■ 2019年12月 ブログ

華やぐ

 年末を迎え、普段は90歳の母親と夫婦三人の生活ですが、長女と次女夫婦が帰省したことから、笑い声や会話が増えて華やいだ時間となりました。

 長女は30日に帰ったものの、玄関と床の間に正月用の生花をいけてくれました。そして、次女夫婦は玄関に正月飾りのリースを作り、自宅とお店用の門松も用意してくれ、正月気分を盛り上げてくれます。

 そんな華やぐ空間を用意してくれた娘たちに感謝しながら、弱くて飲めないお酒を飲みながら大晦日を過ごすとしましょうか?いつものように、酔っ払って寝るだけですから、テレビの特番は後日の再放送で楽しみます。

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珈琲屋へ道半ば

 今年最後の営業日を迎えました。この一年間も多くのお客様が来店され、楽しい出会いに恵まれました。カウンターに座られた方やコーヒー豆を買われる方に声をかけながら、自分の知らない分野を知ることができ、気付きや発見をしながら様々な事柄に興味を持って生活できることに感謝するばかりです。35年余りのサラリーマン生活から全く異なる分野で新たな挑戦を始めましたが、一歩踏み出して本当に良かったと思っています。 

 そんな充実した生活が今後も継続してできるように、今年一年間の珈琲屋としての実績を数字にしてみることにします。数字は嘘をつかないので、客観的に自分自身を振り返るには大いに参考になります。もちろん、数字に表せない大切なものもありますが、自分に忖度しない良い意味でのツールです。 

 20155月に開業してから5年弱となる期間を、「コーヒー豆の月別販売推移」にして見てみると、4月と9月に前年割れになっているものの、翌月には減少分を取り戻しており、全体的に僅かながらも年々上昇傾向にあります。夏場のコーヒー豆減少時期も減少幅は抑えられており、少しばかり安定してきました。 

 お店全体の販売実績に占める割合を項目別にしたグラフを見ると、2018年にカップで提供するコーヒーが54%、コーヒー豆30%が、2019年にはコーヒー49%、コーヒー豆35%なり、それ以外の項目は横ばいになっています。全体の販売額は微増ですから、カップのコーヒーからコーヒー豆に少しだけ移行したかっこうですが、コーヒー豆を購入されるお客様は従来のリピーターから、新たにリピーターになった方、既存の利用者が来店されなくなったりと、内容な大きく変化しています。 

 セカンドライフとしてゆっくり長く続けたいという思いから、多くの売り上げを望むのではなく、リピーターに支えられながら、体力的・精神的に長く続けるために珈琲屋としてスタートしました。しかし、コーヒー豆のウエートは30%から35%になっただけであり、50%にするのが当面の目標ですから、珈琲屋へ道半ばといったところです。こんな状態で「珈琲屋です!」というのは大変恥ずかしいばかりですが、自分へ叱咤激励する意味でも「珈琲屋」だという意識を持って、精進したいと思っています。 

 これからも、珈琲屋を目指す「まめ蔵」をどうぞよろしくお願いいします。 

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コーヒー豆の人気順を見ながら

 このところ、朝・昼・夕と焙煎を繰り返す日々が続いています。大量に焙煎せず、少量焙煎を行って、無くなると焙煎するという効率の悪い内容ですが、自分には合っていると思っているのです。そんな時、年末年始にむけ、お客様のコーヒー豆購買傾向に少し変化が見られることに気付きます。それは、いつもに増して多目に買われるだけでなく、購入するコーヒー豆の種類にも違いがでてきました。 

 8月から12月までのコーヒー豆販売順位を種類別に見ると、数量限定のコスタリカ・ブラックハニーなど白枠の商品とともに、ケニア・マサイAAが上位となっていましたが、それまで下位のコロンビア・マクダレナSUPが徐々に順位をあげ、今月はダントツに1位となりました。11月と12月はコロンビア・マクダレナSUP、まめ蔵ブレンド、グアテマラ・アンティグアSHBが主要な販売商品となり、それまで人気だったケニア・マサイAAの販売減少が続いています。 

 気温の低下とともに趣向が変わることもありますが、今回はそうとばかり言えないように感じています。なぜなら、9月にコーヒー豆の価格改定をおこない、ケニアを含む一部の商品を値上げしたことから、当店で最高値となっているケニア、エチオピア、インドネシアの各商品の販売減少傾向は明らかで、その代わりに値ごろ感のあるコーヒー豆が売れているからです。 

