よく分からないコロナ禍のコーヒー産地

 コーヒー豆を購入されるお客様から、ときどき、「コロナの影響ありますか?」と聞かれることがあります。正直、今年は各種のコーヒーセミナーが中止になって情報量が少なく、産地の状態が詳しくわかりません。とりあえずは、今年入荷するコーヒー豆の予定には大きな変化は無いようですが、来年以降には何らかの影響が出てくることでしょう。 

 そんな時、9月初旬にテレ朝のニュースで、コーヒーハンターの川島良彰氏の「コロナ禍コーヒー業界に打撃・・・プロが語る」と題したインタビューが放送されていました。その中で、南米については、「コロンビアとかブラジルは、ちょうど収穫期にまさしくコロナの真最中で、いまだにそうですけれど、そういうなかでブラジルなんかだと、貧しい州の季節労働者がコーヒーの産地に移動して収穫するというのが毎年のパターンで。ところが今、州をまたぐ移動が禁止されたために、労働者不足が起きている。だから、ブラジルでも今年、かなり収穫量が多いと見込まれていたが、木に付いたまま乾燥してしまったという農園が結構あったと聞いています」と答えています。 

 また、中米のパナマでは、15年以上にわたって川島さんと一緒にコーヒーを栽培してきた農園が、取引先との契約キャンセルを余儀なくされ、身売りの決断をしたといいます。「僕のすごく親しい農園の一つも、もうやっていけないということで、中国の会社に買われてしまって、もうすごくショックでした。長年一緒にやってきた農園で、技術指導もしてきて彼のコーヒーを一生懸命プロモートしてきたが、残念ながらもうギブアップしてしまって。」と答え、新型コロナウイルスが収束しなければ、この先、身売りを強いられる農園がほかにも出てくる恐れがあると心配していました。 

 コーヒー農園の身売りや農地を売りに出すという事態は、コロナ禍以前から言われていましたが、今年になってからはさらに増えているようです。さらには、コーヒー生産量世界一のブラジルでは、ボルソナロ大統領の暴走が続いており、先行きが見通せない状況です。 

 新型コロナウイルスを「ちょっとした風邪のようなもの」といったり、決まり文句の「人間はいつか死ぬ」を繰り返すブラジルのボルソナロ大統領ですが、ブラジルは連邦制で、実際の感染対策は州知事が責任を持っています。大統領の出る幕はあまりないのですが、国家を挙げて対策に取り組むという形になっていないので、感染対策に反発する国民が多いのは確かなようです。 

 3月中旬からブラジルでは、日本と同様に州政府や地方首長の判断で、商業施設の閉鎖や外出自粛要請を実施しており、コーヒー産地の一つであるサンパウロ州においても、324日(火)から不要不急の商業活動を規制する政令が発令されました。この外出自粛期間の延長は数回行われており、8月30日現時点では、96日(日)まで続く予定でした。 

 ブラジルの大統領と違って、各州知事が責任を持ってコトナ対策をやっているかと思えば、リオデジャネイロでは828日、病院の建設費や医療機器の購入代金の一部を着服した疑いで、裁判所が州知事の職務を6か月間停止する命令を出しました。警察によると、これまでに27の州のうち16の州で合わせて29件の捜査が行われているということですから、いったいどんな国なの?と驚くばかりです。 

 そんな訳で、いまのところ「よく分からない!」というのが実情です。