covid-19が世界のコーヒーセクターに与える影響

 国際コーヒー機関(ICO)から、4月に「covid-19が世界のコーヒーセクターに与える影響」というレポートを出しています。新型コロナウイルスのパンデミックは、公衆衛生上の危機的状況を招き、世界経済に大きな影響を与えている中、GDPの推移とコーヒー消費量の間の相関関係の関連付けを試みるというものです。 

 なにせ英文ということもあり、ネットの翻訳機能でコピペを繰り返して読んでみましたが、結局どうすんの?ってな気持ちになります。国際コーヒー機関(ICO)は、カフェやレストランなどの外食産業が閉店し小売店の売上が急激に減少したこと、また、家庭におけるコーヒーの需要が巣篭りで微増していることを認識した上で、「COVID-19パンデミックによる直接的・間接的な影響を原因とする世界的景気後退により、世界的なコーヒーの需要はより深刻な影響を受けることが予想される」予測しています。 

ソーショルディスタンスという社会的な距離の取り方では、小売や観光といったホスピタリティの部門の大部分が停止することになり、宅外消費に深刻な影響を与え、コーヒーの需要全体に影響を与えますが、この不足分を家庭での消費量の増加で補うことがでれば、コーヒーの消費量は減少しません。けれど、価格に敏感な消費者は、危機以前に購入していたコーヒーより安価なコーヒーで代用しはじめるのです。 

 さらに、ICOは世界のGDP成長率が1%減少するたびに、コーヒーの消費量が0.95%減少すると試算しています。これをコーヒー豆の量に換算すると、世界GDP成長率が1%減少するたびに世界のコーヒーの需要は160万袋(160キロ計算)減少するんだとか。こうしたGDP成長率の大幅低下や世界的な景気後退の影響は、それに比例して大きくなると予測されており、年率23%のペースで安定的に需要が増加していたコロナ禍以前と比較し、コーヒー消費は減少に転じるとしています。 

 COVID-19パンデミックがコーヒー生産者、取引業者、焙煎業者に与える影響について、消費者の理解が得られれば、効果的な緊急時・復旧対策が可能となるといってはいるものの、具体策は何も記されていません。「高っかいコーヒーを有難がって飲めよ!」って言えば良いのに、それも出来ない国際コーヒー機関(ICO)なのです。そんなんだから、グアテマラが国際コーヒー機関(ICO)から次の収穫シーズンをもって離脱するって言ったりするんです。 

そもそも、国際コーヒー機関(ICO)は、コーヒー生産国に輸出割り当てを課して、国際市場に流通するコーヒー豆の量を人為的に制限することで、価格の低迷防止と図ることを目的とした国際コーヒー協定(ICA)を、ICOの総会で決定します。しかし、輸出割当制度が崩壊して、割当が削除されたまま幾度も延長されたり、2007年協定以降は見直しもなく、最大の消費国であるアメリカが脱退したり入ったり、また脱退したり(トランプ政権で)と進む方向が定まらないのです。 

本来、貿易価格を反映すべき国際商品先物市場のコーヒー価格は、まるで金融商品のように操作され、需給バランスを反映しない名ばかりの先物価格が貿易価格を決定するようになっている今、国際コーヒー機関(ICO)の役割はあるのだろうかと思うのでした。