ブルンジの豆入りました

 まめ蔵では、今回、はじめてブルンジのコーヒー豆を取り扱いました。ブルンジといってもピンとこないかもしれませんが、アフリカのルワンダの下、タンザニアの左に位置し、2.78万平方キロメートル(北海道の3分の1くらい)の国土に、1,117万人(2018年)が暮らす小国です。 

そのブルンジの北部、ルワンダ国境近くのカヤンザ地区の標高19002050mにあるブジラグヒンドゥワ生産者協同組合が集める、周辺の3000にも及ぶ生産者のチェリーを生産処理するブジラ・ウォッシングステーションの豆です。今回は、ブルンジで主に栽培されているブルボンを、一般的なウオッシュドではなく、ナチュラルの豆を紹介することにしました。 

ブルンジの国旗デザインには、緑は希望、白は純潔赤は独立への苦闘が表されています。中央の3つの六芒星は、ブルンジの3つの主要な民族である、フツ族(85%)、ツチ族(14%)、トゥワ族(1%)を意味し、同時に国のモットーである統一、労働、進歩を意味しています。フツ族、ツチ族という言葉で連想するものは、隣国であるルワンダの虐殺です。ブルンジにおいてもフツ族とツチ族は長年にわたり激しく対立を続けており、幾度か両民族間で武力衝突や内戦が起きていました。 

このフツ族とツチ族というのは、ベルギーによる植民地化によって勝手に区別されたものであることは、意外に知られていません。第一次世界大戦後に、ドイツ領東アフリカに置かれていたルワンダはベルギー統治下に移ると、「ツチ族の方が鼻が高くヨーロッパ人に近い」、「平たい鼻と厚い唇を持つ顔はフツ族」と、勝手に「顔の違い」を見定め、「ツチ族の方がヨーロッパ人に近くて優れている」という人種的差別観を持ち込み、フツ族とツチ族が対立する根本的原因を作ったのです。 

ルワンダ人ですら顔の違いを認識しておらず、フツ族は農耕、ツチ族は牧畜を営むことが多いと言う生活の違いがあったくらいのもので、身長や皮膚の色、顔に多少の違いは見られたものの、両者がお互いの違いを明確に認識していなかったのです。そして、ベルギーはほぼ全ての首長をツチ族に独占させたほか、税や教育においてもツチ族を優遇し、フツ族を最下位にすることで、宗主国のベルギーを頂上とし、中間支配者のツチ族、大多数を占める被支配者のフツ族という、分断統治のピラミッドを作ったのでした。 

ブルンジもルワンダ同様、ドイツからベルギーの統治下になりましたが、ベルギーはドイツの方針を受け継ぎ、ブルンジ王国を存続させて間接統治を継続します。その後、1962年にブルンジ王国はベルギーから独立しますが、フツ・ツチ両民族の対立し、幾度となく内戦が繰り返され、今では民族間の枠を超えた政治的な混乱となっています。ルワンダが内戦を克服し、今ではアフリカで一番の安定した政情の下で、経済も良好な様相を示すようになっているだけに、対照的状況になったのが同じ地域のブルンジなのです。