ブランド

 お客様からミカンをいただきました。「恋みかんっていうの!」、そう言って渡されたミカンは色が濃いものの、SMサイズでよく見るミカンだと思っていました。ところが、食べてみると甘くて味が濃いのです。驚いて検索してみると、長崎県下統一ブランドの一つである「長崎恋みかん」だということが分りました。 

 この「長崎恋みかん」は、長崎県の高級ブランド「出島の華」に次ぐセカンドブランドとして、一定以上の美味しさを確保した購入しやすいブランドにした商品です。名前の「恋」は味が濃いという意味で、中身で勝負するというキャッチフレーズが由来となっているようです。高級ブランドの「出島の華」と同様に生産者自身が指定園に申請し、生産資材の統一と品質目標を目指した栽培管理を行い、基準に達した園地から出荷されています。ちなみに、Amazonnで調べると一般的なミカンの3倍以上の価格となっており、一口で食べてしまった事を後悔してしまいます。 

 こうしたミカンにもブランドがあるように、コーヒーの世界にも驚くようなブランドの農園やコーヒーの品種が存在します。オークションで高値を付けたCOE(カップオブエクセレンス)を何度かカッピングしましたが、確かに高品質で個性的なコーヒー豆はあるものの、その価格が妥当であるかは首を傾げるばかりでした。価格には誰がどのように販売するかによっても、その妥当性は関係してきますが、私自身はお客様に提供したくなるような魅力的なコーヒー豆は少なく、あったとしても高くて手の届かないコーヒー豆です。 

 コーヒー農園やコーヒー豆のブランドと同時に、そのコーヒーを販売する珈琲屋さんにもブランドと呼べるものがあります。コマーシャルなどによるイメージ戦略によって作られてブランドは、時として「確かに美味しいけどビックリするほどでもない。」とか、「なんで人気なのか分からないほど美味しくない。」と落胆させることがあります。それは、お客様へコーヒー豆を前面に出すのではなく、珈琲屋さん自身を前に出し過ぎたケースに多いように感じます。 

 不器用な私はPRが苦手なうえに嘘がつけないこともあって、けっして商売上手とは言えませんが、ブランドなんか気にせずコーヒーと向き合うことだけをしていきたいと思っています。期待値上げてガッカリさせるの嫌じゃないですか。