Nutraceutical Coffee

 昨日は、土岐市駅69分発の電車に飛び乗り、一路東京ビッグサイトへ向かいました。毎年行っているSCAJのイベントの「SCAJ2019」に行くためですが、そのイベントでは出来るだけ産地セミナーに参加することにしており、今回は、『 Nucoffee コーヒー精製の最先端のその先へ 』と題したセミナーを申し込んでおいたのです。副題が「クロロゲン酸影響下においてスペシャルティコーヒーの生産は可能か?」であり、「Nucoffee」、「クロロゲン酸影響下」といった言葉に惹かれた訳です。

 Nucoffeeは、ブラジルの4,000以上のコーヒー生産者が関わっている団体で、生産性・差別化を通じて高品質のコーヒーを生産することを目的としており、生産者がコーヒー栽培の技術を引き上げるための必要なすべてのサポートを提供しています。

 そのNucoffeeが、発酵研究センター(NEFER)とのパートナーシップを持ち、ブラジル Lavras国立大学教授のフラビオ・メイラ・ボレム氏の指導により取り組んでいるのが、今回のセミナーの副題となる「クロロゲン酸影響下においてスペシャルティコーヒーの生産は可能か?」の形になったNutraceutical Coffee」でした。

 何年も前、フラビオ・メイラ・ボレム氏にもとに日本人の研究者たちがやってきて、「未熟豆にはクロロゲン酸が多く含まれるので、これまでの市場にない、人間の健康と美味しさを両立したものが作れないだろうか?」と言われたことがきっかけで、その抗酸化作用を使って、スペシャリティーコーヒーを作ろうと取り組み始めます。 

 未熟豆には、渋み、あるいは渋柿や野草を口に含んだ際の「酸っぱくないけど口の中がキューっと締め付けられる様な感覚」となる収斂性を伴う香りがあります。ただ、発酵豆、カビ、虫食いとは違い、健康に害を与えることが無く、世の中には未熟な物を食べる習慣もあることから、様々な条件のもとで研究を進めたそうです。

 クロロゲン酸は未熟豆に多いものの、熟度が増すほど減少するため、完熟豆と未熟豆を混ぜる中で、未熟豆を3035%にして、薬剤を含ませた特許技術であるNutraceutical」によって、収斂性の伴う香りを減少させて、甘く酸味のあるコーヒー向上させるイノベーションだというのです 

 発表の中で様々な数値やデータが示されましたが、チンプンカンプンなこともあって頭に入ってきませんでしたが、実際にコーヒーを試飲すると、レモンのフレーバーを感じるすっきりしたコーヒーで、ミルクを合わせたものは結構美味しかったのです。 

 コーヒーを使った「健康」というフレーズには、少々嫌悪感があるものの、コーヒー生産時に必ず一定割合で未熟豆が入る中で、その未熟豆を活用した美味しいコーヒー作りが行われることは、コーヒー豆を作る農家にとっても、コーヒーを飲む側にとっても良い事であり、今後どのように進むのか興味が持たれました。 

最後に、サンプルの生豆がもらえたり、通訳の丸山健太郎氏の聞き取り易さもあって、東京までの移動の疲れも少し取れた気がしました。でも、コーヒーは栄養補助食品じゃなくて、ただの嗜好品でいいんじゃないの!