朝の妻木城跡

 お客様からの一言で、「夜の高山城跡」へ急遽行ってきましたが、大河ドラマ「麒麟がくる」の放送される予定に合わせ、土岐市でPRするのは「高山城跡」ともうひとつ、「妻木城跡」があるのです。そこで、特に予定のなかった朝の時間帯を使って、隣町にある妻木城跡へ向かいました。

 土岐市文化スポーツ課の記事によれば、『妻木城は通称城山に立地し、14世紀に土岐頼貞の孫土岐明智彦九郎頼重が築いたとされています。その後、一族である妻木氏が領主となり、慶長5(1600)の関ヶ原の戦いに西軍である岩村城主の田丸勢を破った功績で7,500石を所領しました。城は山頂を中心に約200メートル四方の範囲に、曲輪、石垣、土塁などの遺構が残されています。北側の山麓には御殿と呼ばれる領主の館と家臣の武家屋敷が築かれ、万治元年(1658)の妻木家断絶まで陣屋として存続しました。山頂は「妻木城跡」、山麓の御殿跡および武家屋敷は「妻木城士屋敷跡」としてそれぞれ県史跡に指定されています。』という歴史があります。

 今回、朝の限られた時間に行ったのは、カウンターでコーヒーを飲まれるお客様が、「妻木城址の会」の関係者であったことから、事前に具体的な場所を教えていただいていたこともあり、朝の限られた時間で城跡まで行くことが可能だと考えたのです。

 先ず、県道19号で崇禅寺方面まで車を走らせ、崇禅寺を過ぎた先の道から右へ県道妻木笠原線を進むと、左側に妻木城跡の案内看板が見えてきます。右側の空き地に車を置き、石垣の見える場所を散策すると、井戸跡、門跡、石段があり、このあたりに御殿(ごてん)跡・士屋敷(さむらいやしき)跡があったと記されていました。

 ここから山頂の城跡まで登山道があるのですが、歩くと30分程かかるというので、あらかじめ聞いていた県道19号のゴルフ場入口から右折する道を車で行くことにします。所々舗装されているものの、ほとんど砂利道の細い道路を入口から1.5km走ると、池の向こうに車が10台程止められる駐車場があります。聞いていた話では、ここから少し登山道を登れば山頂に着くというので、小走りで登り始めたものの、デコボコした急勾配で直ぐに荒い息となって巨石群の前で一休みです。

 この巨石群は、関ヶ原の戦いの時、西軍である岩村城主田丸氏の攻撃に備え、城の中心部分の南側を取り巻くように堀が作られたと考えられており、この工事による花崗岩の大岩が露出しているとか。そんな岩の横を抜けて頂上に到着すると、石の鳥居と石垣が見え、「八番神社」と書かれた祠があります。石垣は昭和に入ってから復元され、祠は廃城になった後に祀られたそうです。

 曲輪(くるわ)と呼ばれる見晴らしのよい場所から妻木の街をな眺めながら、先日の高山城跡と比べ山城らしさを実感することができました。妻木城址の会の方々により、道路や山の木々、登山道などの整備がされているものの、苗木城のように多くの観光客を呼び込むには、まだまだ環境整備が必要だと感じます。

 そんな感想を持ちながら、城山の頂上でお湯を沸かしてコーヒーを一杯飲む余裕もなく、そそくさと帰路につくのでした。