■2019年8月 ブログ

8月最終日

 8月も今日で最終日となり、改めてコーヒー豆の販売データを集計してみました。毎年のことながら、夏場でのコーヒー豆の売り上げが減少する為、7月が昨年と比べてそこそこ売れていたこともあって、8月に入ってその反動があるのか気にしていたのです。案の定、8月上旬の販売額が伸び悩み、「このままでは昨年実績を下回るのかな?」などど思っていたところ、中旬以降に盛り返し、7月並みの結果となりそうです。

 夏場のコーヒー豆の売り上げは気温に左右されます。今年の8月は、梅雨明けと同時に最高気温が35℃を超える日々が中旬まで続き、台風の接近により中旬以降は雨が多いこともあって気温は若干低くなりました。そうした天候の変化という背景もあってか、「ちょっと涼しくなったからコーヒーが飲みたくなった。」という気分になったのかもしれません。

 そんな中で注目していたのが、3年前から初夏に売り出した水出しコーヒーの実績です。7月・8月のコーヒー豆販売減少の底上げになればと始めた訳ですが、過去3年間における8月期の販売シェアは、2017年:6.8%、2018年:7.2%、2019年:12.9%と、今年になって水出しコーヒーの貢献度が上がっていることが分ります。

 店内では気温が35℃を超えると、ホットコーヒーからアイスコーヒーへと、お客様の注文傾向に明らかな変化がみられるものの、コーヒー豆に限って言えば、ホットコーヒーを飲む方が必ずしもアイスコーヒーを飲むわけではないこともあって、水出しコーヒーが受け皿にならない実態もあります。これは、以前に行ったアイスコーヒーへのアンケートの際にも、「コーヒーはホットに限る。」という意見が想像以上に多かったことからもうかがえます。

 逆に、水出しコーヒーの手軽さから家でコーヒーを飲み始めた方が、豆を買って家でコーヒーを淹れるかといえば、そうならないから難しいものです。

 そんなことを、データを見ながら思い返しているのです。こうやってグラフにすることで、現状の一部が明らかになってきますが、あくまでも自分が珈琲屋になりたいという過程の中で、数字でコーヒー豆の販売状況を把握しているだけですから、このグラフだけでは経営全体を見ることは出来ません。

 珈琲屋って想像以上に儲からないので、数字を見る以上に楽しみを見つけることを大切にしながら、長く続けていこうと思っています。なにせ、「生まめを まめに焙煎し 楽しく まめに暮らす」が目標ですから。

 さて、来月からはエチオピアやケニアといった一部の商品の価格を上げます。それでも他店よりも低いケースもあるものの、いったいどんな影響があるのかないのか?どうなりますか。

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ファーメンテーション

 9月11日から13日の間、SCAJ2019(正式にはSCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2019)が行われることから、今年も会場へ行って様々なコーヒーを飲もうと思っています。SCAJ2019ではコーヒーに関する展示や競技会、産地セミナーが行われますが、今回はファーメンテーションに注目しながら、その違いを感じることを課題にしています。

 そもそもファーメンテーション(Fermentation)とは発酵のことで、酵母・細菌などのもつ酵素によって、糖類のような有機化合物が分解して、アルコール・有機酸・炭酸ガスなどを生ずる現象です。コーヒーの発酵は、通常コーヒーチェリーのネバネバ部分を剥がすときに様々な発酵方法が行われており、主にドライファーメンテーション(乾式発酵)とウェットファーメンテーション(湿式発酵)などがあります。

 最近では、この発酵の工程の違いを示す言葉として、エアロビック・アナエロビック・カーボニックなどと、何だかダイエットに効きそうな呼び方がされて、体重を気にしている私はついつい気になってしまいましたが、直ぐにそんな効果が無いことが分りました。要は、精製途中の発酵工程を工夫することで、コーヒーのフレーバーに特徴を持たせようとするものです。しかし、上手く発酵処理が出来れば良いのですが、発酵させすぎると逆にフレーバーを壊してしまうこともあるため、ファーメンテーションはコーヒーの生産処理工程でかなり注目されているのです。

 エアロビック(Aerobic)ファーメンテーションは好気性発酵と言われ、酸素に触れた状態での発酵プロセスです。摘み取ったコーヒーチェリーと他の豆のミューシレージや水と共に浸け置いて醗酵させます。1日過ぎたあたりからコーヒーからガスが発生してブクブクと泡立ってきます。(動画で見ると泥水に泡がブクブクしてる)こうやって2日間ほど漬け置き醗酵させます。

 アナエロビック(Anaerobic)ファーメンテーションは嫌気性発酵と言われ、酸素を遮断した状態での発酵プロセスです。摘み取ったコーヒーチェリーをエアロビックのようにタンクに入れて水で覆い、タンクに逆止弁を取り付け、中身が空気に触れないように密閉した状態で醗酵させます。ミューシレージの発酵によって発生する炭酸ガスの圧力によって、パーチメントコーヒーの中に通常以上のミューシレージ成分を浸透させようというのです。

