ご当地カツ丼

 カウンター越しでお客さんと話をしていると、意外と知らない地元の事や、行ったことのない場所があります。その一つに土岐市泉町にある「旭屋食堂」さんがあり、てりカツ丼で話題となったので、定休日の昼に食べに行ってきました。 

この「旭屋食堂」さんは、2016年2月に「所さんの日本の出番」や、最近では今年、ローカルテレビ局でも紹介された、てりカツ丼や中華そばで有名なお店です。近くには「ちちや」、「味乃屋」といった、てりカツ丼を出す店があることから、ご当地カツ丼として取り上げられることも多く、市民の中にはソウルフードだと言う人もいます。私自身は近くに何度も行っていたものの、一度も食べたことがありませんでした。 

てりカツ丼とは、トンカツを卵とじにするカツ丼と違い、どろッとした独特のソースをかけていただくカツ丼です。福井県や長野県のソースカツ丼と同じ形ですが、てりカツのソースはもっと洋風な雰囲気で、ケチャップやドミグラスソースを加えてさらに和風だしをプラスした感じでしょうか。 

 でも、同じてりカツ丼といっても、「ちちや」のてりカツソースは、初代が考案した和風洋食ソースがベースで、ソースがトロリとかかって、酸味のある香りが特徴です。「味乃屋」のてりソースも甘酸っぱいケチャップドミグラス味ですが、「ちちや」より、すこしだけ酸味を強く感じます。 

今回初めて食べた「旭屋食堂」のカツ丼は、オーソドックスなスタイルで、ソースの味は、味付けが少し濃い目でした。一緒に注文した中華そばの小も、塩味が強いので、働く人には丁度良いのかもしれません。ちなみに、「旭屋食堂」では、カツ丼と中華そばには大と小があり、両方食べたい地元の人は「小・小(しょうしょう)」と言うのが定番となっています。

土岐市内の食堂には卵とじのカツ丼もありますが、多くの店がてりカツ丼を扱っているため、てりカツ丼がご当地カツ丼だと言えます。このように全国各地にはご当地ものがたくさんあり、コーヒーにもご当地コーヒーがありそうな気がしてきました。

 以前、弘前市で飲んだ「藩士の珈琲」や、秋田市の「源内珈琲」、水戸市の「徳川将軍珈琲」なんてのもありますが、地域PRの意味合いが強く、地元の人たちに愛飲されているかといえば、???となります。UCCの「旅カフェ ドリップコーヒー ご当地珈琲めぐり」という商品があるものの、なんで名古屋がブラジルとコロンビアのブレンドで、東京がエチオピアとグアテマラのブレンドなのか意味不明だし、各地の名水を使って作ったという缶コーヒーもお土産色が強いし、ご当地コーヒーとは言えそうにありません。

 そう考えると、個人的には、かつてのコメダ珈琲店がご当地コーヒーだったんだと思います。今では全国各地に店舗が増えましたが、東海地区限定で、どこでも同じ苦くて熱いコーヒーが飲め、どの店も同じ外観の店舗で長居することが出来る店でしたから。 

 でも、今ではフランチャイズ加盟店及び直営店の合計は860店舗と全国展開し、株主は韓国系投資ファンドが株式を売却したことから、日本マスタートラスト信託銀行株式会社、日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社、ビーエヌワイエム トリーティー ディティティ 、今話題の株式会社かんぽ生命保険などに入れ替わりました。

 こうした企業って年金の運用先だったり、国民のお金でもある訳で、何だか不思議な気分になって、「美味しくないけど行ってみるか?」ってな気分になるから不思議です。

 今回は、ご当地カツ丼から内容がだいぶズレてしまいました。