■ 2018年2月 ブログ

富士珈機 東京支店へ

 (株)富士珈機 東京支店で開業者向けのカッピングセミナーが行われるため、初めて乗る路線にビビリながら会場へ向かいます。大阪の本社へは毎月のように通っていたのですが、東京となると地理も不案内、事前にGoogleearthで駅周辺を確認し、会場となる東京支店までのルートをストリートビューで見たものの、到着するまで不安な気持ちで歩きます。(本当に田舎者です)
 セミナーの内容は、コーヒー生豆卸小売業を主としている、ユーエスフーズ株式会社のQグレーダーの出利葉鈴代さんを講師に、コーヒー産地情報の説明を受けたあと、コーヒー生豆の基礎知識、欠点豆に関する話、メインストリームとプレミアム品を比較したカッピング、精選方法違いのコーヒーを比較したカッピングを行いました。
 また、ブレンドの作り方も体験しながら参加者と意見交換を行うのですが、開業者向けのセミナーというよりは、これから開業する人に合った内容だと思いました。自分自身も開業する前に色々な事を経験しましたが、なんだか初心に帰った気持ちで受講した感じです。参加者のほとんどが具体的な開業準備をされている方や、既にカフェを営む方ばかりで、多くの刺激を受けることができました。

 こうして年に数回東京へコーヒーの勉強に出かけますが、何度行っても東京へ行くと迷子になりそうです。人はいっぱいだし、ビルばっかし、電車の乗り換えは迷路みたいだし、やっぱり田舎がイイワ!

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PUNTO PUNTA(プントプンタ)

 火曜日を臨時休業にして、焙煎機メーカー主催の「開業者向けカッピングセミナー」に参加するため、定休日の月曜日に余裕を持って前泊することにしました。そこで、かねてから探していたコロンビア料理を提供するお店punto punta(プントプンタ)に向かうため恵比寿駅にを降りたのです。
 さて、降りてはみたものの右も左も初めて見る景色で不安になり、あらかじめ印刷しておいた地図を頼りに歩き始めます。路地を何度もウロチョロしていると、何とか事前に調べたお店の看板が見え、ドアを開けると若い男性が迎え入れてくれます。

 この店の店主は、コロンビア人の母と日本人の父を持つハーフ方のアキラさんで、食材の多くをコロンビアから調達し、お母さんが手作りで仕込んだ料理が自慢の店です。内装も現地の物で装飾されて、まさに扉を開けた途端に別の世界に入り込んだような気分になります。さっそくカウンターに座って話していると、徐々に常連さんがカウンターに座り出し、中年男性4人で楽しい会話が始まりました。

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気分は小春日和

 曇りの日が続き、まだ肌寒い風が吹いていますが、気温は徐々に上昇しているようで、お店の花壇には昨年秋に植えたチューリップの芽が出始めました。考えてみれば2月も残り数日です。つい先日、お正月を迎えたと思ったら、もう3月になるのですから、時間の経つのは本当に早いものです。こんな感覚になるのも年齢のせいでしょうか。

 そんな日に、懐かしい人が娘さんを伴って来店してくれました。もう30数年前のこと、職場に新入社員として配属された人を後輩として仕事を教えていたのですが、何やら悩みながら仕事をしています。どうやら、本来やりたい職業がありながらも、迷いながら就職したらしいのです。色々と話す中で、その人は新しい仕事にチャレンジすることとなり、僅か数年間の同僚として過ごし、それ以降は年賀状で互いの近況を知る程度になっていました。

 そうした短い間の先輩後輩の関係にも関わらず、こうやって訪問してくれた事に気分は小春日和になります。チューリップといい、懐かしい再会といい、今日はいつも以上に良い気分! 

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〇〇した気分

 コーヒー豆は、世界70か国以上で生産されていると言われます。とはいっても、実際に口にすることができるコーヒー豆は、商業ルートで輸入されるものがほとんどで、全て飲み比べることができません。また、コーヒー豆に興味があると同時に、生産国での栽培の様子や景色も見てみたいと思いますが、残念ながら臨時休業ばかりすることも出来ず、金銭的にも問題がある訳で、現実には気軽に産地訪問などできないのです。

 そんな理由で、機会があるたびに産地セミナーに出かけては、普段飲むことのできないコーヒーを楽しんだり、その国へ旅した気分になっているのですが、そんな時、先月参加したペルーのCOEカッピングセミナーでの帰り道、運よくペルー料理を味わうことが出来たこともあって、その国の食事を楽しむことで、さらに旅した気分が倍増したのでした。

 「じゃあ、コーヒー産地の料理を食べて、産地巡りができるんじゃないか!」と思いつき、東海地方のレストランを探したものの、なかなか見つかりません。せめて、コーヒー生産量上位の国の料理は食べてみたいと思うのですが、何でもありそうな日本にあっても、意外に食に関しては限られているようです。

 でも、コロンビアって言えばコーヒーでは有名だし、なぜ日本在住のコロンビア人の方に聞いても「ないね~。」ってなるのか不思議でした。「よほど不味いのか?」「コロンビア食って無いのかな?」などと思いながら、外務省の資料を覗いてみると、意外にも日本に住む外国人の数はイメージとだいぶ違うようです。