 年明けからの販売状況も気にしながら、お客様の動向を注視していこうと思っていますが、それ以上に魅力的なコーヒー豆を提供できるようにしたいものです。特徴のあるコーヒーからオーソドックになコーヒーに移っただけなのか、来年の景気を先取りするような動きなのか、それとも単なる思い違いなのか、そんなことを焙煎しながら考えてみるのです。

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年の瀬を感じながら

 今朝は、毎年依頼されているNPO法人地域活動支援センター「土岐やまびこ作業所」のケーキを手渡し、やっと年の瀬がやってきた気分になりました。店内で提供しているケーキは持ち帰り用を作る程の量ができないため、「持ち帰りたい!」と言われても全てお断りしているのですが、代表者の方がサラリーマン時代から面識があることから、開業当時から依頼を受けて作っているのです。作業所に通われている方々に、年末最後のプレゼントとして渡されるケーキを作ることが恒例になりました。 

 そんな役目を無事に済ませ、一年を振り返る意味でも、コーヒー豆の販売状況に最新データを入力します。一年を通じた各月ごとの販売状況は定期的にグラフにして公表しているものの、過去5年間の推移についてはグラフ化していないことに気付き、簡単な折れ線グラフにしてみました。 

 20155月に開業しているため、2年目の上昇率は高くなっていますが、3年目・4年目と緩やかに増え、5年目の今年は僅かに増え方が鈍くなりました。とはいえ、2年目の1.6倍に増えたわけですから、今後も少しでも増えるよう努力しなければと思っています。 

 ただし、これからも珈琲屋として続けていくための経営環境は厳しくなることが予想され、思うようにはいかないかもしれませんが、それでも、「生まめを まめに焙煎し 楽しく まめに暮らす」というセカンドライフの目標だけはブレずに、ポジティブに続けたいと考えています。そのポジティブさが数字に左右されない強みですから。

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くろもじちゃ?

 「マスター。くろもじちゃ作ったからアゲル!」、「くろもじちゃ?」一瞬なんのこっちゃと戸惑いながら、続けてお客様の話を聞いていると、お茶席の際に和菓子についてくる爪楊枝の黒文字を煮出して作るお茶でした。「あんな物を煮出して飲むのか?」と驚いていると、意外にも「クロモジ茶」として広く販売されていることを知りました。 

黒文字はクスノキ科の落葉低木で、和名である「黒文字」の名は、若枝の表面に黒い藻類が付着し、黄緑色の地色に黒いまだら模様の斑紋が入るため、これを文字に見立てたものといわれています。その枝を削って爪楊枝にするので、爪楊枝を黒文字ともいうのです。 

 早速、お客様に教えてもらったとおりに水洗いしてから、鍋で10分ほど煮立たせると、鼻に訴えかける強い香りがでます。それをティーポットに移して枝を濾して紙コップに注ぐと、薄ピンクのハーブっぽい色合いで、飲んでみるとフレッシュな香りが広がります。ちょうど、その場にいた女性のグループの方々にお裾分けしました。 

 このクロモジ茶、様々な効能があるとかで、クロモジ茶の販売サイトには・冷え性予防・便秘解消・高血圧改善・急性胃腸炎改善・下痢改善・肝機能改善・ガン予防・便秘解消・健胃作用・鎮咳作用・鎮静作用といった多くの効能が書かれていました。でも、さすがにガン予防なんて文字を目にすると眉唾っぽく感じます。 

 けれど、古くから利用されているところをみると、なにかしらの効用はあるのかもしれません。今日は珍しい飲み物を体験することができました。 

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再利用

 12月4日、自動車大手のフォードとファストフード大手のマクドナルドが、コーヒー豆のかす(チャフ)を使用して、フォードの車体の一部に利用するプロジェクトを共同で進めると発表しました。その内容は、マクドナルドが提供しているコーヒー豆の焙煎過程で出たチャフ(コーヒーの周りにある薄皮でシルバースキンともいう)を、低酸素の空間でプラスチックと一緒に高熱処理すると、既存のものよりも20%軽い素材を作ることができ、使うエネルギーは25%削減できるといいます。それをヘッドランプハウジングや、ボンネット下の部品として使用するというものです。約20%の軽量化とともに、部品の成形プロセスに必要なエネルギーも最大25%削減されるんだとか。 

