SCAJ2017 (2)

 4年連続してSCAJのイベントに行くのですが、展示ブースを見て回りながら新しい情報を知る事と同時に、産地セミナーを受講することにしています。以前、「産地のPRの場だから、そのつもりで聞いた方がいいよ。」と言われたことがありますが、自分にとっては数少ない産地の情報を直接聞く機会であり、可能な限り生産者の顔を見ながら話を聞きたいのです。

 産地セミナーは午前と午後一コマずつ予約しているので、お昼の時間は出来るだけ産地のブースを見て回ります。入口正面に毎回陣取っているコロンビアをはじめ、エチオピア、ブルンジ、ルワンダ、ジャマイカと試飲できるコーヒーは全て飲み、パナマのブースを探すといつもの場所にありません。案内図を見ると少し離れた場所にありました。相変わらず人気ブースで、ドンパチとエスメラルダのゲイシャ飲み比べができるため、入れ替わり多くの人が来ています。昨年はメリハリの少ないゲイシャでしたが、今年はゲイシャらしい個性が感じられます。抽出の上手い下手なのか、豆自体に違いがあるのか、自分には焙煎するチャンスがないので分かりません。

 ゲイシャを話題にしたのには訳があります。午前のグアテマと午後のホンジュラスの産地セミナーも、いずれもゲイシャのカッピングがあったからです。それも、日本を意識してかナチュラルの豆で。ゲイシャブームは現在も続いているのか?って不思議に思えてきます。ロースターの多くがゲイシャの販売に苦慮しているとの話を聞いていただけに、東京はさすがに違うのかな~?って考えたり。でも、産地としては、パナマのゲイシャ人気を見ていただけに、中米各地で盛んに苗を植えた訳で、その苗が充分に育って「よし売るぞ!」ということなのかもしれません。日本への輸出額が意外に少ないホンジュラスも、ゲイシャを土産にセールスにやってきたと考えれば納得できます。

 産地セミナーでは、それまで自分が知らなかった情報も多く、今回のグアテマラとホンジュラスのコーヒー産業やコーヒーの品種にとどまらず、生産者を支える団体が「健康」、「教育」、「食糧安全」といった各分野で活動している様子が分かりました。コーヒー豆だけ見ていると気付かない、生産者の生活に関わる重要な課題が見えてきます。その上にサスティナブルが成立する訳で、忘れてはならない事だと再認識するのです。

 同時に、両国で使われていた「児童労働」という言葉が印象的でした。具体的な内容については詳しく述べられていませんでしたが、ネットで検索すると子供たちが収穫作業をする姿の画像がいくつもあります。法的規制や農民の意識の問題よりも、そうすることが当然のように行われてきた歴史や背景があり、単に批判することが憚れますが、そんな事実もコーヒー豆の向こうに見える事を忘れたくないものです。