ナンジャモンジャ

 町を車で走っていると、街路樹の“ナンジャモンジャ”が満開となっています。

 “ナンジャモンジャ”とはヒトツバタゴのことであり、その土地には珍しく誰も名前を知らない植物のことを指す総称・呼称で、“ナンジャモンジャ”と呼ばれています。

 有名な由来としては、明治神宮外苑にあったこの木の名前がわからず、当時の人たちがその木(ヒトツバタゴ)のことを“ナンジャモンジャ”と呼んでいたことが広く伝わっていったという説です。

 岐阜県では絶滅危惧IIに指定されている程の珍しい木なんですが、このあたりには公共施設や街路樹に植えられていることもあり、絶滅どころか増え続けている印象があります。

 そんな良くわからないものに使われる“ナンジャモンジャ”ですが、先日受講した食品衛生協会主催の食品衛生責任者再教育講習会も、どちらかというと“ナンジャモンジャ”なのです。食品衛生責任者は、飲食店や特定の食品の製造業など、営業の許可を受けるべき施設ごとに置くよう、各都道府県・保健所政令市が条例により定めており、開業時には、食品衛生責任者養成講習会として、衛生法規(2時間)・公衆衛生学(1時間)・食品衛生学(3時間)を受講します。

 そして、食品衛生責任者として実務に就いている者については、食品衛生上の危害の発生を防止するため、再教育講習会を 3年に1回以上受講することになっているのです。岐阜県においては、この再教育講習会が毎年実施されており、先日の定休日を利用して受講したという訳です。

 飲食店を開業される方は開業に伴う申請許可を保健所で受けますが、その際に「(公益法人)食品衛生協会」に入るよう勧められました。というか、もれなく加入のように説明されました。ところが、この協会への加入は任意であり、都道府県によっては加入率50%以下なんてところもあり、加入者・未加入者への講習会参加への呼びかけ方も異なるようです。さらに、講習会や検便検査費用も区別されます。当初、事前に調べていたので加入に疑問を抱いていましたが、それなりのメリットもあるので加入することにしました。

 地域によって再教育の機会が少なかったり、講習会場が身近な場所で行われなかったり、各県から講習会開催を委託され予算処置されながら、講習会費用がまちまちだったりと、“ナンジャモンジャ”の存在なのです。

 コーヒーの業界にも“ナンジャモンジャ”が存在します。焙煎過程で、酸の成分が形成されていない状態で煎り止めし、酸味成分も苦味成分もない豆に仕上げているという「ホ○○トコーヒー」。独自の焙煎技術で浅めに煎り上げることで、他では味わえない苦味が少なく子供でも飲めるコーヒーなんだとか。

 さらには、今までの常識にはない、世界初の試みにより独自製法を確立し、コーヒーを嗜好品から健康飲料へ変えたという「〇ーカ○コーヒー」です。共通するのは、とんでもなく浅煎りしたものには、とんでもなく素晴らしい事があるようにPRされています。

 確かにコーヒーは嗜好品だから「それが好き!」という人も居て良いので、正直とても面白い試みです。個人的には“ナンジャモンジャ”に感じてしまっていますが、将来は極浅煎りが定番となって、今まで飲んでいたコーヒーを“ナンジャモンジャ”なんて呼ぶ時代がくるのかも?その時は、「独自製法・独自焙煎で苦味のあるコーヒーを提供します!」ってPRしましょうか。