 12月6日には、近畿大学が開発した植物由来の廃棄物を原料とする固形燃料「バイオコークス」に、コーヒー抽出後に出るコーヒー豆かすを原料とする共同開発を、コーヒーの輸入・販売を手掛ける石光商事()ともに産学連携で行うと発表しました。さらに、そのバイオコークスを燃料として焙煎したコーヒーのドリップバックを開発し、SDGs関連イベントでサンプル配布すると発表したようです。 

 コーヒー豆の再利用という点では、今年1月に紹介した「Kaffeeform CAPPUCCINO CUP&SAUCER カフェフォルム カプチーノ カップ&ソーサー」がありました。カフェなどで毎日大量にコーヒー抽出後の粉が捨てられているのを見て、ドイツの若手インダストリアルデザイナーが手がけたもので、使用済みのコーヒーの粉、生分解性ポリマー、粉砕された木材などを混ぜ合わせペレット状にしたものを、プレッシャーでカップの形に成形して作られているものでした。1個につき6070g(エスプレッソ約10杯分)の粉が使われている計算になります。 

 もうひとつは、10月に行ったUCC滋賀工場で、コーヒー抽出カスをバイオマス資源の燃料しているという話です。平成23年度に補助金の交付を受け、滋賀工場内にバイオマス熱利用設備を導入し、年間約1万トンのコーヒー抽出カスをバイオマス資源の燃料として活用することで、工場内で使用する蒸気として回収しています。ただ、バイオマス燃料によるスチームだけでは少ないため、補完的な利用がされており、缶コーヒー殺菌のために使用されたり、コーヒーの抽出時にも使用するそうです。こうした再利用により、それまで外部に処分を委託したり、肥料として業者に引き取ってもらうための、年間約1億5千万円の処分費を削減することができるようになったそうです。ただし、最後に残る灰は産業廃棄物となるようですが。 

 他にも、フィンランドではコーヒー豆を原料にした機能性抜群のスニーカー「Rens」、ウクライナではコーヒーの抽出カスからできた生分解可能なサングラス、イギリスではコーヒーかすを燃料にして走るロンドンバスなど、通常は廃棄されるコーヒー豆の皮や、使用後のコーヒーのカスを活用する試みが、世界中で行われているようです。とりあえず「まめ蔵」では、ハンドピックして廃棄する豆を芳香・消臭袋として、お客様へ無料で提供することで再利用をしているくらいでしょうか。 

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需要と供給

  「ザ・ヒューマン」の「コーヒーで世界を変える 川島良彰」(NHK BS1 2019年12月17日再放送)を観ました。普段は9時以降にはテレビを観ることが少ないので、ビデオ予約をしたものの、結局、そのまま観てしまいました。

 「世界を旅して“幻のコーヒー”を発掘するコーヒーハンター・川島良彰。絶滅したとされる最高品種ティピカの原木を探してキューバへ。地元の期待に応え世紀の発見なるか?」こんな内容で、これまで川島氏がレユニオン島のブルボン・ポワントゥやルワンダのコーヒー等に携わったことを紹介し、キューバでティピカの原木を探す様子が映像で流されます。 

川島氏の話はこれまで何度も聞いていたことがありましたが、キューバでの取り組みは初めてであったこともあって興味深く観ていました。とはいえ、テレビの演出として、「見つかるのか?見つからないのか?見つかるのか?見つからないのか?見つからんのかい!」といったじれったさも感じつつ、「最後はやっぱり見つかるのね!」という手法に、まんまと引っ掛って最後までテレビの前に居ることになりました。 

「コーヒーで世界を変える」、この川島氏の言葉は心に響くものの、コーヒー生豆を高く買って、消費者へ高く売るためには、需要と供給のバランスがあってのことです。付加価値のあるコーヒー豆が必ずしも高く売れる時代は長くは続かないように思います。それは、日本経済が今のままの状態で今後も続くとは考えにくいこと、それに、高付加価値商品が乱立して、本当の価値が見えにくくなっているからです。エセ商品に騙される消費者にも問題がありますが、企業側にも言葉遊びが過ぎるように感じます。 

この田舎町では、今朝、お客様から頂いた段ボール一杯の柚子が、「ご自由にどうぞ」との合図で、女性グループによってあっという間に無くなる光景を見るにつけ、需要と供給のバランスというのは、理想どうりにはいかないものだと考えさせてくれます。 