 コロンビアに限って言えば、岐阜県に住む人数は8名というデータもあって、これじゃ~、コロンビア人のためのレストランは無いはずだと納得してしまいます。普段あたりまえのように提供しているコーヒーですが、日本在住の人数を気にしてみると、特別なコーヒーのような気分になるのが不思議です。

 今後も、コーヒー産地のレストラン探しをまめに行って、たまには短時間の世界旅行の気分を味わうことにしますか。いや既に、こうしたデータを調べた時間は、ほんの僅かでしたが、その国へ行って気分でしたね。

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交配種

 映画「人生フルーツ」を見た翌日は、フルーツを使ったロールケーキを作ろうと、福岡のイチゴ「あまおう」でロールケーキを作ってみました。普段は高くて買えない「あまおう」も、偶然にもお値打ちに買うことが出来たため、大きなイチゴの粒をそのまま入れました。

 この「あまおう」という名前は、福岡県の公募でによって選出された、「赤い」「丸い」「大きい」「うまい」の頭文字を合わせたもので、甘いイチゴの王様になるようにとの願いを込めて命名されたんだとか。また、この「あまおう」は福岡県農業総合試験場で育成され、2005年(平成17年)に登録されたイチゴで、品種名は「福岡S6号」、「あまおう」は登録商標だそうです。福岡県ではそれまで「とよのか」が主力品種でしたが、着色の質が安定しないなどの理由から、より高品質なイチゴを目指し開発された品種です。

 この品種に辿り着くまで数多くの交配が行われており、あまおうの母親(子房親)である「久留米53号」は、「とよのか」×「てるのか」の掛け合わせで、父親(花粉親)の「92-46」は「久留米49号」×「さちのか」の交配種また「久留米49号」の掛け合わせは「とよのか」×「女峰」と、素人には訳が分からないほどの品種改良から誕生しているのです。

 コーヒーにおいても交配種は多く、イチゴのように人工交配によって誕生したパカラマ種(パカス種とマラゴジペ種の交配種)、カツアイ種(ムンドノーボ種とカツーラ種の交配種)や、自然交配によってみつかったムンドノーボ種(ブルボン種とスマトラ種の自然交配)などもあります。また、突然変異によって生まれたものもあり、マラゴジペ種やケント種が知られています。

 世に出るイチゴやコーヒー豆も、それまでの間に数多くの失敗品種もあったと思われます。美味しく飲めるコーヒーに出会えたのは、ちょっとした奇跡なのかもしれないと思いながら、自然の恵みをいただいています。

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人生フルーツ

 定休日の朝、いつものように少し焙煎を行った後、特に目的もなかったので、映画『人生フルーツ』を見に行ってきました。この『人生フルーツ』は、2016年3月に東海テレビで放送され、第42回放送文化基金賞番組部門最優秀賞受賞したドキュメンタリー番組を劇場版として再編集したものです。2017年1月2日に劇場公開されてから、映画専門誌「キネマ旬報」の2017年ベストテンの文化部門第1位となりました。そして、『人生フルーツ』の舞台である春日井市高蔵寺に最も近いミッドランドシネマ名古屋空港では、アンコール上映が現在も継続しているのです。
 『人生フルーツ』は愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの一角で暮らす津端夫婦を追ったドキュメンタリーです。90歳の夫・修一さんは建築家で、戦後の高蔵寺ニュータウンの設計に携わっていました。あることがきっかけで修一さんは雑木林の再生に関心を寄せ、40年前に300坪の土地を購入し、現在は妻の英子さんと二人で、時間をかけて作った雑木林に囲まれた30畳一間の平屋で暮らしています。87歳の妻・英子さんは自宅の敷地内の雑木林で野菜や果物を育て、採れた作物を使って美味しい食事を作り、夫と共に穏やかで自然に近い生活を送っています。
 ナレーションは樹木希林さんが担当していますが、ほんのわずか時間に限られ、二人の老夫婦の日常を淡々と描くだけのドキュメンタリーです。ただ、何気ない日々の中で、二人の妥協しない生活が見て取れます。安易な方、楽な方へと流されることが無く、丁寧に生きています。細かいところまで手を抜かず、自分にとって大切なことに関しては「まぁいいか、これで」では済まさない、人生の限られた時間を一つ一つ確かめるように、そして優しく生きています。その優しさが家の中や庭のあちらこちらに散りばめられており、見ているだけでホッコリとした気持ちになるのです。
 修一さんは「お金よりも人が大切」を信条に、関わった人たちに毎日10通近くの手紙を書くの日課です。手紙に添えられたイラストが味わい深く、自宅で育てている作物や雑木林の中の立て札に添えられたメッセージからも温かな気持ちが伝わってきます。私も絵手紙を時々書いていますが、とても毎日10通も書けません。また、英子さんも畑で採れた作物を丁寧に調理される様子を見ると、食べるという行為が命をつなぐ事であると実感させられます。
 「老後の行き方」というより、「人の生き方」として一つのモデルとなる映画ですが、人によっては、「修一さんは東大卒のエリート建築家で、若い頃からヨットが趣味、年金収入は今よりも断然多いし、家の裏山に雑木林、持ってるし。」などど、自分にないものを理由に言い訳をする人も多いのかもしれません。けれど、限られた人生だからこそ、いつも前を向きながらポジティブに生きる姿は、全ての人に受け入れられるのだろうと思います。

