珈琲こがし

 お客様から、「珈琲こがし」なるお菓子をいただきました。裏の製造者を見ると、()西倉製菓とあります。この西倉製菓は、熊谷市にある五家寶(ごかぼう)といわれる、おこし種を水飴などで固め棒状にした芯を、きな粉に水飴などを混ぜた皮で巻き付け、さらに、きな粉を表面にまぶしたお菓子の老舗でした。

 「珈琲こがし」は「麦こがし」にコーヒー粉を加えたもので、若い人には「麦こがし」と言ってもピンとこないかもしれませんが、私には懐かしい響きの食べ物です。地方によっては、「はったい粉」や「香煎(こうせん)」とも呼ばれている「麦こがし」は、大麦を煎って焦がし、石臼でひいて粉にしたものです。これに砂糖を混ぜ、熱湯や水で溶いて食べたおやつでした。 

そんな「麦こがし」にコーヒー粉を加えて、木型にはめて固めて打ち出す「打ち菓子」といわれるお菓子の「珈琲こがし」は、なんともシンプルなパッケージデザインで、懐かしく、ほっこりしながら、幼かった頃のおやつを思い出させてくれたのです。