愚痴る店主

月曜日の定休日は祝日で、お彼岸も近いことから、妻と共に墓参りをしてきました。お墓掃除は事前に妻が済ませてくれていたので、その慰労のつもりで昼食は外食に誘います。妻が食べたいもの提供しているとある店に行くと、昼時だというのに店内には来店客が誰もいません。案内されたテーブルに着いて注文をすると、店主が準備をしながら色々と喋りはじめてきます。

私は相槌をうつのも面倒だったので黙っており、妻が「そうですね~。」と話に合わせています。店主:「台風がやってくるから、お客さんも来ないですね。」、でも、同じテナントの美容室には車の出入りがあるんです。店主:「こんな時は、台風補助金でも出してくれるといいんですが。」、おいおい、これは完全な補助金慣れした方の典型です。店の売り上げが悪くなると補助金頼みになる悪い例です。

落ち着いて店内を見回すと、使用していないテーブルに店主が読みかけていたと思われる漫画本や雑誌が無造作に置かれたままです。さらには、出窓の部分には随分古い資料なのか、ノートのような物が乱雑に放置されていました。キッチンの方へ目を向けると、暗くて整理整頓されていない様子が目に入ります。「お客さんが来ない原因は店側にあるんじゃないの!」と言ってやりたかったのですが、他人様の店なので黙っていましたが、コロナ禍になってから、店の売り上げ減少を店側に探すこともせず、全て外向きに理由を探す店主が多くなったように思います。

経営者の中には「補助金をもらうのは権利だから。」と言う人がいます。でも、補助金で急場を凌ぎ、経営を立て直す術を講じる人はほんの僅かしかいません。経営方針を見直すとか、コロナ禍でも収益の見込める事業転換を行うとか、出来ることは多くあると思うのですが、補助金や助成金に安心し、嵐が通り過ぎるのをじっと待つ方が居るのも事実です。

そんな店主が、「私には兄弟が7人いても、介護の必要な父親の面倒をみるものは私しかいない。」と話しはじめます。そんな話は聞きたくもないのですが、自分の身内話を喋りはじめました。一応説明しますが、私達はこの店に来たのは20数年振りくらいです。子供たちが小さい時に子供会の行事で利用したことを覚えています。その頃は、今の店主の両親が切り盛りした結構繁盛していた記憶があります。正直、何言ってんの?といった気分になりました。

今回は市内にあるとある飲食店でしたが、まめ蔵の開業間もない頃に訪問した珈琲屋さんにも、そんな愚痴を言う店主が居たことを思い出しました。「そんなマイナスのオーラを出すところに人は来ない!」と、その時に自分を戒めたものです。気を付けなければ。