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エルサルバドルのコーヒー

 エルサルバドルのコーヒー生産量は38,636tで世界24位(2016年:FAO)です。1975年には世界3位を記録したこともあるようですが、内戦によって大きく順位が下がりました。今回はその内戦について知るため、映画を見たり本を読んだ訳ですが、コーヒーについては触れてきませんでした。それは、ホームページを作成する際に調べたこともあって、自分がサボっただけなので、以前調べてから新しい情報を見ていないことになるため、今回改めて調べる事にしたのです。

 エルサルバドルのコーヒーについて調べるに当たり、JICAのホームページから様々な取り組みを知ることになりました。内戦後の復興のために教育・保健医療・水資源・防災・ガバナンス・運輸交通・経済政策・民間セクター開発・農業/農村開発・自然環境保全・水産・都市開発・地域開発・環境管理と幅広い活動が行われており、内戦で失ったものを取り戻すと同時に、様々な格差を減らす努力がなされ、映画や本の影響もあってか何だか嬉しくなります。

 コーヒーについては、JICAエルサルバドル事務所インターンの金子智弘氏のレポートがあり、エルサルバドルのコーヒーが知名度やストーリー性に弱く、「美味しいコーヒーだけど。」と日本のロースターに言われように、日本への輸出量はまだまだ少ないのが実態で、そうした課題や、販路拡大に向けての取り組みが記載されています。

 また、エルサルバドルの生産地として新しいチャラテナンゴ(Chalatenango)地域の品質向上が近年目覚ましいので、今後、お店でエルサルバドルのコーヒーを扱いことになれば、注目していきたいと思ったしだいです。 

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エルサルバドルの内戦(2)

 映画を通じてエルサルバドルの内戦を見ましたが、終始暗い気持ちになってしまいます。幼い少年の顔と可愛い声を聞くたび、兵士となっていく様に心が傷んでしまうのです。そんな訳で、今回は休憩しながら読める書籍にしてみました。
 コーヒー生産国の多くが内戦を経験しています。いや、現在もなお続いているというのが正しいかもしれません。その内戦の現実を長年に渡って記録しているのが『ヘスースとフランシスコ』- エル・サルバドル内戦を生きぬいて-(著者:長倉洋海 出版:福音館書店)です。
 フォトジャーナリストと活躍している長倉洋海氏が、駆け出しの頃であるフリーランスになりたての頃に飛び込んだ場所、それが内戦真っただ中の中米エル・サルバドルでした。アメリカの支援を受けた政府とゲリラ側との戦いは、多くの国内難民を生みます。そんな人たちが暮らす難民キャンプで、著者は子供たちにカメラを向ける中で、ひとりの少女ヘスースに出会います。
 スペイン語で「キリスト」を意味する名を持つ少女は、1歳から難民キャンプで暮らしていました。その出会いをきっかけに数年おきにエル・サルバドルを訪問し、著者とヘスースとの20年に渡る交流を通して、内戦の犠牲になりながらも優しく、逞しく生きる人々の姿を描いています。

 漢字にルビを振ってあるので小学生高学年以上向けなのでしょうが、子供たちに理解してもらえるのだろうかと、よけいな心配をしながら読み進めます。20年間に渡る写真には悲しい物も含まれますが、ヘスースの笑顔に救われることもあって、まるで離れて住む親にでもなったようで、成長していく様が楽しみになる不思議な気分。

 著者が以前に写真を撮らせてもらった子供たちの消息をたずねる場面では、ビリヤード場で出会った美しい少年カルロスが、窃盗で刑務所に収監された後に亡くなり、食事をおごった物乞いの少年ラモスは、成長したのちも物乞いを続けていました。内戦の一番の犠牲者は、いつも弱い人たちという現実があり、そんな中にあっても、理不尽な環境の中で必死に生きようとしている姿も描かれています。
 映画『イノセント・ボイス 12歳の戦場』では内戦終結まで描かれていなかったため、ただ暗い気持ちのままでしたが、本書では内戦終結の人々の暮らしぶりも明らかになります。汚職や犯罪が絶えない中でも、戦争の無い生活を得たヘスースに著者が「幸せって何だと思う?」と尋ねます。それに対してヘスースは、「たとえ貧しくても、何か問題が起きたとき、家族で話し合って解決できることがすばらしい。家族や友だちのことで、祈らなければならないようなことが起きないことが幸せ。何も問題が起こらずに平穏な日々が続くのが、何よりも幸せだと思う。」と答えます。忘れないようにしたいものです。

 個人的には、先日、次女の0歳から20歳までの撮りためた写真の幾つかを、スキャナーでデータにしてフォトブックを作り、大切な記念日に渡したこともあり、ヘスースの写真と重なって涙腺が緩んだことでした。

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エルサルバドルの内戦(1)

