ホタル

パトカーがサイレンを鳴らさず、赤色灯(パトランプ)のみを点灯させて走行している光景を見たことがあると思います。この場合の「赤色灯のみを点灯」して走行しているパトカーは、「緊急車両(緊急自動車)」に該当しません。

 交通安全週間の期間中などに、周囲に安全運転を促す意味で赤色灯を点灯させて走行していることから、確かに運転中「ドキッ!」とすることもあるため、それなりに注意喚起の効果はあるのでしょう。また、道路交通法施行令第14条に定められた、スピード違反のクルマに追従して速度測定を行う際に赤色灯のみを点灯させて走行します。追従されている方は意外に気付かないもので、私も若い頃には苦い経験をしたものです。

 パトカーが緊急時に緊急車両として走行する際は、必ず赤色の警告灯を点灯させ、サイレンを鳴らして走行しなければいけないと、道路交通法第39条および同法施行令第14条の規定により定められています。そして、道路運送車両法に基づく告示で、パトカーの赤色灯は300メートル手前から光が見え、赤色であることと定められており、その光り方には決まりがありません。

要はサイレンを鳴らすかどうかによって「緊急車両」を周知している訳ですが、サイレンンの音が聞こえない又は聞こえにくい人にとっては、「緊急車両」と誤解して車を道路脇に車を停めてしまうことがあるのです。そんなこともあって、聴覚障害者の団体である「全日本ろうあ連盟」は、2012年以降に赤色灯の見た目で状況が判別できるよう警察庁に改善を要望してきた。

 そして、20235月には、パトカーのパトロールと緊急走行時の違いを判別できるよう、埼玉県警が新しい赤色灯(警光灯)を搭載したパトカーの試験運転を始めたのです。その際に導入されたパトロール用の光り方のパターンは、赤色灯が2秒周期で、ホタルのように穏やかにゆっくりと光るのが特徴で、緊急走行の場合はこれまで同様にサイレンとともに赤色灯が05秒間隔で光るものでした。 

 そうした試験運転を経て、新型のパトカー赤色灯が、来年度から各地で導入されることが決まったそうで、新型の赤色灯がYoutubeにアップされています。新型赤色灯の呼び名は「ホタル」らしいのですが、パトカーが可愛らしいホタルには思えず、訳もなくドキッとする存在には変わりません。