選択肢

 「買わないという選択肢はないやろ。」、そう言われても、買うか買わないかの選択肢は私が持っており、人様にとやかく言われる筋合いはないのです。ですが、買わなきゃ当たらない宝くじという訳で、岐阜県内の宝くじ売り場で購入してしまいました。 

 もちろん、ハロウィンジャンボ宝くじではなく、ハロウィンジャンボミニの方です。セコイって?セコイのではなく、もし5億円も当たってしまったら、5億ものお金をどう使っていいのやら、どう残したらいいのやらと悩むのが面倒なので、1等賞金2000万円なら悩まないだろうという選択肢です。一応、ファイナンシャルプランナーだったこともあって、多少なりともお金の知識があるが故に、楽しく毎日暮らしているセカンドライフに水を差すような、欲望を今更人生の中心に据えたくないのです。 

 まあ、当たりもしないうちから、言い訳じみたことばかり言っていても仕方がありません。ですが、そこそこの間生きていると、その間には多くの選択をしてきたものです。その時は、清水の舞台から飛び降りるような決断であったり、義を見て為ざるは勇なきなりとの行動を取ってみたり、本当に地獄を見たような気持ちになったこともありましたが、現にこうして生きているのです。結局、そうした経験は何らかの形で今に活かされている事を考えると、その時の選択肢を誤ったと後悔しなかったことが幸いしたのかもしれません。 

 もちろん、過去に悔いることは多々あるのですが、その際に選択したことに対し、「あの時には、こうすれば良かった。」と引きずる事は意外に少なかったのです。それよりも、その時に自分が選んだ選択肢を含め、全てが自分自身なのだと認める心が持てたことが、その後の人生にとって大きな影響を与えてくれたと感じています。先ずは、自分の弱い部分、嫌な部分の存在を認め、そんな自分を好きになることが大切なのです。 

 一人でお店をしていると、当然ながら多くの選択を自分でしなければなりません。その時の精神状態やタイミングによっても、選択肢自体が狭まることもあり、出来るだけ直ぐ起きる結果だけに囚われず、1年後、5年後、10年後といった目線で判断するよう心がけています。 

 誰かに頼ることも出来ない状況だからこそ、スリリングであり、リアル人生ゲームですから、架空のゲームで遊ぶ人たちを見ると、何が楽しいのかさっぱり理解できません。簡単にリセットできないし、一時保存もできない緊張感、なんと面白いことか。 

 そんな事を、一度も当たったことのない宝くじを見ながら考え、抽選日までの楽しみを買っただけだと、自分を納得させるのでした。