純喫茶

 「まめ蔵」では、ランチや酒類の提供はしておりません。焙煎、接客、菓子類製造の全ての工程を一人で行うことを前提としているため、事前準備の段階でランチメニューも考えてはいたものの、現実的ではないと判断したわけです。さらに、酒類の提供などにいたっては、夜は苦手だし、酒は飲めない体質ですから考えてもいませんでした。 

 でも、保健所への申請では喫茶店営業許可ではなく、ランチや酒類の提供もできる飲食店営業許可を得ています。将来的に余裕が持てたら提供できるかも知れないという考えもあり、ガス栓の設置もしてあるのですが、先週末のようにコーヒー豆の在庫が減ってしまうと、ランチの提供どころか、早く閉店して焙煎を行って横になりたいと思ってしまいます。 

 そいした飲食店営業許可ではなく、喫茶店営業許可でコーヒーを提供する店を「純喫茶」と呼んだりします。明治の末期頃、社交場として日本でも広まっていったカフェは、本来の喫茶店の業態に加え、夜になると女性がウエイトレスとなり酒類を提供するスタイル(クラブやバーのように)の喫茶店が現れ、昭和初期頃にはそういったカフェが多く点在し「特殊喫茶店」と呼ばれ繁盛していました。 

 その一方で、酒類を扱わないコーヒーを楽しむ喫茶店本来の姿を持つ店も残り、前者と分けて、「純喫茶」と呼ぶようになったそうです。「純喫茶」という、なんとも昭和レトロな響きと雰囲気に、懐かしさや温もりを感じる方もあるのかもしれませんが、東海地方で育った私には、「喫茶店」という言葉で一括りになってしまいます。 

 そんな「純喫茶」を題材にしたドラマが、「孤独のグルメ」のスタッフによって、ドラマ的ガイド番組「純喫茶に恋をして」と題し、2月から放送されるようです。「売れない漫画家・妄想家のアラサー男子、烏山純平(戸塚純貴)が迷い込む、日本各地の純喫茶。そこで起こる様々なドラマとは?」といった展開で、「さぼうる」(神保町)、「トゥジュールデビュテ」(五反田)、「gion(ギオン)」(阿佐ヶ谷)、「丘」(御徒町)、「カド」(向島)、「金魚坂」(本郷)など、全8話制作予定です。 

 「孤独のグルメ」のように、毒にも薬にもならないけれど、無性に「腹が減った!」気分になる番組のファンでしたが、同じスタッフの作る「純喫茶に恋をして」も、毒にも薬にもならないコーヒーを飲む姿を見て、無性に「飲みたい!」との気分にさせる内容になるのだろうか?と思ってみるのでした。