菖蒲園へ

 定休日となった月曜日の朝、家族から頼まれていた風呂場の網戸の張替えと、ムカデ駆除剤の散布を行い、アルミサッシのクレセント(鍵)故障による部品の発注、そして、妻から頼まれた食材の買出しと、ミッションは午前中にクリアです。妻から「家のことは何んもしない人」だと認知されている私としては、多少なりとも存在感をアピールしたつもりです。しかし、主婦からみれば「そんなの当然!」と言われかねません。確かに、そのとうりなのですから。 

 そんなミッションから解放された午後、愛知、三重、岐阜の東海3県の知事が6月1日から、観光を含めた3県間の移動自粛を解除したこともあり、久しぶりに愛知県へドライブです。目指したのは見頃となった知立市と碧南市にある菖蒲園でした。 

 先ずは、知立市の知立神社を挟んで西公園と東公園の2つある「知立公園」です。知立公園の花菖蒲は、昭和30年・32年・35年の3回にわたって明治神宮から下賜されたもので、明治天皇並びに昭憲太后御遺愛の名品種60種類が植えられています。庭園の面積は約7,500㎡ルで、紫色や白色の見事な花を咲かせていたはずだったんですが、残念ながら多くがその見頃を過ぎたところでした。 

 そこで、気を取り直して碧南市にある「油ヶ渕花しょうぶ園」に向かいました。菖蒲園があるのは、愛知県最大の自然湖沼「油ヶ淵」の北岸に位置する公園で、市の花にもなっている花菖蒲18000㎡の敷地に80品種・13000株が植えられています。毎年5月下旬から6月中旬にかけ、知立公園とともに「花しょうぶまつり」が開催されますが、ご多分に漏れずコロナ禍で中止となりましたが、ちょうど見頃となっていたこともあり、地元の方と思われる方々が散策されていました。 

 「菖蒲」という漢字は、「しょうぶ」と同時に「あやめ」とも読みます。けれど、漢字は同じでも菖蒲(しょうぶ)と菖蒲(あやめ)は別物です。さらに、菖蒲(しょうぶ)と今回のように菖蒲園などで見る花菖蒲(はなしょうぶ)も別物。さらに、「いずれがあやめ、かきつばた」の杜若(かきつばた)が加わると、何が何だかわからなくなります。植物学的には「花菖蒲」、「あやめ」、「かきつばた」はすべてアヤメ科アヤメ属だから皆同じ仲間で極めて近い関係にあります。ところが菖蒲湯の菖蒲はサトイモ科で別物のようです。(最近になり別の説もあり)杜若(かきつばた)は葉っぱが似ているだけ。花も咲くことは咲くけどきれいな花ではなく、蒲(がま)の穂みたいな黄色い花になります。 

 そうなると、「花菖蒲」、「あやめ」、「かきつばた」の違いですが、あやめは畑のような乾燥地で栽培するのに適し、かきつばたは水辺などの湿地帯に適し、花菖蒲はその中間で畑地でも湿地でも栽培できるというのが違いのようです。それぞれの環境によって背丈も異なり、花菖蒲は背が高くて80100cmあり、あやめは背が低くて3060cmと小さく、杜若(かきつばた)はその中間といったところのようです。 

 結局、見分ける方法は、花の模様のようです。花菖蒲は花の種類は多く紫系統の他に黄色や白、絞り等、多彩であるがどれも「花弁の根元のところに黄色い目の形の模様」があり、杜若(かきつばた)はあまり種類は多くないですが、「花弁の弁の元に白い目型の模様」があるのが特徴です。そして、あやめも花の種類は多くなく「花弁の元のところに網目状の模様」があるのが特徴です。図鑑を見ると違いがひと目で分かります。 

 なぜ違いに拘るかって?実な次女の名前を「あやめ」と名付けたのが私であり、似たような花はあるけれど、「あやめ」は「あやめ」だということを意識しているからです。ただ、娘からは「生まれた時に庭にあやめが咲いていたから決めたんでしょ?」と、安直に名前を付けたように言われてしまい、「いずれがあやめ、かきつばたと言われるような美人になるように。」と即答できなかった事を、今更ながら悔やんでいたりしているのです。