ムアンバを食べながら

先月の3月29日(日)は臨時休業し、UCCコーヒーアカデミー東京校で行われるアンゴラコーヒーの飲み比べ会に参加予定でした。ところが、急遽、友人の葬儀参列のためキャンセルとなったのです。日本では輸入がされていないアンゴラコーヒーのため、飲める機会は稀で大変貴重な経験ができるはずでしたが、それが出来ずとても残念でした。

その代りに、松原食品(福岡市)がアンゴラ大使館のレシピ、アンゴラ大使館監修により作り上げた『ムアンバ』を食べながら、アンゴラの事をブログを書いております。ちなみに、『ムアンバ』とは、香ばしい鶏肉料理で、鶏肉とトマト、玉ねぎなどの野菜をピーナッツバターで煮込んでシチューのように仕上げる、アンゴラの国民食として愛される伝統料理だそうです。

 アンゴラ共和国はアフリカ大陸の大西洋に面する場所にあります。面積は日本の3.3倍。人口は約3,000万人。公用語はポルトガル語、つまり、かつてはポルトガルの植民地だった国です。1975年に独立した後も27年にわたって内戦が続き、アメリカはアンゴラの反政府勢力を支援し、一方、旧ソビエト陣営は、政府軍を支援したという、東西冷戦における代理戦争の典型でした。

 現在のアンゴラは、アンゴラは石油産業の急速な伸びにより、近年は世界でもトップレベルの経済成長を遂げています。しかし、最近は産業多角化にも力を入れ始めており、コーヒー産業もその1つとなっています。実は、以前はコーヒー生産量世界34位(現在は36位)といわれた、コーヒー産業が活発だったアンゴラなのです。

 アンゴラにコーヒーが伝えられたのは1830年代にポルトガル植民地時代だといわれており、1970年代には最盛期を迎え、当時はロブスタ種の中でもさまざまな品種が育てられ、2,000ほどのプランテーション農場があったそうです。しかし、1974年にポルトガルから独立を果たすと、長い内戦が勃発しコーヒー栽培は廃れていきます。そして、2014年に政府主導で再びコーヒー栽培を活発化させるべく、様々な対策が取られるようになりました。

 今回、日本への輸出が行われていないアンゴラコーヒーを売り込むため、3月24日に駐日アンゴラ共和国大使館でアンゴラコーヒー試飲会が行われた後、UCCコーヒーアカデミー東京校でもアンゴラコーヒーの飲み比べ会が開催されることになったのです。しかし、試飲することが出来なかったものの、秋に行われるSCAJの展示会で何かしらのイベントが行われるでしょうから、その時までお預けということになります。

 先に述べたように、アンゴラと言えば石油の他にダイヤモンドの採掘が知られており、内戦後には急激に発展を遂げていきます。そのため、首都のルアンダでは世界一物価の高い都市とまで言われたことがありました。同時に、中国との一帯一路政策にも依存しており、アンゴラ産原油を担保にした中国による、いわゆる「アンゴラ方式」と言われる借款が始まり、石油輸出国の7割以上が中国となっているのです。さらに、アンゴラは今やアフリカの中で対中債務残高が最も多い国にもなっていることを知ると、アンゴラ産のコーヒーもさぞかし苦いのではないかと想像します。(知らんけど) 

それにしても、この『ムアンバ』はアフリカらしい風味がして美味しいではないですか。ソースをパンに付けて食べて良し、スプーンで口に入れてもピーナッツバターの香りが広がり異国情緒を感じます。ただ、鶏肉は胸肉を使用し安価なはずなのに、パッケージの写真に比べて少なすぎるのが残念です。この辺は大使館の監修対象になっていないんだろうか?などと疑問に感じながら、アンゴラのイメージトレーニングをしておりました。いつかアンゴラコーヒーが飲める日を心待ちにして。