 エアロビックとアナエロビックは似ていますが、空気(酸素)の有無によって生きられる微生物や菌とそうでないものがあり、醗酵工程でのその違いが風味に影響してくるようです。また、一緒に加えるミューシレージや水の有無、チェリーとタネのどちらの状態で漬けるのか、どの品種で行うのかなどによって最終的に出来上がってくるコーヒーの良し悪しに影響してくるので、これまでカッピングしたアナエロビックでも、シナモンの香りやイチゴミルクの香りなど、全く別物と感じるものもありました。
 カーボニックとは、カーボニックマセレーション(Carbonic Maceration)のことで、日本語で言えば炭酸ガス浸漬法でしょうか。ミューシレージを除去した後、ステンレスのコンテナにコーヒー豆を入れてCO2を注入して密閉し、一貫性のある管理された環境下に置くことで、フレーバーを発達させることができる点です。 

 こうしたファーメンテーションは、元々はワインの醸造技術で行われたものであり、それをコーヒーの精選処理に応用しているのです。味覚表現やテロワールといった言葉など、ワインに真似ることでコーヒーの存在価値を高めたいのでしょうが、コーヒー全体ではほんの僅かな数量にしかならず、多くの人が飲むことのないコーヒーなのかも知れません。でも、そんなコーヒーを飲んでみたい私です。

 ところで、SCAJ2019の産地セミナー情報はいつになったら開示されるんだろう?臨時休業にする日が決まらない! 

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岩村散歩

 昨日は、妻が夏休みを取ったので、二人でドライブに出かけて岩村散歩です。自宅から40分程で出かけられる、半日コースにはぴったりの散歩になりました。

■ぜんちゃんふぁーむ

 恵那市岩村町富田に、2013年から新たに開墾を始めた農園です。標高560メートルの空気澄んだ土地で、化学農薬不使用・化学肥料不使用、農産物つくりを目指して、ブルーベリーや葡萄をはじめ、お米、キウイフルーツ、野菜、きのこ等を栽培しています。今回、飛び込みで訪問したためブルーベリー狩りは出来ませんでしたが、葡萄園のハウスに育てられた少量多品種の珍しい葡萄の話を聞きながら、収穫可能な葡萄を買い求めました。9月以降順次収穫できる葡萄は品種が多く、まるで農業試験場のような珍しいものばかりです。説明をされる方が、「様々な味覚の葡萄を食べたくて育てている」と嬉しそうに話される姿を妻が見て、「あなたと同じ」と笑っていました。 

■農村景観日本一展望所 

 ぜんちゃんふぁーむを出て、国道363で中津川方面に向かって走る途中にあるのが、農村景観日本一展望所です。展望台に設置された説明板には、「農村景観日本一の称号は、平成元年に全国の環境問題を専門に研究している、京都教育大学・木村教授から頂き、マスコミが一斉に報道し一躍脚光を浴びたものです。」とあります。他にも「第7回日本のむら景観コンテスト」の集落部門で農林水産大臣賞を受賞しているので、有名になってはいるものの、田舎者夫婦にとては、「???どこが?」というのが本音です。

■乗馬クラブクレイン恵那 

 農村景観日本一展望所の傍にあるのが、乗馬クラブクレイン恵那です。景色の非常に良い、自然豊かな乗馬クラブで、岐阜県では最大規模の乗馬クラブのようです。駐車場にある車のナンバーを見ても、愛知県や岐阜県の広範囲から乗馬を楽しむ人が来ているようです。若い頃に乗馬をしてみたいと思っていたこともあって、妻から「あなたの腰では無理だね」と言われてしまいました。そして、乗馬を楽しむ人達を見て「やっぱり無理かな」と思うのでした。 

■かんから屋 

 朝ドラの「半分、青い」で舞台となった「ふくろう商店街」は、岩村町の城下町です。放送期間中に訪れた際には月曜日でも多くの観光客でいっぱいでしたが、今では観光客も少ないせいか、月曜日を定休日にしている店が多くあります。その中で営業していたのが「かんから屋」で、岩村に訪れる際には必ず立ち寄る場所でもあります。目的はもちろん「かんから餅」。岩村町富田産の餅米を100%使用したふんわりとした餅は、きなこ、ごま、あんこの3種類あり、1皿5個入り400円。 

■五平餅のみはら 

 ドラマに出てくるモデルとなったお店です。ごまだれと、ねぎ味噌の2種類があり、お土産用に3本購入! なんと、付けダレ用にと、ビニールの小袋にタレを入れてくれました。

 昨年のような賑わいから平常時の岩村になったと思いながら、帰路の途中に山岡の道の駅に立ち寄ると、観光客の多さにびっくりです。つくづく集客の難しさを感じたしだいです。 