 珈琲屋を開業する以前、コーヒーについて学んでいる時、ある方から「コーヒーの事を知るなら生産国の歴史も学びなさい。」と言われたこともあって、産地情報と同時に、その国の歴史や文化も知るように勤めています。今回は、お店ではコーヒー豆を取り扱っていないため、知ることもなかったエルサルバドルについて、『イノセント・ボイス 12歳の戦場』(2004年制作 メキシコ映画)という映画を通して、この国で起きた内戦のことについて理解を深めることにしました。
 なお、以前見た『ホテルルワンダ』も内戦を描いた真実に基づく映画でしたが、この映画もそう遠くない過去、エルサルバドルで起きた政府軍とゲリラとの内戦を、子どもの視点から描いた作品です。
 1980年、エルサルバドルは政府軍と、世界恐慌によって仕事をなくした多くの貧しい農民などで結成される反政府ゲリラとの激しい内戦下にありました。舞台は政府軍とゲリラの境界線にある小さな町クスカタンシンゴ。そこに住む11歳のチャバは母親と妹、弟と4人で暮らしています。
 家にも流れ弾がたくさん飛んでくる生活の中、家を出た父に代わって妹と弟をベッドの下で必死に守っています。しかし、12歳になると政府軍が強制徴兵にやってきて、学校の校庭で政府軍が先生にリストを渡し、名前を読み上げられた12歳の少年は政府軍に連れて行かれます。11歳のチャバの番もまもなくやってきます。
 チャバのような少年たちは政府軍か、反政府ゲリラか、道を選ばなくてはならず、友達と一緒にゲリラに志願しました。しかし、政府軍に捕まった彼らは河原の処刑場に連れて行かれ、友達が一人、二人殺され、次はチャバの番という時、ゲリラ達が反撃に出て一命を取り留め逃げ出すことができます。
 逃げる際に政府軍兵士の遺体からとった銃を手に取り、意を決して銃口を兵士に向けます。しかし、その兵士は政府軍に強制徴兵された友人のアントニーの姿でした。チャバは銃を捨てて逃げます。・・・・
 チャバに与えられた選択肢は少年兵になることしかありませんでした。愛するマリアを奪った政府軍は許せないし、ゲリラになれば政府軍に徴兵された友人と戦うことになります。かといって、政府軍になれば優しかった叔父さんの敵にもなります。そんな選択を小学生のような少年にさせてしまう内戦の現実を、ただ言葉もなく見ている自分がいます。
 映画の後半で、神父が「神がいるなら戦争は起こらないのではないかという人がいる。しかし、人々が神の法に従わないから戦争が起こるのだ。戦争は人々の心が生み出しているのだ」と村人達の前で話します。確かにそうかもしれませんが、なら神は見守るだけの存在であり、だから今なお紛争は絶えないのだと納得してみたり、何だか虚しく思えてきます。はたして、この映画を見ただけで、エルサルバドルの事を少しは理解したことになるんだろうか?

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優しい時間

 前日の『お茶の時間』の後は、時間繋がりでドラマ『優しい時間』を動画サイトで見ることにしました。午前中の焙煎時間には本を読むのも良いのですが、集中すると時間と温度を見忘れてしまうので、ナガラ的にはドラマを見ながらというか、聞きながらが都合が良いのです。
 「優しい時間」とは、2005年1月に放送された富良野を舞台にしたドラマで、倉本聰が「北の国から」以来15年ぶりに連続ドラマの脚本を手がけたことで話題になった作品です。テーマは温かい人と人の絆であり、父と子の絆の再生を様々な人間模様の中で描いていきながら、同時に本当の優しさとは何かを、主人公の心の雪解けとともに描いていきます。
 その中心となる舞台が主人公の拓郎(二宮和也)の父である、勇吉(寺尾聰)がオーナーを務める喫茶店「森の時計」で、徹底したリアリティーを追求するために、倉本氏自らデザインした店舗を作り、現在も新富良野プリンスホテルに隣接した場所で「珈琲 森の時計」として営業しています。
 ドラマの中では、カウンターに座った客へ「挽きますか?」と尋ね、手挽きのミルを渡して豆を挽いてもらい、挽いたコーヒー粉をネルで淹れます。ネルの淹れ方は酷いものでしたが、カウンターで客自らが挽くコーヒーの香りが伝わるようで、「こんな店がやってみたい」と何度も思ったものです。
 森の中に建つ大きなログハウスの店と店内に設置された暖炉の火、こんな夢みたいな店はできないものの、その10年後には「まめ蔵」を始めたわけで、何だか不思議な気分になります。妻を亡くして傷ついていることもなく、不良息子とは正反対の可愛い娘二人の親であり、父と子の絆の再生も必要のない現実なのですが、唯一、カウンターを造ったところが似ている点でしょうか。
 実際に店主となった今、共感できるのは最終回の息子の拓郎と再会するシーンで、「寂しくないですか?」との問いに答えた言葉です。『それがな、ここにいて色んな人と話をしていると、どういうか、ひどく優しい気持ちになれるんだ。人に上手く取り入ろうとか、見捨てようとか、そういうことは、ここにいると何もない。ただ純粋に生きていられるんだ。』この言葉通りに生きている自分に、「優しい時間」は大切なものを思い出させてくれます。
 そして、森の時計の店内に飾られた倉本氏自筆の額の言葉、「森の時計は ゆっくり時を刻む」とあるように、自分の店でもお客様にゆっくりコーヒーを飲んでもらいたいと思っています。
 それにしても、ドラマの中で平原綾香の『明日』がタイミングよく流れ、涙腺が緩みっぱなしでした。恥ずかしい。