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恒例の竹の子クリスマス会

 昨晩は恒例になっている、手話サークル竹の子のクリスマス会でした。聴覚障害者6人を含む三十数名が集まり、会食やゲームなどをして楽しんだのです。少し残念なのが、名古屋ドームで嵐のコンサートが開催されたことから、何人かが運よくチケットゲットしたこともあって、嵐のコンサートに行ってしまい、例年と比べて参加者が減ったことでしょうか。活動休止や内紛などのゴシップがありながら、やはり国民的アイドルグループには勝てなかったのでした。 

 私の担当は、会食事のケーキとコーヒーの提供です。さすがにケーキは一度に準備できないので、数日にわけで作り置きし、コーヒーはお店を閉めてから淹れはじめます。何とか開始時間に間に合わせ、普段顔を会わせない昼の部の方や聴覚障害者と手話での会話が弾みます。 

 そして、幾つかのゲーム以上に楽しいのが「竹の子劇団」の手話劇です。今年の演目は「水戸黄門」で、裏金問題の風刺を効かせた越後屋と某政治家らしき悪代官が登場し、格さん助さん率いる水戸黄門一向に退治されるという、お決まりのストーリーを楽しく演じてくれました。そして、この動画YouTubeにアップロードするのが、私に残された最後の仕事です。 

 いつもはとっくに寝ている時間の午後11時に動画を編集し、アップロードしながらの時間帯に、仕事の都合でバラバラの時間帯に集まって練習し、全員そろっての練習は前日の夜だけだったこと、アイデアいっぱいの衣装や小道具作りのため、リサイクルショップに出かけて古着を手直ししたり、「お銀も入浴シーンで登場させなきゃ!」と、急遽フラフープに段ボールを巻き付けて風呂桶を作ってみたりと、みんなが頑張っていた色々なことを思い出しました。 

 やはり、サークル全員が何かの役割意識をもっているからこそ、「誰かがやるだろう?」というお客様的な人が居ないので、居心地が良くて長く続けてこられたのでしょうね。 

 とにもかくにも、年末の大きな行事が一つ済んで、「あ~今年も終わるんだ。」と思ってみたりします。でも、お店の繁忙はこれからが本番です。がんばって毎日焙煎しましょうか! 

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知らなかったムーミン

 今年は日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念することから、1月に岐阜県現代陶芸美術館に行われた、「フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア」へ妻と共に出かけました。今回は、その記念イベントの一つで、名古屋市の松坂屋美術館で行われている、「ムーミン展 The Art of Moomin」(127日~119日)を一人で覗いてきたのでした。 

 「ムーミン」を生み出したのはフィンランドを代表する芸術家、トーべ・ヤンソンです。愛らしい姿とユーモアあふれる言葉で世界中のファンを魅了し、小説、絵本、新聞連載コミックなど、様々なかたちで親しまれていますが、私としてはアニメでしか観ておらず、「ね~えムーミン!こっち向いて!」といった、のんびりゆったりした雰囲気で独特の世界観くらいしか印象はありませんでした。当時は幼い子供であっても、一応男の子というわけですから、熱心に観た記憶はないのです。 

 ですから、「ムーミン」もカバの妖精くらいに思っていました。しかし、ムーミン展を観て、「ムーミントロール」という名前を初めて知ったのです。トロールといえば、妖精というより妖怪っぽいイメージを抱いていたこともあり、初期のムーミンのイラストが自分の知るムーミンとは違っていたため、よけいに違和感を抱きました。 

『ムーミン、海へいく』(筑摩書房/冨原眞弓訳) 収録の「ジャングルになったムーミン谷」で、ムーミン一家が動物園に閉じ込められる衝撃のエピソードが登場します。ムーミンたちは必死で「自分たちはカバじゃない、ムーミンだ!」と主張しますが、職員は聞く耳持ちません。結局、ミイの連れてきた動物学者が「ムーミン族はカバとは無縁」と証明してくれて、無事にムーミンハウスへと戻ることができたという話があります。 

ムーミン展では、フィンランドにあるムーミン美術館から、小説の原画やスケッチのほか、トーべ・ヤンソンがムーミン小説を手がける前に描いていたスウェーデン語系の政治風刺雑誌『GARM』の挿絵などが展示されています。また、「まぼろしのムーミン人形」とも言われるアトリエ・ファウニのムーミンフィギュアやイースターカード、アドベントカレンダーの原画、銀行や新聞の広告など興味を引くものもありました。ただ、トーベが浮世絵に影響されたであろうという趣向で、浮世絵と原画を並べて展示するのはチョット無理があるように思えました。 

