先日、「特殊喫茶」と「純喫茶」を話題にしましたが、季刊雑誌『珈琲時間』でも、2020:2月号に「2020年、いまこそ行きたい純喫茶」という特集記事を出していました。
個人的には「純喫茶」という店のイメージが湧かず、高校の帰りに寄り道した寂れたアーケード街の喫茶店、社会人にとなって先輩に連れて行かれたゲーム機のある喫茶店、珈琲専門店とは名ばかりのブレンド以外の豆が少しある喫茶店、昭和の時代に記憶された喫茶店とは『珈琲時間』に登場するような、路地裏にあるレンガ造りで、レトロな看板のある、心躍らせるような要素の無い店ばかりです。
酒類を扱わないコーヒーを楽しむ喫茶店本来の姿を持つ店を「純喫茶」と呼ぶならば、コーヒーに特化したメニュー構成の店だと思ったものの、『珈琲時間』が紹介している店の多くはそうでもなさそうです。ここのコーヒーにはこんな特徴があるといった内容よりも、コーヒーに添えられるサイドメニューにばかりが目に入ります。
・高級喫茶 古城・・ミックスサンド
・珈琲専門店 パリ・・生クリームを花弁のように絞ったアレンジコーヒー
・名曲・珈琲 新宿らんぶる・・琥珀セットという厚切りトースト
・珈琲専門店エース・・醤油とバターと海苔を挟んだ のりトースト
・珈琲 伴茶夢・・パンカレー
・珈琲専門館伯爵 池袋店・・海老ドリア
・ミロンガヌオーバ・・チョコレート味のパンプディング
これら、田舎者の私には行ったことのない東京の店ばかり、ビルの谷間の薄暗い照明の隠れ家のような店内で、「自分だけが知っている」と一人悦に入って食べる姿が浮かびます。
ところが、私も知っている名古屋の店が紹介されていると少しイメージが異なります。
・洋菓子喫茶ボンボン・・いわずと知れた洋菓子
・コンパル大須本店・・エビフライサンド
急に明るい店内で、名古屋弁が飛び交う賑やかな様子が思い浮かばれ、東京の薄暗い感じとだいぶ違ってきました。でも、ケーキや軽食が店の看板になっているってのは「純喫茶」と呼べるんでしょうか?そもそも、酒類を扱わないコーヒーを楽しむ喫茶店本来の姿ではないような。
ますます分からなくなった「純喫茶」です。でも、雑誌やテレビドラマで「純喫茶」の言葉が多用されるという事は、ひょっとすると「純喫茶」が流行るのかも?なんなら「純喫茶 まめ蔵」にでもしてみますか。でも、看板メニューになるものがないから無理だな!まあ、そこそこの値段で、そこそこのコーヒーを出す珈琲屋のままでいいや。
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