極楽駅へ

 東海三県において緊急事態宣言が発出されたことから、「定休日であっても人の居る所には行かないように!」と、妻から釘を刺されてしまいました。しかたなく、店の芝生を電動バリカンを使って草刈りします。けれど、小一時間もすれば終わってしまい、「さあ、どうしたものか?」と考えて、恵那市岩村町まで車を走らせました。

 岩村町には、旧国鉄明知線を1985年に引き継いだ第三セクターの明知鉄道が走っていますが、その路線の中に「極楽駅」があります。この極楽駅は2008年開業で、明知鉄道の全11駅でも最も新しい駅ですが、特に特徴のある駅ではなかったのです。しかし、2019年に駅舎の改修工事が行われ、駅名の「極楽」にちなんだ駅舎になったといいます。ちょうど、中学の恩師の家の近くであるため、久しぶりに挨拶がてら見に行こうと思ったのです。

 世の中には「極楽○○」とついた名所や施設は数多くありますが、「極楽」のつく駅は、江ノ島電鉄「極楽寺駅」(神奈川県鎌倉市)や南海電鉄高野線「極楽橋駅」(和歌山県高野町)が知られているものの、ずばり「極楽」と2文字の駅は全国でもここだけです。今回は人との接触を避けて車で行きましたが、電車で行けば恵那駅で切符を買う際に、「極楽まで1枚お願いします。」となる訳で、けっこう笑えますが、実際に、「極楽」行きの切符を買い求める観光客も多いようです。

 ホームにはお地蔵さんと黄金の筋斗雲の椅子(一人用)があり、赤い待合室の上にも筋斗雲が掲げられています。そして、待合室の中には「オッケー」の手の形をしていることから「OK観音様」と呼ばれる黄金の観音様もあり、お賽銭が置かれていました。この近くに極楽寺という廃寺があり、地域の歴史に根ざした名前や知名度アップを狙って公募で決められたそうですが、応募件数がわずか23件というから、ほのぼのしてしまうではないですか。

待合室を出て、岩村駅の方へ向かってホームを歩くと、「人は須(すべか)らく忙裏(ぼうり)に間を占め 苦中に楽を存ずる工夫を著(つ)くべし」と彫られた石碑がありました。案内板によると、地元ゆかりの幕末の儒学者・佐藤一斎による「言志四録」からの言葉で、「人は忙しさの中に静かな時が持てるように、また苦しみの中にあっては楽しみの心が持てるように工夫すべきだ。どうせやるなら楽しんでやろう。」と解説されています。

 コロナ禍での生活も1年半が過ぎようとしています。不安や緊張感が続く日々が続きますが、どうせ生きているんだから、そんなコロナ禍であっても、工夫しながら楽しんで生活していきたいものです。感染防止をしながら。

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コメント: 2
  • #1

    rakuso (水曜日, 01 9月 2021 10:18)

    留守をしていて申し訳ない。久しぶりなので会いたかったけども。ドック受診の日でした。極楽駅には時たま写真撮影の人が来ているようで見かけることもあります。この時節なので団体客は全くありませんが、かつては「極楽についた」ということでツアーの中に入れていて、駅から降りてくる人たちを待つバスが何台も待っている情景がありましたよ。又そんな時が来ることを願っています。又よりますね。

  • #2

    まめ蔵 (水曜日, 01 9月 2021 11:38)

    コメントありがとうございます。コロナ禍の生活もいつか終わりがあります。その時には、ゆっくりお会いしましょう。