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招き猫

 瀬戸市美術館で行われている、特別展『平成から令和へ 日本招き猫大賞の20年』(83日~929日)を見に行きました。

 この特別展は、瀬戸市制施行90周年と、昨年20回を迎えた「にっぽん招き猫100人展」を記念し行われているもので、江戸末期に誕生した日本独特の縁起物・招き猫をテーマに、さまざまなジャンルのアーティストが新しい招き猫を創作する全国最大の創作招き猫が毎年9月下旬に展示されているのです。

  今回は、過去大賞作品のパネル展示をはじめ、大賞受賞作家18名の代表作と新作である「令和の創作招き猫」が展示され、作家の自由な発想から創られる、新時代にふさわしい招き猫たちを鑑賞することができます。

 ところで、招き猫の三大産地と言われる産地は、常滑、瀬戸、石川県南部の九谷といわれ、常滑と瀬戸で約8割のシェアを占めているそうです。生産量から言えば常滑が一番多く、市内のいたるところに巨大な招き猫のオブジェが設置されています。

 ですから、「なぜ瀬戸で?」と疑問が湧きますが、その常滑は、瀬戸の50年ほど後に招き猫づくりが広まったそうです。昭和20年代、常滑の主要産業だった土管が不況になってきた中で、招き猫の新デザインを考案し量産したところ、そのデフォルメされた姿が人気になったということです。

 それまで願掛けやお守りとしての縁起物だった招き猫が、高度経済成長とともに商売繁盛を願うアイテムとして日本中に広まり、現代まで招き猫の定番スタイルになったという背景があるのです。

 実際、常滑と瀬戸、そして九谷の招き猫には違いがあるそうです。

■常滑

 常滑の招き猫は陶器です。常滑の土は赤いので、最初に全体を白く釉薬を塗って、その上から絵付けをしていきます。そして、それまで首についていた鈴が、小判に変化したり、小判を持った今では招き猫の定番スタイルが特徴です。

■瀬戸

 瀬戸の招き猫の多くは磁器です。高温で焼成した物を、招き猫に欠かせない赤や金色の絵の具で絵付けし、750℃でもう一回焼いています。さらに、色数が多いものは焼く回数が増えていきます。首の鈴が複数あったり、前掛けにはヒダがあるのも特徴です。

■九谷

 九谷焼の招き猫には顔にまで模様が入っています。オリエンタルな雰囲気が受けて、作られたものはほとんど輸出されたために、あまり国内で見かけることがありません。他と違って耳は横向きで鈴も横についているのが特徴です。

 かつて瀬戸は、人形や鳥など精密に表現したセト・ノベルティーと呼ばれる海外輸出向けの置物を多く生産していました。そのセト・ノベルティー生産の原点ともいえるもののひとつに招き猫があります。明治30年代後半以来約100年間、「古瀬戸(ふるせと)タイプ」からファンシーな招き猫まで、時代の要請に合わせ、さまざまな招き猫を作りつづけてきました。

 今回、まめ蔵も5年目を迎えており、少しずつお客様が増えていくように、招き猫のご利益に授かろうと思って出かけたのです。ただ、少なくても困るし多すぎても対応できないので、丁度良い具合に招き入れて欲しいという、わがままを聞き入れてくれそうな招き猫は無く、化け猫や道楽に興じている猫が多くて、役に立ちそうにありません。結局、欲を出した私が瀬戸市美術館へ招き猫効果で引き寄せられただけかもしれません。 

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SA・PA限定!

 世の中には、高速道路のSA(サービスエリア)PA(パーキングエリア)限定商品というものがあようで、先日、内津峠PAの売店で購入した『たべる珈琲(324円)』も、どうやらその一つらしいのです。厳密には一部の駅売店やネット通販で購入可能なのですが、不確実な場所であったり、10箱セットでしか購入できないなどの理由から、”幻” と呼ばれている激レア商品と言われた時もあったようです。(実際、地元で簡単に買えるからね)

 この「たべる珈琲」を販売しているのは、大阪市に本社のあるビンズ株式会社というところ。なぜ主な販売先がSAPAになったかというのは、昭和40年半ばに先代の社長であった上田保夫(現会長)氏がアメリカへ訪問した際、長距離を移動するハイウェイ(高速道路)バスが渋滞に巻き込まれ、車内に何時間も閉じこめられた経験をしたそうです。その時、「長時間、車に缶詰になるとイライラしてしまう。そんな時、いつもならば挽きたてのコーヒーの香りと味わいで気持ちを落ち着かせることができるのに、今は一杯のコーヒーさえ飲むことができない。こんな時、手軽に味わえるコーヒー味の食べ物があったなら・・・」そんな思いが発端となり、商品として誕生したのが「たべる珈琲」なんだそうです。(メーカーのホームペジ抜粋)

 水がなくてもサッと溶け、口の中に挽きたてのコーヒーの香りと味わいが広がる、飴でもラムネでもない錠菓は、昭和44年に一部の高速道路のSAPAで販売を開始されました。 