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お茶の時間

 午後のティータイムとなる3時頃、岐阜県現代陶芸美術館ギャラリーⅡで開催されている、『お茶の時間』へ行ってみました。自宅から車で8分程の場所にありながらも、お店の定休日と休館日が重なっているため、随分遅れてしまった「お茶の時間」になりました。
 この催事は、岐阜県現代陶芸美術館が所蔵する茶器、ティーセット、コーヒーセットを中心に、お茶の時間に纏わるうつわを紹介するもので、展示室の前にはロトチェンコのデザインを復元したロシア・アヴァンギャルドのティーセットが招き入れてくれます。
 「ちょっと、お茶にしようか」ひと息つきたいとき、おしゃべりのお供に、いつの時代も人々はお茶の時間をもっていた。その時間の傍らに、ときには中心にあって欠かすことができないのがお茶の器だ。というの謳い文句にあるように、西洋の名窯が手掛けたコーヒーセットや茶碗などの作品が展示されている中、気になったのが川口淳氏による色絵近彩楽園文のコーヒーカップ、ドリーッパー、ピッチャーのセットでした。ポップなデザインと配色もさることながら、三穴のドリッパーは11個の点リブ構造で、どんな抽出になるか気になってしまいます。また、ポスターに使用された白山陶器(デザイン:森正洋)のコーヒーポットとカップなどを重ねた作品が売店で販売されており、実際に持ち運びに不安がないか気になったのです。
 そんな事を思いながら、「お茶の時間」は過ぎてしまいます。館内のレストランでお茶でもしようかと思ったら「本日貸切」の札がかかっていました。結局自宅に帰ってコーヒーを淹れることになり、いつものように家でコーヒーを楽しむのでした。

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お礼参り(運転手)

 冷たい風が吹く中、今日の午後は名古屋市千種区にある上野天満宮へ行ってきました。別に合格祈願をするため訪れたわけではなく、妻が7年前に資格試験を受験した際に合格祈願をし、そのお礼参りを未だしないままとなっていたため、思い出したように出かけることになったのです。数少ない祝日の月曜日とあって、運転手として車を走らせたのでした。
 時期的に受験シーズンとあって、既に何人もの方々が訪れており、境内には「学問の神様」として知られる菅原道真を模した人形に入ったおみくじ(300円)を、引いた後の願かけとして、人形だけを境内のさまざまな場所に置かれています。中でも、頭をなでると賢くなるといわれる「願かけ神牛(しんぎゅう)」像の周りは人形で埋め尽くされており、参拝者が「合格しますように」と牛の頭をなでている姿が見られます。
 また、社務所の近くには「合格祈願水」と書かれたペットボトル自動販売機も置かれており、長良川の上流奥美濃高質山のふもとから湧き出た天然水を、上野天満宮で学徳成就するよう祈願して販売されています。弱アルカリ性なので体への吸収が早く、硬度29の軟水であることから体にも優しいとのことです。200円と手頃な価格なので、受験生の親はついつい買ってしまうのではないでしょうか。藁にも縋るではなく、水にも縋りたい気持ちなのだから。

 今では、そんな受験シーズンとは無縁の生活になっていますが、ちょっと昔の頃を思い出してみるのでした。

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カカオとコーヒー

 テレビでは1月後半からバレンタインデーのチョコレートに関する番組が流れていますが、チョコレートの原材料であるカカオはコーヒーと共通する部分が多いのです。

 はるか昔、マヤ文明の時代にはカカオは通貨として使用されたと言われるくらい貴重なものでした。スペインをはじめとするヨーロッパ諸国が中央アメリカや南アメリカを植民地支配していく過程で、ヨーロッパにもカカオが伝わり、嗜好品として人気となったカカオはヨーロッパの他の植民地でもカカオが栽培されました。

  カカオ生産国の上位6か国は、コートジボアール、インドネシア、ガーナ、ナイジェリア、カメルーン、ブラジルとなっており、アフリカの国々が多く含まれているのは、こうした植民地支配によってアフリカで栽培された歴史があるからです。そして、これらの国ではコーヒーも栽培され、2016年のFAOFood and Agriculture Organizationの資料では、生産量順位はコートジボアール:15位、インドネシア:4位、ガーナ:54位、ナイジェリア:52位、カメルーン:26位、ブラジル:1位、と栽培環境や生産者に関することも共通点が多いので整理してみます。

■どちらも植物であること

 カカオもコーヒーも植物の種子であり、それを加工することで商品として利用されます。

■どちらも焙煎させること。

 コーヒーは生豆の状態でコーヒー液を抽出することはできません。コーヒー生豆を焙煎させた上で抽出して飲みますが、カカオも同様に焙煎加工を行います。また、どちらも焙煎度合に応じて味が変わるので、好みに応じて焙煎度合をコントロールしています。

主に途上国で生産されています。

 カカオもコーヒーも栽培拡大の背景には、ヨーロッパ諸国による植民地支配によって広まりました。また、栽培条件の関係などから赤道付近の途上国でどちらも生産され、最初は作らされたという背景があるにせよ、現在ではカカオもコーヒーも途上国の経済を支える農産物となっています。

■どちらも飲み物として使用されています。

 ココアはカカオから出来ており、生産過程ではカカオの種子を発酵と焙煎させた後、外側の皮を取り除いて、更に油脂分を取り除いて粉砕することで作られます。コーヒーもミューシレージを発酵除去した後に乾燥と外皮を脱穀し、焙煎を行う事から似たような工程で飲み物になります。

