アナエロビック

 先日SCASpecialty Coffee Association)のテクニカル・ディレクターであるマリオ・フェルナンデスのレポートを紹介し、多くの農園で試験的に行われている発酵過程について、彼は次のような5つの区分をしていると書きました。  

Extended or intense fermentation:長時間発酵、または強烈な発酵  

Microbial starters:微生物スターター  

Fermentation adjuncts:発酵補助剤  

Flavoring agents-before drying:乾燥前の香味付  

Flavoring agents-during or after drying:乾燥中又は乾燥後の香味付 

発酵のことはファーメンテーション(Fermentation)といい、1年前のブログでも、発酵の工程の違いを示す言葉として、エアロビック・アナエロビック・カーボニックがあることも記しており、そうした発酵過程によって大変ユニークなフレーバーを放つコーヒーになります。私自身も幾つかのコーヒー産地のカッピングで、驚きの体験をしたものです。 

そこで、今回、コロンビアのエルパライソ農園で精選されたアナエロビックのコーヒーを少量仕入れ、「こんなコーヒーもあるんだ!」という体験をしてもらうことにしました。アナエロビック(Anaerobic)ファーメンテーションは、嫌気性発酵と言われ、酸素を遮断した状態での発酵プロセスです。摘み取ったコーヒーチェリーをエアロビックのようにタンクに入れて水で覆い、タンクに逆止弁を取り付け、中身が空気に触れないように密閉した状態で醗酵させます。ミューシレージの発酵によって発生する炭酸ガスの圧力によって、パーチメントコーヒーの中に通常以上のミューシレージ成分を浸透させようというのです。 

エルパライソ農園はカウカ県ピエンダモ地区の標高1,700m以上の場所にあり、カスティージョという品種の豆を嫌気性発酵や乾燥方法に工夫を加えています。具体的には、チェリーの状態で48時間、18度の温度下で嫌気性発酵を実施し、脱果肉後96時間、19度の温度下で再度嫌気性発酵しています。そして、水洗工程では、初めに40度のお湯で洗い、その後12度の水で再度洗っています。さらに、乾燥工程では、温度35度、湿度25度の環境下で34時間乾燥させ、水分値11%にしています。 

こうして作られたコーヒー豆はユニークな香りを放ちます。ユニークと表現したのは正直な気持ちで、全ての方が美味しいと感じて頂けるかは???だからです。そんなユニークなコーヒーは大量生産が出来ませんし、大変手間暇かかることもあって仕入れ価格は高くなります。普段ならまめ蔵の店頭に並ぶことのない価格帯のコーヒーを、数量限定で謝恩価格の半額でご提供することにしました。興味のある方は一度お買い求めください。

なお、今回は過去半年間にご利用のあったリピーター様へ葉書をお出ししました。