 その他にもSAPA限定!というのもがあるようで、お客様から「SAPAにある自動販売機限定で、エチオピア・ゲイシャ・ナチュラルが900円で売られてますよ!」と教えてもらいました。調べてみると、確かにゲイシャ・ナチュラルが900円で販売されていたようです。そして、その販売会社は、コーヒールンバの曲を流しながら抽出するトーヨーベンディング株式会社(名古屋市)の自動販売機ではなく、東京都千代田区に本社を置く株式会社アペックスでした。

 トーヨーベンディング株式会社の自動販売機には『一杯毎に豆を挽くミル挽き珈琲 世界初!!』とPRされており、一方の株式会社アペックスは『飲めば世界の頂を知る!』です。

 201812月にSAPA限定7か所で、エチオピア ゲイシャ ナチュラル」を台数限定・数量限定で販売しており、20196月からは「ウガンダ アフリカンムーン」を販売開始して、スペシャリティコーヒーを継続して取り上げているようです。

 ○○限定!という宣伝文句に弱い私ですが、さすがに、まめ蔵限定!という商品の開発は難しそうです。そもそも、都会で飲めるコーヒーをこの場所で、ソコソコの味で提供することが目標の一つですから、そんな商品を提供する気持ちもないのです。

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田んぼdeアート

 8月上旬に次女夫婦が帰省した際、恵那方面へドライブに行き、その途中で山岡の「田んぼdeアート」を見てきたと話してくれました。これまで何度か山岡の道を通った時には、「田んぼdeアート」と書かれた看板は見てきたのですが、正直、規模が小さいだろうからと関心がなかったのです。ところが、娘からもらった観光PR用のハガキを見て、完成度の高さに驚きました。

 そこで、早朝に山岡へ車を走らせ、山岡の「田んぼdeアート」を見に行きます。今まで見てきた看板は、山岡郵便局から岩村方面へ向かう信号の先にあり、その信号を真っ直ぐ進むと山岡駅です。そこから看板が幾つも続いているので目印どおりに進むと、「ひまわり会館」に着きます。そこの駐車場に車を留め、星空のステージまで5分ほど登ると、山岡駅周辺の田んぼが見渡せる展望台がありました。

 田んぼにイラストを浮かび上がらせる「田んぼdeアート」デザインは、元号の令和の文字とともに恵那市のマスコットキャラクター「エーナ」の絵柄がくっきりと浮き出ています。ちょうど通過する明知鉄道も一緒にフレームに入れてパチリ。

 昨年は、隣町の岩村町商店街がロケ地となったNHK連続テレビ小説「半分、青い。」にちなみ、ふくろう商店街のマスコットキャラクターと「エーナ」だったようで、毎年デザインが変えられるようです。また、以前は古代米やコシヒカリを使った単調な色だったようですが、今では、うるち米や古代米、食べられないアート米など、稲の種類の違いを駆使して美しい絵柄になっています。

 この取り組みは、里山再生に取り組む「イワクラ里山倶楽部」が平成27年度に実施したのが始まりだそうです。しかし、この事業には多くの労力と予算が必要であったため、平成28年度にはやむなく断念した経緯が展望台の一部に記されていました。 そうした疲弊した雰囲気を打破しようと、山岡在住の40歳代50歳代の有志約20名で「山岡元気プロジェクト」を発足し、この「田んぼdeアート」を引き継いでいるそうです。

 地域での町おこし事業は様々な所で行われていますが、過疎化や高齢化、さらには続けることによるマンネリ化といった課題が多くあります。イベントで町の外から人を呼ぶことも大切なのでしょうが、そこに住む人たちが楽しめる形で長く続けることができて、伝統行事と呼べるようなものになるのではないかと思いながら眺めていました。

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久しぶりに珈琲屋巡り

 お客さんから「この自家焙煎の珈琲屋さん知ってる?」などと、色々な情報を頂くことがあるのですが、全部見て回っている時間が無いので記憶に留めておくだけになってしまいます。そこで、久しぶりに、以前から知っていた北名古屋市にある「珈琲倶楽部 如水舎」と、今年になって教えてもらった、春日井市の味美駅近くにある「珈琲屋Monk(モンク)」に行ってみることにしました。

 「珈琲倶楽部 如水舎」は、白山店・井瀬店・春日井店の複数店舗あり、今回は白山店に行きます。小牧から名古屋方面に国道41号線を走り、途中で右折して北名古屋市に向けて4km程進むと店舗が見えてきます。一見すると民家を改築したようにも見えますが、中に入ると見慣れた喫茶店といった雰囲気で、メニューはモーニングをはじめ、ランチメニューも豊富でした。

 丁度昼時だということもあり、ハンバーグとパスタのセットを注文し、食事の後にはセットのブレンドコーヒーを飲みます。コーヒーを飲みながらメニュー表を見ると、コーヒー豆の販売も行われており、なかなかお値打ち価格ではないですか。

