多治見の上絵付

 定休日の午前、いつものように買い物している途中、多治見市旭ヶ丘の多治見市文化財保護センターへ立ち寄り、展示室で行われている、企画展「多治見の上絵付」(716日~1227日)を見てきました。

 この多治見市文化財保護センターは、多治見市教育委員会が貴重な文化財を後世に残して活用をはかるため、1992年(平成4年)に開設されたものです。国や県・市が指定した指定文化財の保護や、指定文化財などを活用した講演会や企画展示等の普及啓発事業のほか、文化財の調査研究が行われており、休館日が土・日・祝日で入場無料ですから、利用しない手はありません。(多治見市民ではないですが)

  今回の企画展「多治見の上絵付」では、江戸時代から現代までの多治見の上絵付の歴史が紹介されており、明治時代、多治見(旧多治見町、以下同)が陶磁器の集散地として活気に溢れていたことを想像させます。

 子供の頃から、陶磁器の産地は土岐・瑞浪で陶磁器を売る陶器商は多治見だと言われていた通り、当時は町の中心地を東西に走る下街道沿に20 軒以上の陶器商が軒を連ね、仕事を求めて他地域から移り住んできた者も多かようです。

 そうした陶器商は、本焼きした陶磁器を土岐や市之倉、滝呂などから買い付け、注文主の依頼やその時々の流行に応じて上絵付業者に絵付けの注文したことから、多治見では上絵付業者が増えていき、明治時代終わりから大正時代の初めには上絵付業者は129 軒、画工は370人であったといわれます。その後上絵付は赤絵銅版や転写などの技術革新を経ていきました。

 入館すると係りの人が照明をつけていただいたくらいですから、見学者も少ないと思われ、通り過ぎてしまうような小さな施設です。また、一部屋だけの展示スペースではありましたが、多治見の上絵付の歴史を当時の作品や手紙から垣間見ることが出来ました。

 地場産業に家族や友人知人が関わっているにも関わらず、意外と知らないことが多いものです。時々こうした展示を見ることで、地域の事を少しづつ知りたいものです。