マキネッタですか

昨日、店内でコーヒーを飲んでいたお客様から、「エスプレッソに合うコーヒー豆はどれですか?」という質問をいただきました。速攻で、「何でもいいんです。」と答えます。「エスプレッソはコーヒーを抽出するための道具の一つですから、浅煎りでも深煎りでも抽出できます。ただ、一般的には深煎りを使用することが多いのですが、お客様の好みに合わせた豆をお使いになるのがいいでしょう。」と付け加えました。さらに、「以前、バリスタチャンピオンとなられた方から浅煎りのエスプレッソを飲ませてもらいましたが、美味しかったですよ。」、そういうと、「私は苦いのが好きだから深煎りにしするわ。」そう言ってケニアのコーヒー豆を選ばれたのです。

そこまでは良かったのですが、「ミルが無いから挽いてもらえます。」となったので、「うちでは、エスプレッソ専用の極細で挽くミルが無いのです。」、「できれば、専用ミルで挽きたてのコーヒー粉を金属製のバスケットの中へ入れ、タンパーで押さえるといいんですが。」と伝えると、お客様の顔が????マークでいっぱいになっています。

念のため、「エスプレッソですよね?」と確認すると、「そう、下を温めると上にポコポコ上がってコーヒーができるんだけど。」、えっ!それってもしかして?そう思って食器棚の奥からサイフォン器具を取りだし、「これですか?」と尋ねると、「いや違って、下が金属で。」、との返答でした。

な~んだ。そう思いながら改めて食器棚から取り出してお見せすると、「そうそう、これです!」と言われます。「これマキネッタという器具です。」と言いながら、「確かに、直火式のエスプレッソともいいますが。」と自分に言い聞かせるように話します。なんとも、滑稽なお客様とのやり取りでした。

これまでのお客様の抽出方法は、ペーパドリップ以外では金属フィルター、サイフォン、ネル、コーヒープレス、全自動エキスプレッソマシン、手押し式エスプレッソマシン、ベトナム式、そうだ、エジプトからの留学生がイブリックを使うって言ってたな。こんなところでしたので、マキネッタを使用するお客様を想像することができなかったという訳です。

マキネッタでは24気圧程度までしか加圧できないためクレマは出ないなど、この方式によるものはエスプレッソではないという見解もあるようですが、南ヨーロッパの家庭に普及しているのはこのタイプが多くてエスプレッソとして通じるようです。ですから、エスプレッソかどうかは別にして、コーヒー豆と水をセットして火にかけるだけの手軽さや、使用後のお手入れの簡単さ、器具の安さ、場所を取らないサイズ感、シンプルで故障知らず、を考えれば、このマキネッタも良いのかもしれません。 

お客様とトンチンカンなやりとりをしてしまいましたが、中々、オシャレな抽出器具を利用する方がいらっしゃることを知り、正直、感心したしだいです。