クリストシュトレンをお供に

 朝の焙煎とロールケーキ作りも終わり、一息ついてコーヒーを飲みます。12月に入ってから店内のBGMにクリスマスソングのCDを流し、絵手紙に描いたポインセチアを置いていることもあり、今回のコーヒーのお供には、先日、中津川市阿木町のパン屋さんキュルティヴァトゥールで買い求めた、クリストシュトレンを食べています。また、これが美味しいのなんの。遊び心で自分が作ったシュトレンが恥ずかしくなります。はやり、餅は餅屋に限ります。

 

 一般的に言われるシュトレンは、正式にはクリストシュトレン(Christstollen)と言います。ドイツ語のクリスマス(Weihnachten)を意味する、通称ヴァイナハツシュトレン(Weihnachtsstollen)とも呼ばれ、ドイツの「食品法」では、小麦粉100%に対して乾燥物(ナッツやドライフルーツなど)が最低60%含まれ、かつバター(乳脂肪分82%以上)が30%以上などなど、細かく規定されており、この規定に合わないものはクリストシュトレンまたはシュトレンと称することができないそうです。

 このクリストシュトレンを作っている阿木町のキュルティヴァトゥールは、阿木川ダムを渡る国道の反対側にある山道を走った何もない山の中にあり、2003年の春に建築廃材や地元の木材を使用した木の家を4年かけて完成させ、2007年4月にオープンしたお店です。店名のキュルティヴァトゥール(cultivateur)はフランス語で農家・農夫という意味や耕す人といった意味があるそうです。確かに耕したといった雰囲気のあるロケーションなのです。 

 そんな山の中でお店を構えて商売を続けるためには、商品の品質が高いこともありますが、何よりお客様から求められているからにほかなりません。私もよいコーヒーを提供できるよう、生まめを まめに焙煎し 楽しく まめに暮らすべく努力したいと思っています。 

 先日、時々一人で来店され、カウンターに座っていたお客様がお亡くなりになったことを知りました。以前から入退院を繰り返されていたため、毎回「最後の一杯」のつもりでコーヒーを淹れてきましたが、現実になると寂しく感じます。クリストシュトレンをお供にコーヒーを飲みながら、少しだけセンチメンタルになる12月です。