価格決定をめぐる国際金融マーケットが存在します。

 カカオもコーヒーもコモディティ(一般的)品物は商品先物取引の銘柄のひとつになっており、投資家によって相場が形成され、生産と消費の需給バランスの他に、国際情勢や他の投資商品の魅力度との関係で値が上下する背景があります。早い話、生産者が自ら値付けを行える環境にはありません。

 そんな中、カカオもコーヒーも「単価を上げていく」自助努力として、品質や希少性などを高める方法が行われていますが、コーヒーについては品評会によるオークション導入などが進んでいる反面、カカオについては、チョコレートの大量生産のために各地域のカカオをブレンドして作られているため、カカオ生産者や一地域個々の品質について評価をする状況にはなっていません。

■生産者が作っている物の良し悪しが分からない。

 コーヒーの生産国の中には、植民地支配する国によって作らされた歴史から、コーヒーを飲用する習慣の無い国も存在しました。(今でもあるのかもしれません)当然、農産物として生産量を気にすることはあっても、品質や味覚特性を理解していませんでした。カカオについては、そもそもチョコレートも食べたことがない人々が生産しているケースが多いという現状があり、カカオの良し悪しや、カカオとチョコレートの風味の関係性も知らないまま生産に従事しています。

■児童労働が存在します。

 コーヒーの産地セミナーへ行くと必ず児童労働の話題が出てきますが、カカオについては生産国がアフリカの国々に多いこともあって、児童労働はさらに多くなります。

 後半の方にはチョコレートのように甘い話にはなりませんでしたが、恵まれた国に住んでいる人間として、産地のことを理解しながら自分の口に入れてほしいと思うのでした。 

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統計資料を見ながら

 今日は朝から晴天に恵まれ、一日お日様が注いでくれそうです。けれど、外気は未だ冷たく、お客様の足取りも重そう。まあ、金曜日は来店客数の少ない日なので、こんな時は普段できない事をしようと、久しぶりに全日本コーヒー協会の統計資料を見てみます。

 分かってはいるものの、喫茶店の数は1981年の154,630から減少の一途をたどり、2014年には半数以下の69,983になっています。それに反して、コーヒー輸入量は確実に増加している訳で、その多くがスターバックスを筆頭とする、大手コーヒーチェーンの店舗数増加に表れています。

 スターバックコーヒージャパンが運営するスターバックスのライセンスを含む店舗数は、2005年の551店舗から2017には1260店舗と2.3倍増加し、タリーズコーヒーは1997年に東京の銀座に1号をオープンして以来、2017年3月には656店舗に増やしています。ドトールはスタバーバックス上陸前に店舗数を増やしましたが、現在は縮小しつつも、新業態の「エクシオールカフェ」や「星乃珈琲店」が順調に拡大しています。そして、東海地方を地盤とするコメダ珈琲といえば、2012年2月末の435店舗から2017年8月末には764店舗まで規模を拡大しているのです。

 これだけの数字を見ただけでも小規模の喫茶店経営は困難必至で、大手コーヒーチェーンの独壇場と言えます。では、自家焙煎珈琲店なら大丈夫かというと、自分を含めてここ数年で「雨後の筍」のように増え続けた訳で、そろそろ飽和状態と言ったところでしょうか。だって、家庭での一人当たりのコーヒー飲用杯数は、2002年の6.27杯から2016年の6.89とほとんど横ばい状態ですから、今後は徐々に淘汰されるのかも知れません。実際、ブームと言われて広まった頃には後退期と言われるくらいです。

 では、いったいどうすれば良いのかというと、正直、私自身も明確に答えることは出来ません。けれど、先月訪問したカフェ・バッハの田口 護さんが、著書の「カフェを100年、続けるために」に書かれたように、『大手チェーンの高度なシステムは、とても個人店には太刀打ちできるものではない。でも、エモーショナルな部分、驚きや感動はシステム化できません。人に驚きや感動を与えるには、相手の喜びを自分の喜びとし、相手の痛みを自分の痛みとできる人材の育成が欠かせません。そうした、人間にとって一番大切な感情を育んでくれる、この山谷という地域は、私たちにとって日本一良い場所なのです。』の言葉を手掛かりに、自分らしく努力したいものです。

 さて、午後の焙煎をしましょうか。

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DEEP45で遊ぶ

 お客様から、「三洋産業から新しいドリッパーが出たけど知ってる?」と聞かれ、ホームページを見てみると、ディープドリッパー【PRO】という新しいタイプの物でした。説明欄には、「深層濾過方式とは、濾過層(お湯がコーヒー粉を通過する距離)を長くすることによってコーヒーの旨味成分をより多く引き出す仕組みです。」とあり、円すいフィルターで深層濾過層を形成させるため、フィルターの角度を60度から45度に鋭角にして、コーヒー粉層の厚さで旨味を出そうということらしい。

 そこで早速、現物を取り寄せて見てみます。プロという名前が付いているように、家庭で使用するような1~2杯用は無く、3~7杯用の大きいサイズしかありません。円すいドリッパーでありながら開口部は六角形で、ドリッパーの壁面には線のリブではなく、点リブ構造になっています。

 さて、『プロのニーズに応える、ハイスピード&旨味抽出の両立』という触れ込み通りかを確かめます。

・コーヒーの層が深くなる

 60度から45度に鋭角になった訳だから、確かにコーヒー層は厚くなり、50gの粉を入れた場合、ハリオV60では6.1cmのコーヒー層が、DEEP45だと6.6cmのコーヒー層となって、お湯がコーヒー層を通過する距離は長くなります。