 自分が観たアニメの印象と異なることから、1945年に刊行された『小さなトロールと大きな洪水』(講談社 富原眞弓訳)を読んでみると、「太陽が見えない」「もう二度と見えない」「寒い」といった不安な様子がストーリー全体につづいています。この処女作は1945年に刊行されたものの、作者が作品の構想を思い立ったのは1939年のことだといいます。この年はナチス・ドイツがポーランド侵攻して第二次世界大戦がはじまり、1939年から1940年には、ソ連との冬戦争でフィンランド国土の10分の1を失っています。そうした背景を知ることで、ムーミンへの見方も変わってきます。 

 実際、アニメと原作にはいくつかの違いもあります。アニメではムーミンたちは昔から谷に住み、長く親しい関係を築いているような印象を受けますが、原作では谷の外の土地から移り住んできており、彼らの関係はまだ出会って日の浅い他人同士でもあるのです。さらに、ムーミン谷には危険に満ちた環境であることです。嵐や洪水などの自然災害に見舞われたムーミンたちは、大切なものを失ったり、時には家も壊されたりと、大きな被害を何度も受けています。それに、なんといってもモノクロの姿からパステル調の姿になったことです。 

 初めて読んだ童話にアニメとの印象との違いに驚きながら、それまで知らなかったムーミンの世界を楽しんだ一日でした。

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甘くない蜂蜜の話

 最近、お店に来店される方の中に、養蜂をされている方が増えてきました。もちろん、生業養蜂家もいれば趣味養蜂家もいて、セイヨウミツバチを飼う人もいればニホンミツバチの人もいます。そして、それぞれの拘りもあってセイヨウミツバチの良さ、ニホンミツバチの良さを熱弁されるのです。 

 毎日ヨーグルトに蜂蜜を入れて食べている私ですが、正直、何がどう違うのか?養蜂の仕組みは少し知っている程度で、詳しい内容までは知る由もありませんでした。ですが、それぞれの話を聞いているうちに、「こっちの、み~つは、あ~まいぞ♪」ってな主張だけではないように思えてきたので、少し調べてみたのです。 

 養蜂を始める人が増えてきたのは事実のようで、平成2910月の農林水産省生産畜産部資料を見ると、昭和60年に9,499戸あった養蜂家が、安い外国産蜂蜜の増加と養蜂家の高齢化と共に減少し、平成17年には4,790戸にまで少なくなります。ところが、「ハチミツ〇〇〇」という飲料の流行で徐々に増え、その後の自然志向ブームと相まって国産蜂蜜に注目が集まり、平成29年には9,325戸まで増えていきます。 

平成18年からは始まった「銀座ミツバチプロジェクト」食に関するシンポジウムをきっかけに、銀座三丁目のビルの屋上を舞台に始まったこともあって、都心部では個人の養蜂が 自然志向の高まりとともに、趣味として養蜂がブームの後押しとなっていきます。今では、初心者でも始められるマニュアル本や基本キット(20万円程度)も存在するなど、私が知らなかっただけで、世間では生業養蜂家や趣味養蜂家が増えていたのです。 

 そうした養蜂家が増えて蜂蜜の生産量が増えたといっても、約95%が輸入に頼っているのが現状であり、中国73%、アルゼンチン9%、カナダ6%)ハンガリー2%など(出展:財務省「貿易統計」、畜産振興課調べ)、の国々の蜂蜜を食べているようです。だからこそ、国産蜂蜜への人気も高まったことから様々な問題も起きているのです。 

 その一つに、蜂蜜の偽装があります。海外産の安い蜂蜜を日本で飼育しているミツバチに与え、国産蜂蜜に変換したりするのは序の口で、砂糖水・異性化液糖をミツバチに与えて水増しするものです。そもそも蜂蜜の主成分は、ブドウ糖と果糖です。それに各種のミツバチ由来の酵素・植物由来の花粉・ビタミン・ミネラル・その他不純物が混ざっています。ミツバチが花から採ってきた花蜜(ショ糖が主成分)は、ミツバチの酵素によって蜂蜜(ブドウ糖・果糖)に変換されます。異性化液糖とは、ブドウ糖・果糖混合溶液のことであり、こうしたものは蜂蜜とはいえません。 

