苦手な言葉

 昨日は、元同僚と三十数年ぶりに再会することができ、出会う場所を持ったことに改めて喜びを感じます。そんな突然の再開も偶然ではなく、彼は以前から「まめ蔵」の存在を知っていたようです。都合を合わせ、土岐へ出張に来た際に立ち寄ってくれました。長い時の経過を忘れるように会話が弾み、楽しい時間を過ごせました。 

 そうした会話に出たのが、「コーヒーに拘ってるらしいね。」という言葉。時々知人からも言われますが、実のところ拘っているのは、生まれ育ったこの町で、そこそこの値段で、そこそこのコーヒーを長く提供したいということでしょうか。「生まめを まめに焙煎して まめに暮らす」が目標ですから、「コーヒーに拘っている。」と言われてしまうことに違和感を持ってしまうのです。 

 同じような言葉に「お勧めは?」という質問があります。リピーターとなって好みが分かっている方なら何種類か試飲してもらい、気に入ったコーヒーを選択してもらえるものの、初めて来店された方に質問されても的確な回答ができません。一般的に、様々なお店で「お勧めです!」といったPOPなどで強調される商品は、おおむね店側が「売りたい!」との思いが入ったものであることが多く、「あなたにお勧め!」という訳ではないのです。そうしたセールストークみたいなのは、正直、苦手!(だから商売っ気ないと言われる) 

 さらには、「美味しいコーヒーください!」という言葉。正確には「私にとって美味しいと感じるコーヒーをください!」であって、全ての人が美味しいと感じるコーヒーではないことです。100人いれば、100人の趣味趣向があるのですから、より相手を理解しないと美味しいと感じてもらえるコーヒーが提供できません。だから、これも苦手!(適当に相手すればいいじゃんとも言われる)

 巷には「美味しいコーヒー」に関する本が氾濫しており、誰でも美味しいコーヒーが淹れられる筈ですが、それでも次から次へと新しい本が出版されています。そんなの当たり前で、一人ひとり好みが違うのだから、一つの方法で答えが導き出されることはないのです。まあ、「コーヒー おいしさの方程式」(著:田口護 旦部幸博)を読んでもらって、自分が一番美味しいと感じるコーヒーを探してもらうのが良いのですが。 

 ところで、先日申し込んだコーヒーセミナーの事前質問に、「貴方の美味しいコーヒーの定義を教えてください。」というものがありました。直ぐに書いたのが「売れるコーヒー」です。