田んぼdeアート

 8月上旬に次女夫婦が帰省した際、恵那方面へドライブに行き、その途中で山岡の「田んぼdeアート」を見てきたと話してくれました。これまで何度か山岡の道を通った時には、「田んぼdeアート」と書かれた看板は見てきたのですが、正直、規模が小さいだろうからと関心がなかったのです。ところが、娘からもらった観光PR用のハガキを見て、完成度の高さに驚きました。

 そこで、早朝に山岡へ車を走らせ、山岡の「田んぼdeアート」を見に行きます。今まで見てきた看板は、山岡郵便局から岩村方面へ向かう信号の先にあり、その信号を真っ直ぐ進むと山岡駅です。そこから看板が幾つも続いているので目印どおりに進むと、「ひまわり会館」に着きます。そこの駐車場に車を留め、星空のステージまで5分ほど登ると、山岡駅周辺の田んぼが見渡せる展望台がありました。

 田んぼにイラストを浮かび上がらせる「田んぼdeアート」デザインは、元号の令和の文字とともに恵那市のマスコットキャラクター「エーナ」の絵柄がくっきりと浮き出ています。ちょうど通過する明知鉄道も一緒にフレームに入れてパチリ。

 昨年は、隣町の岩村町商店街がロケ地となったNHK連続テレビ小説「半分、青い。」にちなみ、ふくろう商店街のマスコットキャラクターと「エーナ」だったようで、毎年デザインが変えられるようです。また、以前は古代米やコシヒカリを使った単調な色だったようですが、今では、うるち米や古代米、食べられないアート米など、稲の種類の違いを駆使して美しい絵柄になっています。

 この取り組みは、里山再生に取り組む「イワクラ里山倶楽部」が平成27年度に実施したのが始まりだそうです。しかし、この事業には多くの労力と予算が必要であったため、平成28年度にはやむなく断念した経緯が展望台の一部に記されていました。 そうした疲弊した雰囲気を打破しようと、山岡在住の40歳代50歳代の有志約20名で「山岡元気プロジェクト」を発足し、この「田んぼdeアート」を引き継いでいるそうです。

 地域での町おこし事業は様々な所で行われていますが、過疎化や高齢化、さらには続けることによるマンネリ化といった課題が多くあります。イベントで町の外から人を呼ぶことも大切なのでしょうが、そこに住む人たちが楽しめる形で長く続けることができて、伝統行事と呼べるようなものになるのではないかと思いながら眺めていました。