 また、「液体の金」と呼ばれる、ニュージーランド産の蜂蜜「マヌカハニー」の食品偽装問題もありました。マヌカハニーはニュージーランド原産のマヌカの木の花から採れる蜂蜜で、高い抗菌活性力を持つことから健康食品として注目を集めました。外傷ややけどの治癒や消化促進、美肌効果などもあるといわれ、人気はうなぎ上りとなったことから、生産量以上に国内で流通したという、まるで、過去のブルーマウンテン・コーヒーと同じ状況です。 

かつては、加熱処理をほどこして濃度を高めたり、人工甘味料を混ぜ込んで水増しした物まであり、「中身はほとんど水あめ。蜂蜜は風味を出すためだけ。」などと、うそぶく業者もいたそうです。 

 そうした事が過去のことだと思えば、先日ニホンミツバチを飼育している方から、「B級品でもいいからニホンミツバチの蜂蜜を買いたい。」という業者からの電話があったとのこと。どうやら輸入品とブレンドして「希少なニホンミツバチの蜂蜜」として販売するようです。これも、コーヒー業界に似たような内容があったりして。 

 もう一つの問題は、飼育戸数は増加傾向にある反面、一方で蜜源植物の植栽面積は減少し続けているため、蜂場の確保に関するトラブルが急増しています。日本で蜜源となる植物となるのは、草本ならレンゲ、クローバー、ナタネ、ソバ、イタドリなど、樹木ならニセアカシア、サクラ、ボダイジュ、トチ、ソヨゴ、ユリノキ、そして果樹のミカンにリンゴ、クリなど。さらに野菜や果物など数々の農作物を加えると非常に幅広くあります。  

しかし、農業が衰退して休耕と開発などで農地が減っていき、大きな蜜源であるレンゲやクローバーの栽培が減ってしまいました。とくにレンゲの花を外来害虫が食い荒らす問題も起きています。また、野菜や果樹も作付けの転換などでいきなり栽培が打ち切られることもあり、品種改良によって蜜や花粉の量が減らされた果樹や園芸品種が栽培されることも影響しているようです。 

 そうした養蜂を取り巻く環境が変化し、趣味養蜂家の増加や、蜜源の減少、養蜂業者と趣味養蜂家との間の蜂場問題等でのトラブル増加などが起き、昭和30年に養蜂振興法制定以来はじめて、平成24年に議員立法により養蜂振興法が改正され、平成2511日から施行されました。これまで、生業養蜂家に課されていた養蜂の届出義務を趣味養蜂家までに広げ、蜂群配置の適正等を図るために、都道府県が蜜源植物の保護及び増殖に関する施策等が講じられるようになりました。 

 ただし、趣味で蜜蜂を飼い始める人が増えている状況下では、飼育届の提出など養蜂振興法等関係法令の遵守について周知徹底されていない課題も残しており、養蜂家どうしのトラブルはあるようです。沖縄県では独自の養蜂場マッピングシステムを確立して、関係者がパソコンでリアルタイムに蜂場の位置を確認できるそうですから、地域差があるかもしれません。 

 知れば知るほど甘くない話があり、何を信じて蜂蜜を食べればいいのかとカウンターに座った養蜂家に尋ねたら、「相手の顔を見て買いなさい!」とのこと。確かに、珈琲屋選びにも通じる話だった。 

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朝、紅茶を飲む

 今朝は、お店に来てから紅茶を飲むことにしました。前日、珈琲狂が来店されて焙煎したてのコーヒー豆をいただいたのですが、香りを嗅いだだけで、もう一晩待ってみることにし、会話の中で取り上げたインフルエンザ予防を実践してみたのです。 

紅茶に含まれるポリフェノールの中でも特に、紅茶の赤い色素成分であるテアフラビンには、インフルエンザウイルスが細胞にくっつき、インフルエンザに感染するのを防ぐ作用があるとして注目されているそうです。 

日本紅茶協会のホームページでも、国立感染症研究所協力研究員で獣医師・医学博士の中山幹男氏の話として、インフルエンザウイルスに対する紅茶の抗ウイルス作用について説明されており、どの程度の効果が期待できるか不明ではあるものの、なんでもやってみようというわけです。 

 今年はA型のインフルエンザが流行しているようで、ウイルスの感染から数日で発症し、38℃を超えるほどの高熱に伴い、頭痛、筋肉痛、関節痛といった全身の痛み、咳、鼻水、吐き気といった風邪に似た症状が現れるようです。町内の小学校では既に学級閉鎖になっていると聞きます。 

