「きねしだれ桃園」にし、段々畑などの跡に植えた600本が満開の時期になると、色鮮やかな花が水田に映えている光景が見られます。ただ、今回は少しタイミングが早いためか、白い花は咲いているものの、赤やピンクの花はこれからといったところです。

 駐車場で協力金の案内をしていた「きね四季花会」の方の話では、夏場の異常気象で一度葉枯れしてしまったため、満開になったとしても、例年のような多くの花が咲かないのではないかと話されました。5年前に見た桃源郷のような景色は、今年は見られそうにないそうです。

 この「しだれ桃」を木根地区一帯に植えられた「きね四季花会」の方は、恵那市の山間地区ということもあり、高齢者が中心メンバーです。ですが、意欲的な活動をされておられ、

海を越えて長距離移動することで知られる蝶の「アサギマダラ」が、会員の庭先に植えたフジバカマの蜜を吸う光景を見つけ、「観光に生かせるのでは」と考え、会でフジバカマ園を整備されました。

そのフジバカマ園は、「くしはら温泉ささゆりの湯」近くの遊休農地15aで、子どもたちと800本を植えられ、飛来するアサギマダラの匹数データを取り、日別や時間別にまとめました。さらに、マーキングして放したアサギマダラの再捕獲情報も追跡し、確認できたものの中には、飛行距離が最長は10日間で1044キロということが分かったそうです。

さらには、アサギマダラが飛来を終えた「フジバカマ園」のフジバカマから、葉や茎の香りを利用した商品開発をし、刈り取って陰干しで乾燥させ、葉や軸、枝をもんだり細かく切って匂い袋を作ったそうです。その匂い袋は、串原のくしはら温泉ささゆりの湯やマレットハウス、恵那市大井町の市観光物産館えなてらすで販売しているそうです。 

そんな意欲的な活動をされている「きね四季花会」ですが、やはり高齢化の現実は避けられず、5年後、10年後も同じように「しだれ桃」が見られるんだろうか?って思ってしまいます。これが、人口減少が止まらない地方の現実なのかな。