代用コーヒーを作ってみた

先月の中日新聞に、岐阜県海津市でコンサルタント会社を営む伊藤由紀さんが、県内特産の富有柿の種を焙煎したコーヒー、「ハリヨの珈琲」を販売したという記事を見つけました。祖父が2016年から県内産の規格外の富有柿を使った柿酢を造り始め、柿酢を造る過程で出る柿の種を見て「ゴミが出ないように活用できないか」との思いを抱いたのがきっかけだといいます。

 記事を読んだ際は、「あ~代用コーヒーか。」といった程度だったのですが、後日、ネット販売のページを見ると、ハリヨの珈琲ドリップバッグ(1杯分)の販売価格が 432円(税込)というのを知ると、「高っ!」と思ってしまいました。柿の種の代用コーヒーを飲みながら、おつまみに柿の種を食べる所を想像すると、クスッと笑えてきたと同時に、柿の種を焙煎するなら「ひまわりの種」や「かぼちゃの種」ならどうなんだろうと考えたのです。

 そこで、「ひまわりの種」や「かぼちゃの種」を用意して、手網焙煎で代用コーヒーを作ってみることにしました。「ハリヨの珈琲」は焙煎家と言われる方と試行錯誤し、味を均一にするために約2年かけて焙煎度やひき方を工夫したようですが、こちらは単に面白そうというだけで行うため、全て一発勝負です。

 でも、「ひまわりの種」や「かぼちゃの種」と簡単にいっても、手に入るものには制限があります。花壇に咲いている向日葵は無いし、普段食べているカボチャの種を集める事も出来ず、結局、「ひまわりの種」はハミスター等の小動物用の餌、「かぼちゃの種」はお菓子やパンに使用する製菓用のパンプキンシードになってしまったのです。

 材料が揃ったところで、手網焙煎の出来る銀杏煎りに入る50gをそれぞれ用意します。遠火の強火でシャカシャカ振りながら焙煎しますが、コーヒー生豆と違って薄くて軽いため、みるみるうちに煙が出始めます。「ひまわりの種」は種に含まれるオイル分が多くて白い煙がたちこめ、「かぼちゃの種」は薄皮が焦げてコンロの周りに飛び散り、そこいら辺に飛んで大変なことに。後から眼鏡に焦げた灰がいっぱいくっ付いておりました。真似する方はくれぐれもご注意を!(臭いも凄い)

 それぞれ6分間の手網焙煎を行いましたが、焙煎後の種を計量すると、「ひまわりの種」が38.5g、「かぼちゃの種」が42.5gとなりました。真っ黒な「かぼちゃの種」ですが、オイル分の多い「ひまわりの種」の方が焙煎によって減少する量が多いことが分ります。

 抽出しようと手挽きのミルに「かぼちゃの種」を入れると、粉になるどころか黒いオイルの塊になってしまい、ミルを分解掃除する羽目になってしまいます。これでは抽出どころではありません。ミルの掃除が終わって「ひまわりの種」を挽くと、なんとか黒い粉状のものになります。抽出して出来上がった液体は、黒い粉から想像できない紅茶のような薄い抽出液ができあがり、試飲すると、見た目と違って苦くて飲み込めないほどです。(毒かと思った!)

 結局、「ひまわりの種」と「かぼちゃの種」を使用した代用コーヒーは大失敗です!種に含まれるオイル分が多いことから上手く出来なかったものと思われますが、再度挑戦してみたいという気分にはなりません。だって、コーヒーの方が美味しいんですから。 

 そんなことを考えながら、ひまわりの種、かぼちゃの種、アーモンドを寒梅粉と小麦粉で包み込み、油を使わない焙煎種スナック「じゃり豆」をかじっております。こっちの焙煎の方が美味しい!