夜桜

先週末、いつも一人でコーヒーを飲むお客様が、娘さんと一緒に来店されました。「珍しいですね」と声をかけると、「中学校のボランティア活動で、土岐高山城まつり(330日・31日)のお手伝いをした帰りに連れて来ました。」とのこと。日頃、思春期を迎える子供達との関係に苦慮していると溢していた方とは思えぬ、やさしい父親の姿を見せてくれ、何だか微笑ましくなりました。

土岐高山城址には、地元の方々が植樹された200本のしだれ梅、350本の花桃や桜の木が咲く場所です。そして、30日から一週間はライトアップされた桜を見ることができるため、昨晩、妻を誘って出かけてみたのでした。ただし、途中の道が何度も曲がりくねって細いため、まだ明るい時間に自宅を出発します。

着いた時刻は5時50分頃、日の入り時刻の6時17分まで散策しながら、土岐市駅前の景色を眺めます。人口減少が続く我が故郷を高所から眺めると、なんだか将来が寂しくなりますが、眼下に広がる寂れゆく街の前に色鮮やか花桃を見ると、少しだけ救われた気持ちになるのが不思議です。 

空が徐々に暗くなってくると、ライトアップの土岐高山城址へ訪れる人が増えてきました。狭い駐車場は直ぐに一杯になってしまうため、道路が混まないうちに早めに帰ろうと、最後に街並みを見る事にします。すると、先ほどと違って家の灯りがあちこちに燈り始めています。ここに暮らす人たちの営みを感じながら、夜桜見物を終えたのでした。