 複数店舗でスタッフも多いお店ということもあり、規模も運営方法も自分の店と異なりますが、地域に親しまれていることがうかがい知れました。ただ、店舗内は禁煙ではないのでしょうか?天井に設置されたエアコンの黄ばんだ汚れが気になりました。

 「珈琲倶楽部 如水舎」を離れて、春日井市の「珈琲屋Monk(モンク)」へ向かいます。北名古屋市と春日井市と離れてはいるものの、国道41号線に向かって真っすぐ反対側へ進めば味美駅になるため、意外と距離はありません。

 ところが、味美駅には着いたものの、「駅近くだよ。」としか聞いていなかたので、駅周辺をグルグルと回りますが見つからない。すると、店のウインドーに軍服を着たマネキンやバズーカ砲といったグッズが並ぶ、「ARMY GI SHOP」があります。「米軍払下げ品 輸入小物・ナイフ類」と書いた看板が目に留まり、「何でココ!」と驚いていると、なんのことはありません、道路の反対側に目的の「珈琲屋Monk(モンク)」があるではないですか。隣の居酒屋との境が良くわからず気づかなかったのです。

 この店は一人で経営され、ネルでコーヒーを淹れると聞いていたのですが、残念ながら夕方からの予定もあって時間切れとなりました。コーヒーを飲むことはできませんでしたが、久しぶりに珈琲屋巡りをし、外観も雰囲気も対照的な2店を見ながら刺激を受け、帰路に着くのでありました。

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多治見の上絵付

 定休日の午前、いつものように買い物している途中、多治見市旭ヶ丘の多治見市文化財保護センターへ立ち寄り、展示室で行われている、企画展「多治見の上絵付」(716日~1227日)を見てきました。

 この多治見市文化財保護センターは、多治見市教育委員会が貴重な文化財を後世に残して活用をはかるため、1992年(平成4年)に開設されたものです。国や県・市が指定した指定文化財の保護や、指定文化財などを活用した講演会や企画展示等の普及啓発事業のほか、文化財の調査研究が行われており、休館日が土・日・祝日で入場無料ですから、利用しない手はありません。(多治見市民ではないですが)

  今回の企画展「多治見の上絵付」では、江戸時代から現代までの多治見の上絵付の歴史が紹介されており、明治時代、多治見(旧多治見町、以下同)が陶磁器の集散地として活気に溢れていたことを想像させます。

 子供の頃から、陶磁器の産地は土岐・瑞浪で陶磁器を売る陶器商は多治見だと言われていた通り、当時は町の中心地を東西に走る下街道沿に20 軒以上の陶器商が軒を連ね、仕事を求めて他地域から移り住んできた者も多かようです。

 そうした陶器商は、本焼きした陶磁器を土岐や市之倉、滝呂などから買い付け、注文主の依頼やその時々の流行に応じて上絵付業者に絵付けの注文したことから、多治見では上絵付業者が増えていき、明治時代終わりから大正時代の初めには上絵付業者は129 軒、画工は370人であったといわれます。その後上絵付は赤絵銅版や転写などの技術革新を経ていきました。

 入館すると係りの人が照明をつけていただいたくらいですから、見学者も少ないと思われ、通り過ぎてしまうような小さな施設です。また、一部屋だけの展示スペースではありましたが、多治見の上絵付の歴史を当時の作品や手紙から垣間見ることが出来ました。

 地場産業に家族や友人知人が関わっているにも関わらず、意外と知らないことが多いものです。時々こうした展示を見ることで、地域の事を少しづつ知りたいものです。

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焼き鳥だいきへ

 昨夜は、暑気払いをしようという訳で、多治見市にある「焼き鳥 だいき」へ妻と行ってきました。妻は職場の同僚と時々行ってるようですが、私は初めて暖簾をくぐります。お店のお客さんからも、「紀州備長炭を使ったハイレベルな焼鳥!」、「多治見で一番美味しい焼き鳥が食べられる!」、「お値打ちで 美味い!」と聞いていただけに楽しみにしていました。

 多治見駅から土岐川を越へ、川沿いの道から一歩路地に入った所なので、歩いて15分はかかるでしょうか。店の周辺に2か所の駐車場がありますが、開店時間の5時以降には直ぐに満席となるくらいの人気店です。ほとんどが常連さんのようで、古びた店内を見渡すと焼鳥80円をはじめ、リーズナブルなお値段が並びます。

  とりあえず、生中とウーロン茶、焼鳥、鶏皮、モツ煮、手羽先、ナンコツ、ニンニクを注文し、暑気払いの一杯で喉を潤して焼鳥を頬張ると「美味い!!」。少し小ぶりの焼鳥ですが、うま味が凝縮して何本でも食べられそうです。焼き加減、塩加減、タレの味、どれも絶品で、個人的には焼鳥タレ、鶏皮、味噌串カツあたりが抜群でした。

 道路側に焼場があり、焼鳥の煙が換気扇を抜けてモウモウと流れています。その道路の反対側には、鰻の人気店「うな千」があり、こちらも席が空くのを待つ客が並ぶ横から、鰻を焼く煙が出ているので、美味しいい煙の対抗戦といった状況になっています。そんな煙のアーケードを潜って店を後にしたのでした。あ~美味かった。

