再利用

 12月4日、自動車大手のフォードとファストフード大手のマクドナルドが、コーヒー豆のかす(チャフ)を使用して、フォードの車体の一部に利用するプロジェクトを共同で進めると発表しました。その内容は、マクドナルドが提供しているコーヒー豆の焙煎過程で出たチャフ(コーヒーの周りにある薄皮でシルバースキンともいう)を、低酸素の空間でプラスチックと一緒に高熱処理すると、既存のものよりも20%軽い素材を作ることができ、使うエネルギーは25%削減できるといいます。それをヘッドランプハウジングや、ボンネット下の部品として使用するというものです。約20%の軽量化とともに、部品の成形プロセスに必要なエネルギーも最大25%削減されるんだとか。 

 12月6日には、近畿大学が開発した植物由来の廃棄物を原料とする固形燃料「バイオコークス」に、コーヒー抽出後に出るコーヒー豆かすを原料とする共同開発を、コーヒーの輸入・販売を手掛ける石光商事()ともに産学連携で行うと発表しました。さらに、そのバイオコークスを燃料として焙煎したコーヒーのドリップバックを開発し、SDGs関連イベントでサンプル配布すると発表したようです。 

 コーヒー豆の再利用という点では、今年1月に紹介した「Kaffeeform CAPPUCCINO CUP&SAUCER カフェフォルム カプチーノ カップ&ソーサー」がありました。カフェなどで毎日大量にコーヒー抽出後の粉が捨てられているのを見て、ドイツの若手インダストリアルデザイナーが手がけたもので、使用済みのコーヒーの粉、生分解性ポリマー、粉砕された木材などを混ぜ合わせペレット状にしたものを、プレッシャーでカップの形に成形して作られているものでした。1個につき6070g(エスプレッソ約10杯分)の粉が使われている計算になります。 

 もうひとつは、10月に行ったUCC滋賀工場で、コーヒー抽出カスをバイオマス資源の燃料しているという話です。平成23年度に補助金の交付を受け、滋賀工場内にバイオマス熱利用設備を導入し、年間約1万トンのコーヒー抽出カスをバイオマス資源の燃料として活用することで、工場内で使用する蒸気として回収しています。ただ、バイオマス燃料によるスチームだけでは少ないため、補完的な利用がされており、缶コーヒー殺菌のために使用されたり、コーヒーの抽出時にも使用するそうです。こうした再利用により、それまで外部に処分を委託したり、肥料として業者に引き取ってもらうための、年間約1億5千万円の処分費を削減することができるようになったそうです。ただし、最後に残る灰は産業廃棄物となるようですが。 

 他にも、フィンランドではコーヒー豆を原料にした機能性抜群のスニーカー「Rens」、ウクライナではコーヒーの抽出カスからできた生分解可能なサングラス、イギリスではコーヒーかすを燃料にして走るロンドンバスなど、通常は廃棄されるコーヒー豆の皮や、使用後のコーヒーのカスを活用する試みが、世界中で行われているようです。とりあえず「まめ蔵」では、ハンドピックして廃棄する豆を芳香・消臭袋として、お客様へ無料で提供することで再利用をしているくらいでしょうか。