気になり調べてみる

 先月、東濃地方の短大に勤務するお客様から、その短大には留学生が多く在籍しているとの話を聞きました。こんな地方の短大で外国人留学生が多いって?疑問に思ってJASSO(日本学生支援機構)のデータを見ると、201951日現在の留学生数は312,214人と、想像以上に多い事を知ります。先月末からコーヒー豆の販売のみにしてから時間を持て余していたので、ちょっと調べることにしました。 

 日本への留学生増加には理由があるようです。1983年に中曽根元首相の掛け声で、21世紀の初頭までに留学生受け入れ数を10万人にするという『留学生10万人計画』が策定・発表されました。それ以来、日本の国費による外国人留学生が年々増加し、経済成長にともなって私費留学も増加していきます。(現在の国費留学生は約3%) 

その後、2008年に福田元首相のもと、「日本を世界に開かれた国とし、人の流れを拡大、2020年に日本国内の外国人留学生を30万人に増やす」として『留学生30万人計画』が策定され、留学生は順調に増えていきます。そして、201812月末時点で337,000人を記録し30万人計画の目標が達成されました。 

JASSO(日本学生支援機構)が調査した、2019年の外国人留学生の出身国(地域)別留学生数上位5位在籍状況を見てみると、中国、ベトナム、ネパール、韓国、台湾の順になります。ところが、2012年の数字と見比べてみると、ベトナム及びネパールの留学生が急激に増えたことがわかります。 

確かに、お客様はネパールの留学生が多いと話されていましたが、知らぬ間にそんなことになっていたのか!地元の窯業界では、中国やベトナムからの研修生が貴重な労働力として、先細りとなっている地場産業を担う存在になってはいることは知りつつも、ベトナムやネパールからも留学生として、多くの方が日本に来ている現実を知ることとなったのです。 

 もうひとつ知りたかったのが、彼ら外国人留学生が名古屋に住んで、共同生活をしながらアルバイトで生計を維持している理由でした。短大に近い場所のアパートではなく、名古屋という離れた場所で暮らす理由は金銭的な面だけなのか調べてみます。 

外国人留学生は「留学」という在留資格をもっています。この資格は「日本で勉強をする」という活動ための資格であり、働くための資格ではありません。しかし、入管法第19条によって、あらかじめ資格外活動の許可を受けていればアルバイトは可能です。 

日本人の学生ですら、多少はアルバイトをしなければ生活していけないことがあります。そこで、学生の本分である学業の邪魔にならない範囲で就労を認めましょうという趣旨で、資格外活動としてアルバイトを認めているわけです。ただし、外国人留学生は週28時間、14時間(夏休みなどの長期休みでは18時間以内)の労働のみが許されています。もし、この時間を超えて就労すると不法就労にあたり、退去強制といって、いわゆる強制送還の対象になる可能性があります。退去強制になった外国人は、最低5年は入国できません。 

 そのため、原則週28時間しか働けない留学生は、より高給な仕事を探すこととなり、深夜での労働期間が多い都市部に住むこととなります。そして、多くがコンビニで働いているようです。コンビニの場合、勉強の時間を確保しつつ時給が高い深夜バイトが貴重な労働機会となっているそうです。実際、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップのコンビニ大手4社を始め各コンビニ企業で約5万人の外国人が働いていると言われます。 

外国人留学生がアルバイトをする理由は、学費、生活費を稼ぐためですが、さらに、実際に日本語を使って能力を伸ばすこともあります。将来、日本の企業で働くことや、母国の日系企業で働くことを希望している留学生にとっては、日本語が不慣れな内はお客様との会話が少ない倉庫や食品の加工作業をし、慣れてきたらコンビ二を選ぶようです。コンビニに働くとなると、複雑なレジ作業や品だし、コピー機のサポートなど、業務範囲が大きく広がるため、外国人留学生の間では、「コンビニバイトは日本語が上手く話せる証」というステータスになるんだとか。 

そうした外国人留学生の働く場が、新型コロナウィルスによる影響を受けていないか気になります。日本人が困窮している話題しかマスコミは取り上げませんが、こうした人達にもスポットを当ててもらいたいものです。