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今年も行きます

 今年も、911日(水)~13日(金)の三日間開催される、「SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2019」へ、一日だけですが行く予定にしています。昨年なら、既に開催一か月前には事前受付とセミナー申し込みが出来たのですが、今年は開催時期が早くなったことで詳細が不明のため、臨時休業日が未だに決められていません。 

 このイベントは開業前から行っており、多くの情報や刺激を受けることができるため、毎年出かけています。テーマも時代に即したものへ変遷し、 

2014年:「サプライズ」 

2015年:「多様性への招待」 

2016年:「多様性と革新」

2017年:「革新の時」

2018年:「コーヒーの持続可能な未来」

そして、2019年は「Innovation with Hospitality」と横文字となりました。確かに昨年から多くの海外企業(主に中国)が出店していることから、対象者に合わせるのも必要かもしれません。お客さんの中にも中国企業と取引している方があり、初めて出展するので三日間サポートすると言っていました。 

日本スペシャルティコーヒー協会会長の丸山健太郎氏は「イノベーションとホスピタリティは車の両輪」だと言っています。けれど、サラリーマンの経験から感じるのは、「イノベーションとマネージメントは車の両輪」だということです。イノベーションが重要課題だと設定されていても、取り組みが各現場や個人まかせの「スローガン先行型」や、重要課題として取り組まれているが、多くの部分が連続して行われていない「虫食い改革型」を見てきた者としては、絵に描いた餅のように思えるのです。 

業界全体がホスピタリティの必要性を正しく理解しなければ、小手先だけのイノベーションを繰り返すことになりそうな気がします。そもそも、イノベーションは「技術革新」と翻訳されることが多く、どちらかといえば、研究開発活動に偏重した形で捉えられることが多いのです。ただ、必ずしも研究開発のみに特化したものではなく、むしろ、社会や顧客にとっての新たな価値を創造し、広く普及・浸透させていくことの筈です。 

その点で言えば、先日のSDGsの話題で取り上げた、珈琲狂のゴール(目標)が新たなあ価値を創造するのだと思うのです。 

1.アメリカ支配を排除しよう
2.経済後退を受け入れよう
3.スコアや認証をやめよう
4.健康論議をゼロに
5.他の嗜好品へ目を向けよう

でも、同意する人が少なくて片輪走行になり、広く普及・浸透は叶わないと思いますが。 

 さて、今年は、どんな発見や気づきがあるのか楽しみです。

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華めく洋食器

 定休日が祝日となることから、日頃、月曜日が休館日となる岐阜県現代陶芸美術館へ、「華めく洋食器 大倉陶園100年の歴史と文化」を見に行ってきました。このイベントは、東京都渋谷区松濤にある「松濤美術館」で、6月8日から7月28日まで開催した後、多治見市へやってきたものです。

 大倉陶園の「良きが上にも良きものを」の理念のもと生産される磁器は、フランスのセーヴルやドイツのマイセンなど西洋の名窯にも比肩する高い品質を有していると評価されています。今回、その大倉陶園100年の歴史を5つのブロック別れて展示されています。

1:大倉陶園のお誂え食器 

昭和341959)年から後の皇室の食器が並んでいます。お誂(あつら)えって言葉、貧乏人には縁遠い言葉です。でも、日本的でいいと思いました。 

2:日本人による日本人のための洋食器 

花鳥画を得意とした幸野楳嶺(こうのばいれい)に、孫兵衛が図案意匠の為に依頼して出版した本を絵付けの手本としたんですね。

3:洋風文化の立役者

 富士屋ホテル、奈良ホテル、資生堂アイスクリームパーラーなど、老舗ホテルなどで使用された食器が並びます。当時のメニュー写真もあり、牛舌洋酒煮(タンシチュー)は金五拾銭だとか、食べてみたい!

4:西洋へのまなざし 沼田一雅と陶彫

 マイセンやセーブルなど、ヨーロッパの名窯では陶彫にも重きが置かれていきます。そこで、大倉陶園では大正131924)年に初めて陶彫を発表し、昭和31928)年には一般向けに販売しました。

5:日本の洋食器を追い求めて-戦後~現在

 戦後から現在のお誂え食器など。

 

 その他、新資料にみる大倉陶園の魅力として、新たに発見された資料(工場図面、書簡、石膏型など)を初公開し、最高級品が生まれた背景を紐解いていきます。

 やっぱり、大倉陶園の洋食器は素晴らしい。国産の高級洋食器の中で、どうして大倉陶園の製品が別格の扱いを受け、皇室や老舗のホテル、レストランなどに供されているのか、その100年の歴史をみると頷けました。

