エチオピアコーヒー

 東京へ向かう電車の中、頭の中をコーヒーモードにしておうと、Amazonnプライムでダウンロードしておいた「おいしいコーヒーの真実」(2006年)を見ます。コーヒー原産国であるエチオピアの光景を見ながら、「貿易の不公正なシステムがあると言ってるけど、エチオピア国内に問題もあるんじゃないの?」とか、「公正な取引がフェアトレードなんて決めつけんじゃないの!」、「貧困に苦しむコーヒー農家の人々を救うために、恵んであげるみたいなのはヤダ!」と声に出さないように呟いておりました。 

 そうこうしていると品川を経て新橋に着き、ゆりかもめに乗り換えると、「運転手の居ない機械仕掛けの乗り物に乗っている自分に気づき、ほぼ全ての工程を手作業によってコーヒー作りをしている人の気持ちが分かるんだろうか?」などと分かった気になっている自分を諌めたりもします。 

 そんなコーヒーモードの頭にの仕込んでおいて、会場に入るなり各ブースを回って試飲しまくります。正面のコロンビア、右に回ってパナマ、インドネシアを中心としたアジア方面、今年は雲南珈琲のブースが広くなっていると驚きながら、UCC、ジャマイカを巡り、ハリオ、小川珈琲、カフェバッハ、さらにはサザコーヒーを飲みます。

 そうそう、生豆商社の試飲もしなければと、古いウイスキー用オーク樽に貯蔵して一定期間エイジングした豆や、エチオピアのグジ地区ゲイシャ・ナチュラルなどを確認した後、『コーヒー発祥の地・エチオピアコーヒーの魅力』と題した産地セミナーに参加します。

 セミナーでは、エチオピア駐日大使をはじめ、コーヒー庁総裁、コーヒー輸出協会会長といった政府側の話と同時に、JICA技術力プロジェクトによる、エチオピア南西部の高地で、アラビカコーヒー発祥の地といわれる森林コーヒーの保全と付加価値化高める活動の報告がされます。 

 政府側はコーヒー豆の生産量アップ掲げる同時に、他国と比べて取引価格が低すぎると不満を述べ、JICA側は希少な品種の宝庫である非効率な森林コーヒーを守るという、なんだか矛盾した意見が同時に聞けるセミナーでした。

 何が正しくて、何が誤っているのか?目に見えるものが全てではないことを、映画「おいしいコーヒーの真実」と同様に考えさせられる時間となったのです。