和菓子を食べながら

 玄関に妻が飾った紫陽花の花を見て、隣町の和菓子店で「紫陽花」と名付けられた和菓子を買いました。ついでに、「ホタル」と名の付いた和菓子も。皿に並べるだけで季節感があり、食べるのが勿体無いような気分になりますが、暖かい白川茶とともに美味しくいただきました。

 和菓子屋さんの業界では「後継者難による廃業が目立つ」「売上げが伸びていない」など、厳しい声が少なくないそうです。確かに、経営者の高齢化や後継者不在による廃業も増えているし、リーマンショック以来激減した贈答品や社用の需要は低迷から脱することができていません。けれど、これって、和菓子屋さんの業界のみが抱えている問題ではなく、現代社会における日本全体の問題でもあったりします。

 普段は洋菓子のチェーン店でお菓子を購入する機会が多いのですが、その理由は名前の知れた商品や品数の多さという安心感があるからです。一方、都市部では有名パティシエと呼ばれる方が多く存在し、そのブランド力で遠方からわざわざ買いに来るそうです。しかし、和菓子には全国的なチェーン店もないですし、有名パティシエのような有名和菓子職人は?と聞かれても名前が出てきませんね。

 まめ蔵の開業準備のため、製菓専門学校の資料を集めた時も、洋菓子を扱うクラスは多かったのに、和菓子は少なかった記憶があります。みんなパティシエという言葉の響きに惹かれるのでしょうが、結局、プロとして活躍できるのは、洋菓子であれ和菓子であれ、ほんのひと握りの人たちなのですが。 

 今回購入した和菓子を購入した店は、「この店なら、季節感を味わえる商品を作ってくれるだろう。」という期待があり、その期待に応えてくれる和菓子に出会えたのです。結局、人は商品=店(職人)を選んでいるのです。珈琲屋を営む店主ですが、まだまだ職人というレベルには程遠く、「あの店なら。」と期待してもらえる程には至っておりませんが、今後も精進したいと思った次第です。結局、商売は”人”って訳です。