・ハイスピード

 ビーカーに250ccの水を入れ、ハリオV60とDEEP45にそれぞれ一気に注ぎ、水が200cc落ちた時間を計測すると、9秒と8秒でDEEP45が1秒早く落ちます。実は、4杯出しで抽出時間を計測してみたのですが、途中で豆を買う方が来店され計測できませんでした。でも、確かに早く落ちることは実感できます。

・旨味抽出

 コーヒー豆は、ドリッパーに同封されてきた三洋産業の喫茶店部門、「珈琲豆処      夢珈」の夢珈ブレンドを使用しました。ハリオV60で淹れたコーヒーと飲み比べをしましたが、苦みが少なく後味もすっきりしているものの、旨味が増したかは何とも言えません。

 従来の円すいドリッパーが約60度の角度になっているところに、あえて45度にした事は面白いけれど、コーヒー層の厚さと抽出速度のバランスには経験が必要だと感じました。それ以上に、「ディープ45」ってのが「リーブ21」と似てるので、全く関係ないのにハゲてる私には気になってしかたがないのです。

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間違ったイメージ

 今朝の冷え込みは今年一番でした。昨晩に降った雪に覆われたビオラを見ながら、「今日は寒いから来店客も少ないだろうし、本でも読もうか。」と、先日見た映画「阪急電車 片道15分の奇跡」の原作である、「阪急電車」(著者:有川浩 発行:幻冬舎)を読んでいました。

 この本はブログを見ていたお客様から「読んでみて!」と貸していただいたもので、映画と異なる文字の世界で何度か乗った阪急電車を想像します。映画では使用されなかった短編や、やかましいオバチャンを時江が論破するシーンがカットされる内容を読みながら、再び電車に乗った気分になりました。

 そんなことをしていると、前日の残り雪も解け、ビオラも元気を取り戻したように咲いています。こうした光景を見ると「植物は強い!自分も頑張らねば。」と思いがちですが、冬場に咲く花は寒さに耐性があり、氷点下10℃くらいまでは枯れないそうです。逆に暑さには弱くて、多くの場合は夏の暑さや水不足で枯れてしまうのですから、やはり人間の方が環境に順応性があり強いのです。イメージって、自分の都合の良い方向へついつい導いてしまいます。

 コーヒーにも同じようなことが言えます。午後に来店されたお客様から、「ここのコーヒーはスペシャリティーですか?」「シングルオリジンですか?」と尋ねられ、一般的にはそう言われているものであることを回答しましたが、同時に、スペシャリティーやシングルオリジンの定義を明確に答えられないので、そうした表記を行っていない旨の説明をしました。

 個人的には「このコーヒーは美味しい」で良いと思っており、そのコーヒーに興味を持ったら、どこの国で、どのように栽培され、どのように精選されたのかに関心を持ってほしいのです。ブランド表記やスペシャリティー、シングルオリジン、有機栽培、フェアトレードなどなど、そうした言葉が勝手にイメージを作ってしまい、本来「自分はこのコーヒーが好き!」という単純な選択が惑わされてしまいます。

 先月、ペルーのCOE(カップ・オブ・エクセレンス)コーヒーをカッピングしましたが、86点に基準が上がってしまった理由や、点数の評価が国ごとに異なったり、バイヤーの意図でサジ加減のような駆け引きが起こるのかを知るにつけ、売る側の作ったイメージに乗っかるよりも、「このコーヒー好き!」だけで良いと思うのです。

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社是・社訓

 企業の多くが社是とか社訓を示しています。社是とは「会社の経営上の方針・主張」で、 社訓とは「その会社で働く社員の指針として定めた理念や心構え」ということになり、言い換えれば、社是が対外的にも主張出来る内容なのに対し、社訓は社員に対してのみ有効なスローガン的なものだと思います。
 そんな社是について、お客様から東京で弁当屋を営む「玉子屋」の社是がユニークだと教えていただきました。それは、一般的に会社の経営上の方針・主張が書かれた社是には成功するコツが書かれているものですが、玉子屋のそれはその反対。「ここに書いてある内容をやると失敗する」というものです。
■玉子屋の社是■
1.旧来の方法が一番良いと信じていること
2. もちはもち屋だとうぬぼれていること
3. 暇がないといって本を読まぬこと
4. どうにかなると考えていること
5. 稼ぐに追いつく貧乏なしとむやみやたらと骨を折ること
6. 良いものは黙っていても売れると安心していること
7. 高い給料は出せないといって人を安くつかうこと
8. 支払いは延ばす方が得だとなるべく支払わぬ工夫をすること
9. 機械は高いといって人を使うこと
10. お客はわがまますぎると考えること
11.商売人は人情は禁物だと考えること
12.そんなことはできないと改善せぬこと

 これは現社長がの会社を継いだ際、友人から“お前の考えにピッタリのものがあった”とFAXで送られてきたもので、150年以上前の富山県のお寿司屋さんが作ったのではないかと言われている代物のようです。ここに書いてある内容をやると失敗するが、ここに書いていないことはお客様目線では何をやってもいいということだと社長は考え、これを社是にしたというのです。

 特別な内容ではないものの、具体的な気づきを与えてくれる発想には興味が持てます。実際に、「そんな人いるな~。」って何項目か思い当たる事もあり、自分自身も気を付けなければいけないと思うのです。私の場合は、「まめ蔵への想い」のように長くお店を続けるため、経営者として常に念頭に置いている内容を書面にして書斎に掲示しています。2013年2月10日の日付と署名を入れ、たった一人の個人経営だからこそ、ブレないように進みたいから。

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福は内!

