還暦の祈祷

 数え年で61歳(満年齢で60歳)を数える一年間を、還暦を迎える年といいます。これは、生まれた年の干支の十干十二支が一回りする年を意味し、日本では、この年で自身の仕事を引退し隠居暮らしに入ることが多かったため、このお祝いが始まったともされています。また、この還暦を以て第二の人生の出発点と考え、新たな人生の船旅の出港を祝う意味も持っています。

 そんな訳で、今日は還暦の祈祷の為に同年30数名が集まり、町内にある八剱神社で祈祷を受けることになりました。けれど、仕事を引退し隠居暮らしを始めることもなく、第二の人生を既に始めている私にとっては、なんだか微妙な心持なのです。

 そもそも、長寿を祝う還暦参りは、それまでの人生を無事に過ごせたことを神様に感謝報告するお参りですから、同年だけで祈祷してもらうより、今日まで共に支えてくれた家族親族が揃ってお参りするのが良いのかもしれません。かといって、人生100年時代といわれるようになると、長寿というには気恥ずかしくて、日本古来の伝統を真似事して自己満足するくらいで終わりそうです。

 子供の頃から遊んだ同年が集まり、お互いに年を重ねた姿をみるのは気恥ずかしいものもありながら、これからの人生について語りながらの宴席に向かうのでした。とはいっても、会話の中心は病気の話、年金の話、家族の話など、未来に繋がる会話は皆無になるんだろうな~。