特別な一杯

 厚生労働省が所管する国立感染症研究所は、濃厚接触者の定義を見直し公表しました。WHO(世界保健機関)が先月20日に濃厚接触者の定義を改めたことを受けての対応だということです。

 これまで、新型コロナウイルスに感染した人の「濃厚接触者」についての定義は、発症日以降に接触し、2メートル以内を目安に会話などをしていた人でした。今回の見直しにより、発症の2日前から1メートル以内で15分以上接触した人などと改められたのです。確かに、発症前でも既にウイルスに感染しているのですから、発症の2日前からという理由は理解できます。しかし、2メートル以内を1メートル以内に短くし、15分以上という会話時間の短縮には、リスクが増加したように感じます。 

 お店のテーブル配置は既に2メート離し、カウンターの椅子も同様に離しています。これにより、実質定員5名状態で営業していますが、幸いにもコーヒー豆を購入される方は減ることなく、意外にボーっと生きることもなく、日々焙煎を続けています。 

 そうした昨日の午後4時過ぎ、店内で一人焙煎をしていると、初めて見る若い男性が来店されます。何だか暗い雰囲気で、福岡の立てこもり事件があったこともあって、「ヤバい人かも?」と一瞬思います。ですが、とんだ思い違いでした。 

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務になったものの、仕事の内容から在宅ですることもなく、自宅の庭の草取りをしていたそうです。会社からは「絶対に感染するな!」と檄を飛ばされ、仮に感染でもしようものなら悲惨な対応が待っていることが予想され、感染の恐怖と在宅でのストレスで家を出たんだとか。自宅でもコーヒーは飲めるものの、お店で飲みたくなってドアを開けたと話してくれました。 

注文したコロンビアを飲み干し、再び二杯目のコロンビアを飲みながら、「閉店時間までに間に合ってよかった!」と呟きます。彼女が好きな味だからと言ってブラウニーも購入し、店を出る際に、「美味しかったです。」と言って帰っていきました。その顔は入って来た時とは随分違ったように見えたのです。彼には特別な一杯だったんでしょうね。でも、中身はいつもと同じなんですが。 

一杯のコーヒーでも、そこにはストーリーがあります。 

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コメント: 2
  • #1

    rakuso (金曜日, 24 4月 2020 08:50)

    おはようございます。喫茶店は自粛ではないものの、世の中の自粛の中で大変かと思いきや、楽しんでやっている様子で安心しました。オオムラサキは小さな写真をクリックするとみることができます。まだ生まれたばかりで黒い色をしていますが、葉を食べ始めると緑色になって大きくなってきますのでわかるようになります。
    昨日はかつての教え子の親から電話をもらいました。簡潔に言えば子供が就職できたということです。そんなことでも15年も前のつながりを持ってくれたことに何とも言えない嬉しさがありました。

  • #2

    まめ蔵 (金曜日, 24 4月 2020 10:15)

    幹の一部だと思っていましたが、確かに見えました。
    第二の人生を楽しむために始めたのですから、楽しむことだけを考えて行動しています。そして、充分に楽しんでいるところです。どんな時代であっても楽しみ方はありますから。
    顔を見せにいきたにのですが、しばらくはブログどうしでの交流になりそうです。