 朝から柊鰯(ひいらぎいわし)の準備をし、これで節分の準備はOKです。この地方ではスーパーには鰯とともに柊も売られており、「節分いわし」とか「柊鰯」といって玄関に飾り、魔除けや厄除けとして用いられています。後は豆まきをする訳ですが、豆(まめ)は「魔の目(魔目=まめ)」に豆を投げつけて、「魔を滅する(魔滅=まめ)」に通じるという意味合いがあるようです。
 豆まきの際、「福は内」や「鬼は外」と言いながら豆を投げますが、「鬼は外!福は内!」か「福は内!鬼は外!」どちらが正しい掛け声というと、どうやら「家にいる鬼(邪気)は外に出して、そのあと幸福の神様は内に入れる」という考え方から、鬼(邪気)がいなくなったところに、福を招き入れるという順番が理にかなっているようです。
 けれど、地域によっては「福は内、鬼も内」という掛け声もあるんだとか。この場合の「鬼」は悪い邪気ではなく、鬼そのものを神様、または神様の使いとして「福」と同じ意味合いを持つているそうです。何事も考え方次第で変わるのですから、あまり拘らない方が良いのかもしれません。

 今日はお店を臨時休業にし、遠方からのお客様を迎えたこともあって、お客様にも豆まきを体験してもらいました。節分は「季節を分ける」ことも意味しており、大きな筋目ということもあって、今日という日は我が家にとっても「福は内!」となりました。

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10粒のピーベリー

 昨晩はサークルの勉強会のため、毎週見ているテレビドラマの「科捜研の女」は、お店のタブレットを使って、民放公式テレビポータルTVer(ティーバー)で視聴しました。すると、コーヒー豆が捜査資料に使われ、「10粒のピーベリー」から被害者が訪問した珈琲屋を見つけるという展開です。

 ドラマの中では、ピーベリーの他にもアラビカ種、チャフ、カフェインレス・コーヒーなども登場しましですが、コーヒーの話題については軽く流された感じで、筆跡鑑定や防犯カメラの科学捜査に内容が移ります。な~んだコーヒー絡みはこれだけかと思っていたら、ラストに植物園でシェードツリーに触れられ、「日陰の人生を送りますように。」の真意が解るという展開でした。

 けれど、「日陰の人生」という言葉にはネガティブなメッセージしか感じられず、シェードツリーに無理やりくっ付けた内容にしか思えません。それでも、刑事物語というより人情物語として構成されている「科捜研の女」だからこそ、ついつい毎週見てしまうのでした。

  ちなみに、近くでは名古屋市守山区にある東谷山フルーツパークの温室でも、同じようなコーヒーの木とバナナの木を見ることが出来ます。ちょうど今頃はコーヒーの花が咲いている頃でしょうか。

 コーヒーと殺人事件という話では、昨年読んだ小説投稿サイトの「コーヒー豆殺人事件」なんてのもありました。被害者が握っていた一粒のコーヒー豆がダイイングメッセージとなって犯人捜しを行うっていう内容でしたが、短編小説のために中身が空っぽの貝殻豆みたいでした。

 コーヒーが身近な飲み物になったからこそ、小説の小道具に使われたり殺人事件にまで利用されるのでしょうが、やっぱりコーヒーは飲むのが一番って思います。さて、午後の一杯といきますか。

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皆既月食

 昨夜は、満月全体が地球の影の中に入る「皆既月食」が3年ぶりに観測できました。今回は皆既月食の状態が1時間以上続き、なおかつ月が高くのぼった時間帯に起こる理想的な観測条件ということで、ベランダから9時半過ぎにデジカメで撮影したのです。
  月食は望遠鏡を使わなくても肉眼で十分楽しむことができるものの、寒空の下では天体観測気分を満喫することもできず、ピンボケの撮影をしたのみとなりました。天体ショーの模様はテレビで何度も放送されるでしょうから、とりあえず肉眼で確認したので満足したのです。

 古代から日食や月食は不吉な予兆を表すと言われており、昨日の昼間にはちょっとしたハプニングがありました。午前中から3回ほど焙煎を繰り返した後、焙煎機の下部から突然白い煙と焦げ臭い匂いがたちこめます。「しまった!」と思っても遅く、煙突掃除をさぼっていたために、排気口のチャフへ火が付いてしまったようです。サイクロンに火が移るのを防ぐため溜まったチャフを取り除こうと蓋を開けると、店内はみるみるうちに煙と焦げ臭い匂いに包まれます。こうなるとわずかに残ったチャフが燃え尽きるまで待つしかありません。これで夕方まで焙煎は中止です。

 そんなことがあって、昼の時間帯は煙突掃除と焙煎機の掃除に時間を費やしました。しかし、焦げ臭い匂いは今朝になっても残っています。ケーキを焼いて甘い香りで誤魔化そうとリンゴのケーキを焼くものの、やはり気になります。次回の皆既日食は7月28日なので、再びこんなことが起きないように、まめに煙突掃除しなければ!

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