電話の声

「〇〇です。」、いつも名字ではなく、名前のみを名乗るお客様です。「コロンビア二つですね。ありますよ。」そう伝えると、「じゃあ、後から行きます。」と返事があります。いつも簡単な会話のみですが、それだけで通じるお客様は、店から30m程の自宅から歩いて来店されます。

 「マスター、席、空いてる?」、週に何度か来店される二人組のお客様は、毎回、運悪く混み合う時間に来店されるため、「まめ蔵はコメダになっちゃったな~!」と愚痴を溢すことが多くなりました。「たまたまですよ。いつもはガラガラですから。」そう返事をしても、「オレらの指定席に座れなくなったワ。」と嘆いておられます。

 「○○ですが、仕事帰りに寄りますから5時過ぎます。」、そういって電話をくれるのは、タンザニアの浅煎りが好きな奥様のため、自宅への帰り道を遠回りして来店されるお客様です。在庫が無い時には急いで焙煎しますが、そんな時はいつもより嬉しい気分になります。家族への気持ちがこもったコーヒーを焙煎できる喜びが加わるからです。

 「○○です。お久しぶりです。」、そうやって旧姓のまま電話をくれるのは、土岐市内で仕事をしていたものの、いろいろあって実家へ帰った女性です。今では結婚もし、新しい職場で活き活きと働く様子を電話で話してくれます。数か月に一度くらいコーヒー豆を電話注文してくれ、そのたびに電話の声のトーンが変化し、少々気にかけていましたが、今回は地元の方言が沢山出てきてホッとしました。すっかり馴染んだようです。 

 お店の電話には、様々なセールス電話がかかってくることが多いのですが、このようにホッコリする電話も時々かかってきます。でも、稀に「モーニングありますか?」って問いには、「メニューにはありません。」とはっきり答えています。一応、珈琲屋ですから。