 インフルエンザの予防には紅茶の他にも緑茶の飲用が知られていますが、コーヒーに蜂蜜を入れた「蜂蜜コーヒー」も良いそうです。風邪やインフルエンザのウイルスがのどから気道に入ってしまうと、異物を吐き出そうとセキが出ますが、セキが続いて辛いときは、コーヒーに蜂蜜入れたものを飲むと楽になるとか。コーヒーに含まれるカフェインには気管支拡張作用や抗炎症作用がある他、はちみつにも抗炎症作用や抗酸化作用があり、セキ止め薬よりも効果があるという研究論文もあるんだとか。 

 ただ、インフルエンザを発症してしまった後では、コーヒーなどカフェインを含む飲料は、水分を体外に排出する働きがあるため、脱水症状を悪化させる可能性があるので注意が必要です。 

 とはいうものの、私自身身を持って感じたことは、毎日、お茶やコーヒーを飲んでもインフルエンザには発症するし、その時は、医師から処方された薬を飲んで体を休めるのですから、この時期は人混みを避けて生活することが一番かもしれません。(現実には無理だけど)

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イチョウ並木

 今年は、春に稲沢市祖父江町の田島珈琲へ訪問したこともあって、秋には祖父江町内に1万本以上のイチョウの木があることから行われる、「そぶえイチョウ黄葉まつり」に行こうと決めていました。しかし、黄葉まつりは12月1日に終わってしまい、つくづく定休日を月曜日にしたことを悔やんだのです。でも、「それなら人混みもすくないからラッキーかも?」と気を取り直したのですが、またしても月曜日は朝から強い雨風と天候に阻まれ、やはり縁がなかったのだと諦めたのでした。 

 そんな訳で、午前中はお店に篭って在庫のなくなったリンゴケーキを焼き、翌日のために数種類の焙煎を行っていると、午後からは雨も小降りになってくるではないですか。そうなると、やはりイチョウ並木が見たいとの気持ちが再び芽生え、「祖父江のイチョウは来年にのこして、各務原に行ってみるか!」と車を走らせます。 

 岐阜県各務原市は、韓国ドラマ「冬のソナタ」のロケ地・韓国春川市との姉妹都市提携をしていることから、提携一周年を記念して、ロケ地の並木道を市民の憩いの場である「学びの森」に再現し、「冬ソナストリート」と呼ばれている場所があります。 

 イチョウが黄色く染まるのは、11月中旬から下旬で、約300mのイチョウ並木の紅葉は、まさに冬のソナタの一場面のようです。のはずが、残念ながら時は既に遅し、雨風でイチョウの葉は多くが落ちてしまい、黄色の絨毯といったところでしょうか。 

 とりあえずイチョウ並木を見て満足し、一息入れようと珈琲工房ひぐち桜町本店に行き、スフレチーズケーキとコーヒーを飲みます。お腹も心も暖かくなってくると、「冬ソナのペ・ヨンジュンってQグレーダーの資格を取ってたんだよな。」、「韓国って脱サラ組のカフェ開業がメチャクチャ多いんだっけ。財閥企業に就職できないと安月給と残業でやってられないもんな。」なんて思いながら、結局、イチョウ並木もコーヒーに繋がっちゃう私です。

 

 

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熟すのを待つ

 日々の出来事や感じたことなどを日記のように書いてきたブログですが、この一週間は記録することがままならない状態でした。仲間との還暦旅行もあって、定休日を含む三日間のブランクは、意外にも疲れと繁忙で目の前のことだけに集中していた感じです。ありがたいことに、三日間休んでも忘れ去れれることもなく、ちゃんとコーヒー豆を買いにこられたこともあり、ケーキやクッキーづくりをしながらの焙煎の連続となりました。 

 かといって、色々な出会いや興味を引く話題も毎日あるので、その場で書き込もうと思うのですが、メモする程度に終わってしまいました。「へ~そうなんだ!」、「なるほどね。」、「お久しぶり!」といった会話について、もう少し時間をかけて自分なりに調べたり考えたりしたいものの、そうした内容も結局は自分の中で熟していないということでしょうか。 

 妻がベランダに干していた渋柿が、一ヶ月たって丁度良い干し柿になったように、時には待ってみることも必要だと、甘い干し柿を頬張りながら思うのでした。(今回の干し柿は上出来!) 

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