妻のこと

 我が家では、冬が近づくと、松の剪定をする素人の庭師が登場します。以前は母親が市内の業者の方へ依頼をしていましたが、昨年から、「自分でやってみたい」と妻が言い出し、剪定の書籍や動画を見ては研究し、独学で松の剪定を始めました。その頃からか、大学ノートに「園芸日誌」と書かれた日記帳が登場し、菊の挿し木や寄せ植えなどの記録をしているようです。

 今年も松の剪定を数週間かけてコツコツ行い、職場の同僚から譲り受けたランの鉢植えを、再び花を咲かせようと世話をしています。先日は、小型のビニールハウスを購入し、寄せ植えした鉢を入れるなど余念がありません。動物に限らず生き物の世話をするのが苦手な私には、そもそも不向きなことなので全く関わっておりません。この地方では「ずくがない」と言われてしまいますが、根気がないというより興味がないという方が正しいのかもしれません。

 そんな妻が今年も干し柿作りを行い、いい具合に出来上がってきたようで、しきりに「食べてみて」と何度も言ってきます。干し柿よりも干し芋の方を食べたい私ですが、軒先に干した柿を天気予報を見ながらビニールシートを掛けたり外したりと、こまめに作業する姿を知っているだけに無下には出来ないのです。

 自分が早期に退職し、好きなことをやっている身分であるため、特にこれといった趣味を持たない妻の事が気になっていましたが、書斎に置かれた「園芸日誌」を見る度、少しだけ気が楽になったしりします。ただ、「畑で野菜を育ててみたい!」とプランターでは満足できなくなったようで、「園芸日誌」から「農業日誌」になってしまうのではないかと若干心配しております。いったいどこへ向かうのか? 

しかし、頼めば嫌な顔をすることもなく、店のコースターをこうして作ってくれるのため、応援できればと思っているところです。やってみたい夢があることは、本当に素晴らしいのすから。