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スタティックボックス

 6月初め、ブラジルのウオッシュドのコーヒー豆を、お店で初めて紹介しました。ブラジルでは精製方法のほとんどがナチュラル(非水洗式)で、一般的に80%がナチュラルコーヒーと言われ、残り20%がパルプドナチュラルや水洗式になるため、ブラジルでは珍しいウオッシュドのコーヒー豆を、自分自身が実際に飲んでみたいと思ったのです。

 そして、今回はナチュラルのコーヒーなのですが、乾燥工程に「スタティックボックス」を使用したコーヒー豆です。英語表記だとStatic Boxとなり、直訳すると静かな箱という意味になるのでしょうが、これだと魔法の箱のようでチンプンカンプンです。もう少し分かりやすく言えば、「スタティックボックス」は箱型の非撹拌型乾燥機となります。実際に見たことはないのですが、(検索してもよくわからなかった)箱型の乾燥機に生豆を入れ、攪拌しないで、静かに乾燥させる工程のようです。

 具体的な工程は

■収穫後に、「スタティックボックス」という箱型乾燥機にチェリーを入れます。

■乾燥機のスイッチ入れる前に、少しコーヒーチェリーを発酵させます。

乾燥機のスイッチをオン。
■コーヒーチェリー自体の温度管理をしながら、低温でゆっくり乾燥させます。この間、攪拌はせず、ゆっくり、じっくり時間をかけます。

 このような手間のかかる工程を経ることで、収穫期の天候に左右されずに風味作りができ、ナチュラル感は少ないですが、フルーティーでクリーンなカップのコーヒーになります。

 今回取り寄せたコーヒー豆は、ブラジルのミナスジェライス州トレスポンタス、標高1,180m付近にあるザロカ農園のコーヒー豆です。栽培品種はブルボンアマレロ(黄色いブルボン種)で、ブラジルを連想させるナッツ系の香りは控えめで、色々なフルーツの入り混じった甘い香りのコーヒーでした。

 コーヒー豆に個性を持たせるため、色々な工夫が施されるようになってきました。それにより付加価値を付け、魅力的なコーヒー豆を作ろうと産地で努力しています。けれど、売る側や飲む側が、そうした産地の農家が取り組む背景を知らないままでは、とても勿体無いように思います。

 とりあえず、今日から店頭に置いてお客様へ紹介していきます。

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夏はアイスコーヒーで決まり

 暦の上では立秋になったとはいえ、相変わらず猛暑日の続く日々です。でも、朝起きた際の蝉の声を聴いたり、飛び交うトンボの種類を見ると、季節が変わりゆく気がします。そんな気がするのは早朝だけで、日中は「ここは涼しいワ!」といってドアを開ける方ばかりですから、しばらくは、この暑さとの付き合わねばなりません。

 こんな時にはアイスコーヒーが多く出るので、朝イチに普段より多く仕込んでおきます。昨年のブログ「アイス?ホッと?」で調べたとおり、気温が30℃を超えるとアイスコーヒーが多く出るようになることは確認しましたからね。かといって、お客さんの全てがアイスコーヒーを飲まれるわけではありません。先月行ったアイスコーヒーのアンケートの際にも、「私はアイスコーヒーを飲まないです。」という方がかなりあり、「コーヒーはホットに限る!」とおっしゃられました。

 コーヒーなんて嗜好品ですから、ホットでもアイスでも飲んで心地良くなればいいのです。私自身も夏でもホットが一番なんて思っていませんし、気分によって飲み分けています。ただし、コーヒーに含まれるクロロゲン酸やカフェインは、ホットコーヒーの方が効率よく吸収されるようですね。

 さて、今月に入って4割ほどの方がアイスコーヒーを注文されています。今日の午前中はアイスの方が多かったくらいですから、お昼にもう一度アイスコーヒーの仕込みをしました。コーヒー豆もアイスコーヒー用の深煎りの豆や、水出しコーヒーが売れればいいのですが、残念ながら思い通りにならないのが現実です。

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悪魔再来!?

 朝、コンビニへ立ち寄ると、「悪魔のコーヒー」という商品が目に留まります。1月には「悪魔のおにぎり」の“やみつき注意、悪魔のような誘惑”というキャッチフレーズの誘惑に惹かれて、ついつい買ってしまいましたが、今回もパッケージの♯甘すぎる練乳川柳、「甘すぎる 初恋くらい 甘すぎる」に惑わされて買ってしまいました。

 大昔の甘さなど覚えている筈もないのに、「どんなんだったけ?」とスケベ心で買ってしまったものの、この川柳には「追い込んで 高めに浮いた スライダー」など、数種類が存在するようです。これだったら買わなかったかもしれません。(アホです)

 メーカーの「深煎り焙煎の香り豊かなコーヒーに、甘い練乳を注入しました。脂質と糖分とカフェイン量を追求し、やみつきになる味わいに仕上げました。」というコメントどおり、というか全部がめちゃくちゃ濃いのです。確かに深煎りでしっかり苦みとコクがあり、そこへたっぷり注入された練乳の甘みが、飲み込んだ後にも口の中に余韻として残ります。さらに、残ったコーヒーの香りがロブスタ特有のものでした。「やられた!」

