ねこのまなざし

本当は大好きなお母さんと離れたくなかった。

最初に思ったのは、ミルクをくれるだけの大きな生きもの。

遊んでもらう?と言うより、相手をしてあげただけです。

寒かったという理由で、あなたとふたりで寝たわけ。

でも、知らないうちにあなたをけっこう好きになっていたかも。

実はずっと一緒にいてあげてもいいかな、なんて思っていた・・・。

ね、お願いだから、泣かないで、とっても幸せな毎日だったから。

ほら、だって、ここにいるから。

 

こんなメッセージとともに、保護猫「リッキー」の絵が次々と映し出されるモニターが設置された、「武藤 茉りか 絵画展 ねこのまなざし」(1228日まで)を多治見市のガレリア織部で観てきました。

作者の武藤茉りかさんは、中日新聞の取材によれば、働き過ぎで心身を消耗し、仕事を休んでは復帰するという生活を繰り返したそうです。そんな時、知人に誘われた保護猫の譲渡会で「リッキー」と出会い、愛猫のかわいい姿を残そうと、約30年前に断念した絵を描きたい気持ちが膨らみ、猫の絵をかき始めたとか。しかし、リッキーが亡くなりペットロスで再び心が折れましたが、周囲の励ましや再び引き取った保護猫の「くらら」「そら」をモデルに絵を描き始めると、体調も快方に向かったそうです。

 実は、私は犬猫といった愛玩動物が苦手です。一緒に居れば可愛いですし、ツンデレだって嫌いではないのですが、生き物と付き合うのが苦手というか、責任が持てないからなのです。人間よりも寿命の短い生き物で、人間の為に品種改良された愛玩動物に対し、愛らしいから、癒されるからといって飼うことに、何かモヤモヤしたものを感じてしまうのです。 

 冒頭の保護猫「リッキー」からのメッセージは、リッキーの本当の声なのか?ドラえもんの「ほんやくコンニャク」で尋ねてみたい。そんな気持ちで様々な猫たちを観ながら、癒された時間をカレリア織部で過ごしました。猫好きにはたまらない空間ですが、保護猫がモデルだという現実に、一人の人間として、複雑な思いで帰る事になりました。