お寺でアート

 瑞浪市稲津町小里にある興徳寺で、920日(金)から26日(金)の間行われている、地元の画家で2016年に亡くなった、西尾征一郎さんの作品展を妻と共に見に行ってきました。 

 西尾さんは、熱病のため生後間もなく聴力を失いなだらも、65歳まで土岐市内の製陶所で、絵付けや彫り付けの仕事に従事してきました。製陶所の仕事に就く前には看板屋で働いていたこともあり、20歳頃から本格的に創作活動を始め、独学で絵を描き続け多くの作品を残しています。 

 手話サークルで講師を担当していたこともあり、私達にとっても関わりが深く、個展の通訳に同席したり、二科展や独立展へ作品を見に行ったものです。今回は、興徳寺の檀家でもあった縁から、お寺での遺作の展示が行われ、亡くなった後でも作品を通して偲ぶことができました。 

 お寺でアートって中々素敵な企画です。私も一応地元の寺の檀家となっているものの、お寺に足を向けることはめっきり減りました。お盆に施餓鬼旗(せがきばた)をもらいに行くくらいですから。今回、興徳寺の座敷で行われた作品展には、手話サークルに関わる人以外にも、地元の檀家の方々が次々と訪れていた光景を見ると、お寺の在り方を考えさせられます。 

 稲津町小里にある興徳寺は、戦国時代から江戸時代初頭にかけてこの地を治めた旗本小里氏の菩提寺として建てられた寺だとか。この寺にある木造菅公像は岐阜県指定文化財に指定されていたり、茶壺も小里氏の支配地であった恵那郡大川村(現・瑞浪市陶町大川)に所在した大川窯の陶工、羽柴与左衛門景度の作品と伝えられており、瑞浪市指定有形文化財となっています。 

 そんな古びた寺を後にしながら、芸術に触れた貴重な時間を楽しんだのでした。「芸術の秋」先取りってか?