節分を前にして

 少し前まで正月気分だったものが、早くも今週の金曜日には節分の日を迎えます。我が家では毎年「豆まき」を行っており、還暦を過ぎた夫婦二人で玄関と裏口へ「豆まき」を続けていますが、こんな家庭は田舎でも珍しくなったのかもしれません。もっとも、そのお陰かどうか知りませんが我が家には鬼は現れず、平和な日々を過ごすことができています。

 古来から日本の歴史の中で語り継がれる鬼は、ツノが生えた頭、つり上がった目、牙の生えた口という姿で金棒を振り回す怖いイメージですが、実際に見たこともなく、妖怪や伝説上の神といった形で伝えられてたり、「桃太郎」や「一寸法師」などの昔話などでしか登場しません。

 しかし、全国各地には鬼にまつわる場所は多く、土岐市の隣の瑞浪市日吉町と可児郡御嵩町の境に位置する鬼岩公園には、「関の太郎」という鬼が住み、近隣の住人や東山道を山越えする旅人に悪行の限りを尽くしたので、後白河法皇の命をうけた「纐纈源吾能康公」に依って誅伐(ちゅうばつ)されたという伝説があります。そして、その首を桶に入れて京へ運ぶ途中、急に動かなくなったため埋めた場所が、御嵩町に「鬼の首塚」とて残っています。

 また、可児市塩字中島の可児川(木曽川支流)にある中州には、「鬼ヶ島」であると伝えられている場所があります。この中洲は、約2000万年前に火山の噴火で発生した火砕流でできた凝灰角礫岩でできたもので、犬山桃太郎伝説で桃太郎が鬼を退治した「鬼ヶ島」だと伝えられていいます。(看板にはそう記されている)可児市のPR動画にも「鬼が島のあるまち可児市」とか、「桃太郎も住みたくなるまち可児」なんて言ってますから、本当に鬼がいたかもしれません。(岡山の人は気分悪いかも)

 とはいえ、せっかく「鬼ヶ島」へやってきたのに鬼がいません。そこで、もうひとつの「鬼ヶ島」を目指して春日井市出川町へ向かいます。ここには、「鬼ヶ島公園」という名の公園があるのです。到着すると、入口には赤鬼は金棒を持って見張り番をしており、青鬼は背中を滑り台にしておりました。さらには、公衆トイレの白壁に「みんなで遊ぼう 夢の地 鬼ヶ島」と、イラスト付きで書かれています。夢の地?鬼ヶ島って怖い場所じゃないの?何だか拍子抜けしてしまいます。 

 節分を前にして、鬼が島を巡った一日でした。