 ストローを刺す時に、フタのフィルムの「ストローを伸ばせば羽も伸びるさ。」などと、訳のわからぬことを言っていると思っていましたが、ストローを伸ばせばロブの香りが口に飛び込んできたのです。「練乳、大注入!!」じゃなくて、「ロブ、大注入!!」に驚きながら、甘すぎた自分に反省しながら、途中で飲むのを断念したのでした。

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洲原ひまわりの里へ

 梅雨明け後、急激な暑さで毎晩寝不足気味となっています。日中は冷房の効いた店舗にいる反動で、体温調整がスムーズに行えていないのかもしれませんが、かといって店舗の冷房を弱めては涼みに来られる方に申し訳なく、時々外気の温度を確かめるために外に出ては、温度計を見ながらエアコンの調整をしています。

 そんな定休日の月曜日。早朝にお店へ向かって焙煎機の煙突掃除を行い、午前中は母親を伴って内科医へ受診し、午後には眼科医で定期的に行っている視野検査と、車で建物の移動だけとなり、普段と変わらぬ日の当たらない生活となってしまうため、思い切って車を走らせ、美濃市まで向かいました。

 目的地は美濃市下河和にある、洲原地域ふれあいセンター横の「洲原ひまわりの里」です。1,600平方m畑に、2万本のひまわりが植えられ、ひまわり畑の中にオブジェの郵便ポストが設置されたり、畑の端に設けられたジャンプ台の上で、箒にまたがってジャンプをした瞬間で激写する魔女コンテストで知られています。

 大垣市のひまわり畑の20万本、羽島市いちのえだ田園フラワーフェスタの16万本、高山久々野のアルコピアひまわり園20の万本、下呂市金山町のひまわり畑の5万本と比べれば少ないものの、清流長良川の流れを見ながら着いた「洲原ひまわりの里」は、観光客も少なく、夏の日差しを存分に感じる一時を過ごすことができました。 

 暑い夏も、いずれは涼しい秋へと変わっていきます。この暑い夏を楽しむくらいの気持ちで、生活していきたいものです。出来れば、この時期に少しでも減量したいものですね。(言ってみるだけ) 

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夏のお勉強

 暑過ぎてお客様の来店が減った時間帯、「子ども珈琲電話相談」の影響を受け、「夏休みの宿題」よろしく、「夏のお勉強」をしてみようと、改めて『コーヒー豆を追いかけて 地球が抱える問題が熱帯林で見えてくる』(著:原田 一宏)を読んでみました。

 この本は「くもん出版」の書籍であり、いわゆる「くもん いくもん!」でお馴染みの、株式会社公文教育研究会の出版部として設立されたものですから、当然のごとく児童書なのです。ただ、対象年齢は10歳からとなっていますので、プラス50歳の私でも充分学習本としての役割を担ってくれます。

 出版社の紹介文では、「コーヒー豆は、熱帯や亜熱帯で広く栽培されています。そして世界じゅうに輸出され、コーヒーとして飲まれたり、スイーツなどに使われたりしています。だからコーヒー豆のことを調べると、地球上のさまざまな問題が見えてきます。コーヒー豆の栽培で、熱帯林の木がたくさん切られていないか?森がへり、野生動物と人間の衝突が起きていないか?地球温暖化に影響をおよぼしていないか?コーヒー豆を栽培する農民たちの暮らしはどんなふうか?世界じゅうで飲まれているから、農民の生活は安定している?熱帯林に何度も足を運び、森のようすや、そこに生きる人たちの暮らしを研究してきた著者が、調査や研究のようすを紹介しながらわかりやすく話します。」とあるように、若干掘り下げた内容となっているため、10歳の児童には難しいのかもしれません。

 そうとは言っても、児童書ですから易しい言葉使いで丁寧に説明されていますので、一般的な珈琲本に見られるような、難しい事をさらりと流したり、もったいぶって語られるようなことがないため、カップのコーヒーしか見ていない人には、是非読んでもらいたい本でもあります。

 こうしたコーヒー産地に関連する本を読むと、コーヒーの生産に従事する人々の生活が豊かになれば、いずれはコーヒーは作られなくなるのではないかと危惧してしまいます。地元の窯業ですら、「子供には継がせたくない。」とか、「都会から呼び寄せて継がせるんじゃなかった。」という話を聞くと、小規模なコーヒー農家にとっては豊かさを享受することはできないように思えてなりません。

 大規模なコーヒー農園であっても、貧しい移民や出稼ぎ労働者に収穫作業を頼る現状を見ると、中国やベトナムからの研修生という名の出稼ぎ労働者に頼る地場産業と、産業は違えども課題に類似点が多いように感じます。 

 豊かさとは何なのか?将来のコーヒーはどうなっていくのか?一冊の児童書を読みながら、いい大人になった私の「夏のお勉強」はまだまだ続きそうです。 

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