水玉模様

昨日は、母親を担当しているケアマネージャーと打ち合せ後、多治見市へ買い物に行った帰りに虎渓公園に立ち寄り、花見でもしようかと車を走らせます。ところが、前日の雨のせいで多くが散ってしまっていたのです。そこで、若松屋の五平餅と田楽をオープンテラスで食べながら、ピンク色のツツジと新緑を眺めておりました。豆腐田楽と五平餅でお腹いっぱいになり、出されたお茶を飲み干すと、懐かしい水玉模様の湯呑です。

 この水玉模様の湯呑は、食堂やテレビの刑事ドラマでよく見かけるデザインです。佐賀県の有田などで焼かれていますが、土岐市でも「水玉汲出」といって泉町を中心に、全盛期には年間で15万個ほど出荷されたそうです。古き良き時代の空気を漂わせる愛らしいデザインは、町の集まりや家庭の団欒の中に必ずあったものです。

 サラリーマン時代に縁あって、水玉模様を作り出す作業を見たこともあります。コロンとしたフォルムに藍色の帯に塗られた釉薬の部分を、一つずつ研磨機で削りを入れて均等に模様を作る光景は職人技というべきものでした。泉陶磁器工業組合にはジャンボサイズの水玉汲出が飾ってあったことを覚えています。

 「汲出」という言葉は聞き慣れないかもしれません。茶会の席で客がそろうまでの間に、茶碗に湯を汲んで出すことで、その茶碗を汲出茶碗と言うのですが、一般的に、「汲出」はお客様にお茶をお出しする時に使う湯呑みのとき、家庭などで各自が自分用に使う「湯呑み」と使い分けられているようです。 

 昭和レトロ感のある水玉汲出でお茶を飲みながら、昼食の替りに田楽と食べた定休日のひと時でした。